北関東医学
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62 巻, 1 号
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会告
総説
  • Hiroo Hoshino
    2012 年 62 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2012/02/01
    公開日: 2012/03/05
    ジャーナル フリー
    Human immunodeficiency virus type 1 (HIV-1) and type 2 (HIV-2) are the causative agents of acquired immune deficiency syndrome. Our interests have focused on HIV entry into target cells and HIV cell tropism. The cell tropism of HIV and the determinants of a cell's susceptibility to HIV infection have been mainly explained by the combination of HIV surface proteins, Env, and expression of CD4 and coreceptors on the target cells. The coreceptors are molecules belonging to the G protein-coupled 7-transmembrane receptors, especially chemokine receptors. We propose that many researchers working in this field have noticed that our system of using a human glioma cell line, NP-2, has been quite useful for the identification of HIV coreceptors, for the determination of coreceptor usage in HIV strains and for the isolation of primary HIV-1 strains, and for the titration of infectivity. The properties of the assay systems using NP-2 cells that we have developed are summarized in this review through an introduction of some of our work.
  • - 最終講義より -
    遠藤 啓吾
    2012 年 62 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2012/02/01
    公開日: 2012/03/05
    ジャーナル フリー
    1991年から2011年までの20年間, 群馬大学医学部において放射線診断核医学分野 (旧核医学講座) を担当, 医学科4年生を対象として2010年12月14日に行った最終講義をまとめた. 医師になって40年, この間に画像診断は目覚ましく進歩し, CT, MRI, 超音波検査, PETなどの画像診断は現代医療に不可欠となった.
    一枚の画像から多くの情報が得られ, 研究に発展することを示すとともに, これまで行ってきた私および群馬大学の先輩の先生方の研究を振り返り, 一緒に仕事をした教職員への感謝と医学生への期待を述べた.
原著
  • Yoko Uchida
    2012 年 62 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2012/02/01
    公開日: 2012/03/05
    ジャーナル フリー
    Objective : To validate the Outcome and Assessment Scale for Dementia Care (OASDC) by comparison with the Multidimensional Observation Scale for Elderly Subjects (MOSES). Methods : The targets were 126 Japanese nurses, together with 126 of their demented patients. The self-administered questionnaire asked the nurses about the condition of their patients. The questionnaire consisted of 20 OASDC items, including the base attributes of the nurses and their patients, and 40 MOSES items. OASDC was subjected to a factor analysis and the correlations between OASDC and MOSES were explored. Results : The factor analysis revealed that OASDC had 5 factors : Self-care ; Tranquility ; Social role ; Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia (BPSD),; and Caregiver and the cumulative contribution ratio of all five factors was 63.1%. There was a significant correlation between OASDC and MOSES except for the items of care factors (r= 0.201 to 0.926, p< 0.05). Conclusion : The evaluation almost completely secured the validity of the construct validity and contemporary validity of the OASDC.
  • 下平 きみ子, 伊藤 まゆみ
    2012 年 62 巻 1 号 p. 31-40
    発行日: 2012/02/01
    公開日: 2012/03/05
    ジャーナル フリー
    【目 的】 一般病院で身体的治療を受ける認知症高齢者のケアを担う看護師への教育研修実施のための教育ニーズの把握と教育プログラム内容の抽出をする. 【対象と方法】 急性期治療を行う2病院の整形外科病棟の看護師, 各6名に, フォーカス・グループインタビューを行い, 逐語録からデータを質的帰納的に分析した. 【結 果】 「認知症高齢者のケアの困難」から8カテゴリ,「認知症高齢者のケアで心がけていること」から5カテゴリ,「教育研修について希望すること」から4カテゴリが抽出された. 【結 語】 教育ニーズとしては, (1)認知症高齢者の状態の理解, (2)BPSD・危険行動の理解, (3)せん妄の理解, (4)認知症高齢者の世界の理解, (5)急性期病棟での具体的事例を用いて認知症高齢者のケア方法の理解, 教育プログラム内容は, (1)認知症の疾患・治療, (2)認知症高齢者の理解とアセスメントツール, (3)BPSD・危険行動の行動分析と介入の実際, (4)せん妄とその対応, (5)認知症患者の言動の意味, (6)認知症高齢者との関わり方, (7)認知症患者とのコミュニケーション, (8)急性期病棟での事例を通した看護過程の展開, が抽出された.
