マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
35 巻 , 3 号
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巻頭言
論文
  • 南 知惠子, 森村 文一, 田頭 拓己
    2016 年 35 巻 3 号 p. 5-25
    発行日: 2016/01/08
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー

    本稿は,現在進行中のランニングシューズのテーラーメイド製品開発において,予定されているテーラーメイド提供サービスを例に,消費者側のテーラーメイド・サービスに対する受容について,サービス利用意向に与える要因と因果関係を識別することを目的とする。ランナーを対象とするアンケート調査を実施し,共分散構造分析を用いた分析の結果,ユーザー自身の技術受容と資源を統合する能力が,企業からのサービス提供への参加行動慣性を高め,新技術利用のサービスの利用意向に影響を与えることが明らかになった。また,機能的および快楽的な手がかりが利用意向を高めることも検証された。さらに,補完調査において,ランニングシューズの用途により,テーラーメイド・サービスの利用意向が属性レベルで異なることが確認された。

  • 西岡 健一
    2016 年 35 巻 3 号 p. 26-44
    発行日: 2016/01/08
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー

    本稿は情報通信技術(ICT)の発展に基づくビジネスのサービス化の進展とそれに伴うマーケティングへの影響について,ICTの技術的特徴を観点に論じたものである。現在,ICTによるシステムの高速・大容量化といった「量」的な特徴とモバイル環境の進展に伴い,クラウド型サービス,ソーシャルネットワークサービス(SNS),そしてビックデータに関心が集まっているが,今後さらなる技術の進展に伴い,自律的なシステム,人工知能(AI)の発展に伴う高度なモデリング技術,さらにリアルタイム処理と技術システムの可視性が新たな着目すべき技術トレンドとなる。そしてこれらの特徴が,消費者へのアプローチ手法,顧客関係管理,そしてサプライチェーンマネジメントへ影響を与え,ICTによるマーケティングの「質」的な変化を促進,より顧客体験に基づいたマーケティング手法の発展につながる。このようなICTの新たな特徴により,新しい技術・サービスの顧客・消費者の受容を高めるための方策が経営上の大きな課題になること,具体的には,新技術やサービス導入に伴う品質評価やそのマネジリアルな手法の検討が大きな研究分野となることを示す。

  • ─ 価値共創の第三のアクター「レギュレーター」の役割 ─
    西山 浩平, 藤川 佳則
    2016 年 35 巻 3 号 p. 45-62
    発行日: 2016/01/08
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー

    本論文は,クラウドソーシングやクラウドファンディングなどの技術を通じて,数多くの顧客がこれまでにない規模で価値共創に参画するプラットフォーム型のサービス・イノベーションの普及過程に焦点をあてる。企業でも顧客でもない,社会を構成する他者による反発がサービス・イノベーションの社会受容を阻む際,プラットフォームの運営管理に関する権限を持つ「レギュレーター」が果たす役割について議論する。理論上の貢献としては,従来のサービス研究における価値共創の議論,イノベーション研究におけるユーザー・イノベーションの知見に,規制科学(レギュラトリー・サイエンス)の視点を取り入れた,価値共創の「アクター・モデル」を提案する。また,実務上の知見として,レゴを通じた価値共創プラットフォーム「LEGO CUUSOO」の事例研究から,「第一のアクター」である企業,「第二のアクター」である顧客,「第三のアクター」であるレギュレーターの役割に関する仮説創造型の議論を展開する。

  • ─ 相互主観性からの視座 ─
    山内 裕, 佐藤 那央
    2016 年 35 巻 3 号 p. 64-74
    発行日: 2016/01/08
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー

    本稿では既存のサービスデザインの概念を社会科学の理論的視座から再考する。その目的は既存のサービスデザインを否定することではなく,その更なる発展のため,サービスデザインの実践研究とサービスの理論の接合を試みることにある。そこで,本稿ではサービスは相互主観性レベルの事象であるという主張を元に,サービスデザインにおける基礎的な概念である,「体験」や「共創」が孕んでいる理論的矛盾点を指摘する。具体的には,これまで利用者やステークホルダーがデザインされた,あるいはされる対象を客体として観照し体験しているという主観性の概念に依拠するのではなく,これらの人々が自分の理解をどのように示し合うのかという相互主観性の水準で議論することで,従来のデザイン方法論と比較したときのサービスデザインの独自性を明確にする。従来から議論されている方法論は主観性を基礎としている限りにおいて,相互主観性の水準で議論されるべきサービスデザインの方法論として適切ではなく,独自の方法論を探究しなければならない。

  • ─ 顧客の潜在ランクへの分類と拡張版投資モデルのブランドの適用 ─
    相馬 敏彦, 清水 裕士
    2016 年 35 巻 3 号 p. 75-94
    発行日: 2016/01/08
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー

    顧客がブランドに対してもつ心理的コミットメントは感情的なもの,計算的なもの,陶酔的なものと多面的である。本研究では,これらコミットメントの多面性がどのような階層をもちうるのか,そして各階層への移行にはどのような要因が影響するのかについて実証的にアプローチした。9000人以上の自動車ユーザーを対象に調査を行い,ブランドへのコミットメントを多面的に測定した。潜在ランク理論を用いた解析の結果,無関心から感情的なものが高まり,次いで計算的,陶酔的へと移行し最終的に全てのコミットメントが高まるプロセスが示唆された。この妥当性は,行動的な指標との関連によって確認された。また,それは使用期間による影響とは独立していることも確認された。次に,多項ロジット回帰分析によって拡張版投資モデル変数が階層の移行に及ぼす影響をみたところ,ランクの進展に伴い顧客の評価対象の範囲が変化している可能性が示された。この結果は,データに階層性を想定せずに行った分析からは見いだされないものであった。マーケティング研究において,顧客を単に相互に独立したグループに分けるのではなく,ある順序性に従ったランクに分類することの有効性を示した。

取材レポート
テーマ書評
  • 寺﨑 新一郎
    2016 年 35 巻 3 号 p. 125-135
    発行日: 2016/01/08
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー

    原産国イメージ効果研究は1960年代から始まり,現在も感情的メカニズムの観点から盛んに研究がおこなわれている。一方,急速なグローバル化のもと,インターナショナリズムや消費者コスモポリタニズムといった,原産国非特定的な感情に関する研究が注目を集めてきている。問題は,これらを原産国イメージ効果研究に含めて検討すべきかどうかである。本稿では,消費者イデオロギー効果研究という新たな枠組みを提示することで,この問題を解決すると同時に,消費者エスノセントリズムを嚆矢とした消費者イデオロギー効果研究の潮流を著者独自の三つの観点から整理する。最後に,今後の検討課題および研究の方向性を提示する。

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