マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
40 巻 , 1 号
カスタマイゼーションとパーソナライゼーション
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
巻頭言
  • 小野 晃典
    2020 年 40 巻 1 号 p. 3-5
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー HTML

    The purpose of this special issue is to reexamine customization and personalization in marketing. Both customization and personalization are manufacturing techniques used by firms to provide their customers with products, services, and informative contents that match their individual needs. With a customization/personalization system, firms gain a competitive advantage. A few decades ago, Japanese firms such as Panasonic and Toyota were world leaders in high-tech customization/personalization systems. However, in recent years, foreign firms seem to be conducting more skillful marketing with customization/personalization systems. Moreover, Japanese scholars have published fewer articles on customization/personalization than foreign scholars. In response to this situation, this special issue contains five invited refereed articles, in addition to seven other articles.

特集論文 / 招待査読論文
  • ― ハイタッチとハイテクによる個別対応 ―
    小野 譲司, 酒井 麻衣子, 神田 晴彦
    2020 年 40 巻 1 号 p. 6-18
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー HTML

    サービス分野におけるカスタマイゼーションは,従来は人間が行っていたサービス活動をテクノロジーに代替する動きが進みつつある。人間による柔軟性とテクノロジーによる標準化のバランスをどう取るかは,現代のサービス設計における重要な課題である。本研究では,人間によるサービスとテクノロジーベースのサービスの経験が,顧客のサービス品質評価に与える影響について実証研究を行った。その結果,どちらのサービス経験を選択するかによって,顧客期待が品質評価に与える影響と,接客サービスが品質評価に与える影響が異なること,顧客の経験値の違いによって効果が異なることも明らかになった。最後にサービス・カスタマイゼーションに関する実務的示唆と今後の課題を示した。

  • 千葉 貴宏
    2020 年 40 巻 1 号 p. 19-30
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー HTML

    企業は,サービス・エンカウンターにおいて,しばしば,個々の消費者の好みを察知し,その好みに合わせて自身が提供する財の中から幾つかをピックアップしてみせるというオススメのパーソナライゼーションを行う。一般に,サービスにおけるパーソナライゼーションは,好ましい結果に帰着すると主張されているが,他方,オススメという従業員サービスに限るとき,それは一部の消費者に対して好ましくないと主張する研究もある。本論は,消費者の専門性およびパーソナライズされたオススメを構成する財の種類を,オススメのパーソナライゼーションに対する評価を決定する要因として仮説化し,それらの仮説に対して実証分析を行う。分析の結果に基づいて,本論は,消費者の専門性が高い場合と低い場合それぞれにおいて,いかなる財の種類をオススメすることが有効であるかを示唆する。

  • ― カスタマイゼーション価値の構造と顧客のデザイン・スキルの異質性を考慮して ―
    森岡 耕作
    2020 年 40 巻 1 号 p. 31-42
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー HTML

    異質な顧客ニーズに対応できる有効な製品戦略であるマス・カスタマイゼーション(MC)の中でも,顧客の構成負担を軽減しうるソリューション提示型カスタマイゼーション(CvSS)が注目を集めており,その有効性が吟味されている。しかしながら,このCvSSに関する既存研究は,第一に,MCについて顧客が知覚する価値のうち限られた種類の価値にしか注目しておらず,第二に,そのシステムを利用する顧客のデザイン・スキルにおける異質性を考慮していない,という問題を抱えている。そこで本論は,第一に,顧客が知覚するMC価値の構造を特定化し,第二に,その価値構造を前提に,CvSSの効果を吟味しようと試みた。サーベイ・データを利用して行った分析(分析1)の結果,享楽性と過程努力とによって構成されるMC過程価値が,選好合致と自己表現性とによって構成されるMC製品価値を高めるということを見出した。そして,実験データを利用して行った分析(分析2)の結果,デザイン・スキルの低い顧客より,デザイン・スキルの高い顧客の方が,MC過程においてソリューションが提示された時に知覚する享楽性が低いということを見出した。

  • 竹内 亮介
    2020 年 40 巻 1 号 p. 43-55
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー HTML