  • - 共分散構造分析を用いた「こころのチェックシート」の解析 -
    村山 侑里, 山本 林子, 山口 実穂, 山崎 千穂, 中澤 港, 小山 洋
    2012 年 62 巻 1 号 p. 41-51
    発行日: 2012/02/01
    公開日: 2012/03/05
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】 日本の農村部においては自殺が大きな社会問題となっており, それに関連する抑うつ状態への対応やうつ予防が重要な健康問題となっている. 原因となるライフスタイル要因は性別や年齢層によって大きく異なるものと考えられ, 本研究では, 性・年齢別に抑うつ状態とライフスタイル要因との関連について解析を行い, 性・年齢別の関連構造の特異性および共通性を明らかにすることを目的とした. 【対象と方法】 群馬県K村の住民健康診断受診者 (男性144名, 女性217名, 平均年齢58.5歳) を対象に質問紙による調査をおこなった. 質問紙は健康チェック票THIからの抑うつ尺度10項目 (THI-D) を含む自記式質問票「こころのチェックシート」を用いた. 男女それぞれを60歳未満・60歳以上に層化し, 層ごとにライフスタイル要因の変数と抑うつ尺度の関連性を順位相関係数によって検討した後, Rの拡張パッケージsemを用いて共分散構造分析を行った. 【結 果】 抑うつ尺度と関連性が認められたライフスタイル要因は, 仕事上の心配, 対人関係の悩み, 幸福感, 同居人数, 通院, 疾病苦, 親戚友人数, 睡眠, 飲酒, 運動であった. 性・年齢層ごとの4群別々に共分散構造分析を行い, 各群とも十分な説明力をもつモデルが得られた. 全ての群で共通して抑うつ状態と関連が認められた因子は「対人関係の悩み」と「仕事上の心配」であった. これらの要因は潜在因子「社会的機能不全」を介して抑うつ尺度の高さに影響を与えていた. 「社会的機能不全」と抑うつ尺度の高さは正の相関関係にあることが示された. 各群の特徴的な潜在因子および関連構造としては, 1) 60歳未満の男性についてのモデルでは飲酒頻度や適切な睡眠時間が潜在因子「生活上のゆとり」を介して抑うつ尺度の低さと関連, 2) 60歳以上の男性では非独居であることと親戚友人数の多さが潜在因子「対人良好性」を介して抑うつ尺度の低さに関連, 3) 60歳未満の女性では「通院」していることと「疾病苦」を有することが潜在因子「有病状態」を介して抑うつ尺度と関連, 4) 60歳以上の女性では「親戚友人数」の少なさと「疾病苦」の高さが潜在因子「内向性」を介して抑うつ尺度と正の関連を有することが示された. 【結 語】 抑うつ状態に共通して関連するのは対人関係の悩み・仕事上の心配であるが, 関連するライフスタイル要因の構造は性・年齢群によって異なることが示された. 抑うつ状態に対する支援やうつ病予防対策は性・年齢ごとに適した対応が求められると考えられた.
症例報告
  • 倉林 誠, 棚橋 美文, 岡野 孝雄, 大木 茂, 横江 隆夫, 須納瀬 豊, 竹吉 泉
    2012 年 62 巻 1 号 p. 53-57
    発行日: 2012/02/01
    公開日: 2012/03/05
    ジャーナル フリー
    症例は62歳の男性で, 食欲不振・腹部膨満感・黒色便・めまいを主訴に来院した. 上部消化管内視鏡検査で胃幽門前庭部に全周性狭窄を呈した3型腫瘍を認め, CTで傍大動脈リンパ節転移があり, 胃癌Stage IVと診断した. 通過障害による摂食不良のため, 入院してパクリタキセルによる化学療法を開始したが, 効果はなかった. 通過障害による嘔吐が続き, 外科的バイパス術を希望しないため, ステント治療を行った. WallFlex™ ノンカバードステント留置を施行したが改善せず, ステント内にUltraFlex™ カバードステントを再留置することにより摂食可能となった. その後化学療法を施行したが, 初回ステント留置後11ヶ月に癌死した.
    幽門狭窄を呈した切除不能胃癌の癌緩和的治療の選択肢として, ステント治療を検討すべきであると考える.
  • 塚越 浩志, 富澤 直樹, 小川 哲史, 池谷 俊郎, 田中 俊行, 坂元 一郎, 安東 立正, 高橋 栄治, 中野 実, 須納瀬 豊, 竹 ...
    2012 年 62 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2012/02/01
    公開日: 2012/03/05
    ジャーナル フリー
    症例は14歳男性. 2003年5月, 交通事故で上腹部を強打. 来院時, 収縮期血圧60mmHg, 脈拍130回/分で, 急速輸液で血圧上昇したため, 造影CT検査を行いIIIb型肝損傷を認めた. TAEを施行後, 門脈造影で右門脈よりextravasationを認めた. deadly triadの状態であり開腹止血も考慮したが, 収縮期血圧が保てたためICUで保存的治療を行った. 推定出血量5000mlで腹腔内圧は最大27mmHgとabdominal compartment syndrome (ACS) の状態であった. 血性腹水を段階的に抜きACSを解除, その後, 再出血に対し再度TAEを行い止血. さらに, 胆汁性腹膜炎と小腸穿孔に対し2回の開腹手術など, 長期間にわたり集学的治療を行い, 2004年3月退院した. 本症例のような重度肝損傷に対しても, 出血に対して非手術療法が完遂できた例は稀と思われたので, 若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 新井 正明, 落合 亮, 増田 淳, 宮前 洋平, 須納瀬 豊, 鈴木 忍, 竹吉 泉
    2012 年 62 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 2012/02/01
    公開日: 2012/03/05
    ジャーナル フリー
    症例は52歳, 男性. 腹部膨満感, 体重減少, 易疲労感, 食思不振を主訴に石井病院内科を受診した. 初診時腹部は著明に膨満していた. CT検査で腹腔内に多量の腹水を認めたが, はっきりした腫瘤性病変などはなかった. PET-CTでは右腹腔内の壁側腹膜に沿った部位と下行結腸付近にFDGの集積がみられた. 腹腔穿刺細胞診では, 出血炎症性の背景に中皮細胞が孤立性~集塊状に多数出現していて, 中皮由来の細胞集塊と考えられたが, 確定診断にはいたらなかった. 生検を目的に, 内科から外科に転科し, 腹腔鏡手術を施行した. 腹腔鏡で観察すると, 腹腔内には多量の腹水が貯留しており, PET-CTで集積を認めた右側腹部腹壁に白色調のうずら卵大の腫瘤があったが, 下行結腸付近にははっきりした腫瘤はなかった. うずら卵大の腫瘤を切除し, 病理検査に供したところ腫瘤は悪性腹膜中皮腫と診断された. 化学療法を目的として群馬大学第2外科に紹介され, GemcitabineとCarboplatinによる化学療法を開始した.
流れ
抄録
報告
北関東医学会奨励賞
北関東医学会The KITAKANTO Medical Journal優秀論文賞
編集後記
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