    パーソナライズ広告は,個人情報の収集と活用を伴うがゆえに,消費者のニーズに関連した情報を提供する可能性だけでなく,彼らのプライバシーを侵害してしまう可能性もある。パーソナライズ広告を視聴する消費者は,(1)関連性をプライバシー侵害の懸念より高く知覚したり,(2)前者より後者を高く知覚したり,(3)両者を同程度に知覚したりするであろう。これら3種類のパターンの内の特定の1種類で消費者がパーソナライズ広告を知覚するのはいかなる状況においてであるかを識別することが,本研究の目的である。研究1においては,促進焦点傾向の消費者が,利得が生じる点(/損失が生じない点)を訴求するパーソナライズ広告を視聴する場合に第一(/第三)のパターンが生じること,および,私的事実に関して予防焦点傾向の消費者が,パーソナライズ広告を視聴する場合に第二のパターンが生じることを示す。また,広告主やウェブサイトの信頼が高い状況に着目する研究2~研究3においては,製品の消費に関して予防焦点傾向の消費者が,利得が生じる点(/損失が生じない点)を訴求するパーソナライズ広告を視聴する場合に第三(/第一)のパターンが生じることを示す。

  • 菊盛 真衣, 石井 隆太
    2020 年 40 巻 1 号 p. 56-67
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー HTML

    本研究は,グローバル企業が自社Webサイトを現地の文化に適応化させる度合い,つまりWebサイトにおける文化的カスタマイゼーションの度合いが現地消費者のWebサイト使用容易性にどのような影響を及ぼすのか,そして,その影響が制御焦点の違いによってどのように異なるのかを検討した。実証分析に際して,日本に進出するアメリカ企業のWebサイトを対象に内容分析を行い,その後,消費者調査を行うことによってデータを収集した。実証分析の結果,Webサイトにおける文化的カスタマイゼーションは情報取得の容易性およびナビゲーションの容易性という2種類のWebサイト使用容易性に正の影響を及ぼすということが示された。加えて,促進焦点はその正の効果を促進するということが示された。この知見から,本研究は,グローバル企業は自社のWebサイトに現地の文化的価値観を反映させる必要があり,そうするべきなのは,予防焦点型の消費者というより,促進焦点型の消費者に対してであるという含意を提供する。

レビュー論文 / 招待査読論文
  • 小倉 優海
    2020 年 40 巻 1 号 p. 68-72
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー HTML

    近年,企業はキャラクターを積極的に広告に起用しており,さらに,広告エンドーサー研究においても,キャラクターエンドーサーに関する議論が活発に行われており,キャラクターエンドーサーは注目すべき研究対象である。それらの現状を踏まえると,これまでに得られたキャラクターエンドーサーに関する知見を整理し,今後の研究で検討すべき課題を明確化する必要があると言える。そこで,本論では,キャラクターエンドーサーに関する既存研究を(1)キャラクターエンドーサーの分類,(2)キャラクターエンドーサーの有効性,(3)キャラクターエンドーサーの効果を調整する要因という3つに分けて,概観する。そして,キャラクターエンドーサー研究が今後検討すべき課題として,(1)新たな調整変数の識別,(2)キャラクターエンドーサーの負の影響の検討(3)新たな従属変数への注目を指摘する。

  • 芝田 有希
    2020 年 40 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー HTML

    適切な音楽は,消費者の快感情や購買金額だけでなく,商品イメージや評価,そして,企業のブランドイメージを向上させる可能性がある。本稿では,聴覚刺激が消費者行動に与える影響に関する既存研究をレビューする。音楽と様々な刺激との「適合性」に関する,より包括的な既存研究も取り上げる。その後,音楽心理学の知見を取り入れ,より多角的に音楽が消費者行動に与える影響について議論する。最後に,聴覚刺激研究に関する将来的な課題を提示する。

  • ― 顧客保有資源とエンゲージメント対象 ―
    青木 哲也
    2020 年 40 巻 1 号 p. 79-84
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー HTML

    口コミや新規顧客紹介,開発支援,他の顧客支援といった購買以外の部分で行われる顧客の企業に対する貢献行動である顧客エンゲージメントを管理する方法についての関心は,実務的にも理論的にも高まっている。しかし先行研究において,顧客エンゲージメントの定義や,その管理法については統一的な知見が示されていない。本研究では第一に,行動側面から顧客エンゲージメントを定義することが理論的にも実務的にも有効であることを示唆する。第二に,(1)顧客がエンゲージメントする際に活用する資源と,(2)顧客がエンゲージメントする対象という視座を導入することによって,先行研究で複数指摘されている顧客エンゲージメントの最適な管理法の整理を試みる。

投稿査読論文
  • 加藤 拓巳, 津田 和彦
    2020 年 40 巻 1 号 p. 85-95
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    [早期公開] 公開日: 2020/06/06
    ジャーナル フリー HTML

    Electronic Commerce(EC)の普及によって生まれた消費者行動に,ショールーミングがある。販売店で確認した商品をインターネットで安価に購入する行動を指す。これは実店舗で販売する企業にとって大きな脅威であり,産業界・学術界ともに大きな注目を集めている。しかし,自動車業界に目を向けると状況は異なり,依然として販売店での購入が主流である。そのため,ショールームの現状評価やあり方の議論は不十分になっている。本研究では,日本の自動車業界を対象に,テーマパークやカフェ等の多様な形態のショールームへの訪問経験が消費者の推奨意向に与える影響を検証した。オンライン調査で得たデータをもとに,傾向スコアによって因果効果を推定した結果,有意な効果は見られなかった。推奨意向を有する要因としては,商品より販売店の観点が多く,礼儀・親近感・特別感が抽出された。EC化がそれほど普及していない業界では,購入行動に直結する動線設計は難しいと考えられるが,推奨意向の形成要因を把握したうえで,それを一貫して経験できる場の設計は重要であろう。

マーケティングケース
  • ― 三井不動産株式会社「ハレクラニ」の事例 ―
    安藤 和代
    2020 年 40 巻 1 号 p. 96-106
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー HTML

    かつてハレクラニは,大衆的なバンガローホテルであった。およそ35年前に三井不動産株式会社のもとで再開業した際,その名前が意味する「天国にふさわしい館」に適したサービスを提供するラグジュアリーホテルとなることを目標にした。今日では高い評価を得ているハレクラニの高品質なサービスについて,サーバクションフレームワークに沿って分析し,物的な環境,サービス提供のプロセス,参加者の視点で考察した。また顧客が受け取る「サービス便益の束」を分解し,「コンティンジェントサービス」や「潜在的サービス」を提供するための工夫について確認した。顧客が体験するサービス経験をプロセスとして設計することに加えて,そうしたプロセスに,組織が共有する価値観を浸透させることの重要性を,同社の成功事例を通して浮かび上がらせる。

  • 岩井 琢磨, 牧口 松二
    2020 年 40 巻 1 号 p. 107-117
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー HTML

    このケースでは,年間4億本という売上本数を誇る氷菓「ガリガリ君」に注目する。「ガリガリ君」は,赤城乳業から1981年に発売されたロングセラーブランドである。赤城乳業は2004年から,同商品のパッケージ・キャラクター「ガリガリ君」のマーケティング活用を積極化している。以降,新味追加などの契機に話題を発信し,氷菓「ガリガリ君」の売上本数を,2004年の1億本台から2013年の4億本台へと成長させている。この間の「ガリガリ君」のマーケティングを担当したのが,現在は赤城乳業株式会社 執行役員 開発本部本部長代行である萩原史雄である。荻原は1995年に赤城乳業に入社,営業として販売現場に立ち,販売企画課を経て2004年に営業統括部(マーケティング担当)を設立した。さらに2006年にはキャラクター「ガリガリ君」をマネジメントする「ガリガリ君プロダクション」を設立し,2013年にはマーケティング部を設立した。正に「ガリガリ君」を核とした取り組みによって多くの生活者による語りを生み出してきた人物である。このケースでは,萩原に対する2018年の取材および2020年の講演に基づき,赤城乳業が氷菓「ガリガリ君」を成長させたマーケティング活動のプロセスについて見る。

書評
編集後記
feedback
Top