日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
2009年年会講演予稿集
選択された号の論文の648件中551~600を表示しています
  • 若林 千智, 安田 公一, 塩田 忠
    セッションID: 3E07
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    セラミックスの破壊において,最も重要なパラメータである欠陥寸法に着目し,極値統計により,欠陥寸法原分布から厳密極値分布としての脆性材料の破壊強度分布を求めた.そして,この破壊強度分布のリンク数の変化による関数の振舞いに対する考察を行いその漸近特性について考察を行った.また,通常,破壊強度分布として用いられる漸近極値分布であるワイブル分布と比較し,両者の関係を求め,欠陥寸法原分布パラメータのみからワイブル分布パラメータを推定する方法を見出した.さらに,破壊原因が複数存在する場合の競合モードの厳密極値分布としての破壊強度分布を導出し,実測データに基づきその検証も行った.
  • 多々見 純一, 中田 悟史, 田崎 智子, 脇原 徹, 米屋 勝利, 目黒 竹司
    セッションID: 3E08
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    BaTiO3単結晶のハイブリッドな野フラクトグラフィーを行った。(100)の破面はマクロには平坦なへき開破壊であったが、SPMの形状像から断面プロファイルから高さ0.2~0.5nm、幅100nm程度の規則的なステップが観察された。また、PFM像では信号はほとんど0であったが、SNDM像では、破面に上向きの分極を示す強い応答が縞状に観察された。PFMよりもSNDMの方がより表面に近い領域からの情報が得られることから、BaTiO3単結晶の破面近傍でのみ特異な分極構造を形成していることがわかった。また、(110)の破面でも同様の強い分極が確認されたが、試料Aとは異なるドメイン構造が確認された。ドメインウォールの方向を考慮すると、破面の極近傍のこれらのドメインは正方晶のものではなく、他の低温相が存在していることが示唆された。このような破壊に伴う特異なドメイン構造の形成は、き裂先端の応力集中による局所的なドメインスイッチングなどを含めたBaTiO3に特有の破壊の素過程に起因するものであると考えられる。
  • 関根 圭人, 北口 ダニエル勇吉, 熊澤 猛, 山田 昌義, 田邊 靖博
    セッションID: 3E09
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    各種セラミックスに鋼鉄製の高速飛翔体をほぼ音速で衝突させ,衝突時の破壊挙動,及び飛翔体の有するエネルギーの吸収能とセラミックスの機械的性質の関係について検討を行った. 今回用いたセラミックスではいずれの試料においても飛翔体が破壊した.衝突後のセラミックス試験片では飛翔体と衝突した位置を起点にコーン状亀裂とラジアル亀裂が発生した.破壊靭性が低い炭化ホウ素及びムライトではコーン状亀裂により除去された体積が大きいのに対して,破壊靭性値が高い窒化ケイ素ではその体積が小さかった.また,部分安定化ジルコニアはコーン状の亀裂は認められなかった.これらの傾向より,破壊靭性値の高い材料は衝突時の破壊損傷が小さいのに対して,破壊靭性値の低い炭化ホウ素やムライトは高靭性を示す材料と比較して大きく損傷することがわかった.また,この結果から,破壊靭性値の低い炭化ホウ素やムライトは衝突時に飛翔体の有するエネルギーをよく吸収する可能性が示唆された.
  • 塩田 忠, 山本 浩司, 安田 公一, 松尾 陽太郎
    セッションID: 3E10
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    本研究では、炭素材料の破壊現象をより精確に把握することを目指し、炭素材料の破壊に伴うフォトンエミッションを大気圧、10-3Pa、10-6Pa中で計測し、その放出特性を明らかにすることを目的とした。試料としては、熱分解黒鉛、多結晶黒鉛、ガラス状炭素、熱処理温度を変化させて作製したC/Cコンポジットを用いた。フォトンエミッションは、ガラス状炭素およびC/Cコンポジットを10-3Paと10-6Paで破壊したときのみ観測された。このように、炭素材料の破壊に伴うフォトンエミッションは、材料構造と雰囲気圧力に依存することが明らかとなった。
  • 塩田 忠
    セッションID: 3E11A
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    本講演では、セラミックスの表面形成に伴うミクロ電磁気現象に関する研究のうち、これまで著者が系統的に行ってきたセラミックスとガラスの破壊に伴うフォトンエミッション(phE)の研究について概観する。phEは、材料破壊の瞬間に生じ、その後数ms~数100msで減衰する。その放出強度は、雰囲気ガス種及び圧力、曲げ強度、材料組織に依存した。このことから、雰囲気ガス放電、破壊に伴い解放されるエネルギー、粒界が破壊に伴うphEに大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。
  • 柳田 さやか, 中島 章, 佐々木 高義, 磯部 敏宏, 亀島 欣一, 岡田 清
    セッションID: 3F01
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    酸化チタン(TiO2)にそのバンドギャップに相当する380nm以下の波長の紫外光を照射すると、電子励起により内部に電子と正孔が生成する。光触媒の活性を向上させるには、他種物質との複合化などで電荷分離効率を上げることが有効と考えられている。我々はこれまでにヘテロポリ酸の一種である12-タングストリン酸(PW12)とTiO2を組み合わせて二つの光励起中心を連結させた系(Z-スキーム)において、高活性の透明光触媒薄膜の作製に成功している[1]。本研究ではPW12と同様のKeggin型構造を持ち、PW12とは異なる酸化還元電位を有する12-タングストケイ酸(SiW12)とメタタングステン酸(H2W12)を用いて複合体透明薄膜を作製し、光触媒活性と活性の入射波長依存性について検討した。
  • 堀江 克宏, 中島 章, 磯部 敏宏, 亀島 欣一, 北野 政明, 原 亨和, 岡田 清
    セッションID: 3F02
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    酸化チタンは、紫外線照射により活性種を生成し、それらが有機物を分解する光触媒能を有する。しかしながら、芳香族炭化水素の分解では難分解性の中間体が生成し、これらが酸化チタン表面で重合することで、光触媒活性が失活することが知られている。一方最近、適当な大きさの芳香族炭化水素重合体をスルホン化することにより、高性能の炭素系固体超強酸触媒が作製できることが報告された。本研究では、芳香族スルホン酸を原料に用い、酸化チタンの失活現象を逆に利用して各種芳香族炭化水素と光重合することにより、スルホン化プロセスなしに炭素系固体強酸の作製とその特性評価を行った。
  • 大幸 裕介, 町田 史子, 嶺重 温, 小舟 正文, 豊田 紀章, 山田 公, 矢澤 哲夫
    セッションID: 3F03
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    酸化チタンは、約3.0 eVのバンドギャップエネルギーを持ち、熱的・化学的に安定であり、生産コストが低いことから、光触媒として広く使用されている。しかしながら、酸化チタンは、粉末状や膜状のものが主流であり、粉末状光触媒は、処理中に飛散、処理後の回収・分離が困難であること、また膜状光触媒は使用中の剥離や、小さな比表面積であるため反応場が少なく、汚染物質を光分解する能力が小さいことなどが指摘されている。 我々は、スピノーダル分相を利用した多孔質ガラスの作製とそのイオン伝導体や蛍光体などへの応用について検討を続けている。この方法で得られるガラスは、ナノメートルオーダーの連通細孔を有しており、液相・気相中の様々な有害物質を吸着する特徴がある。本研究では、TiO2成分を含むガラスを作製し、分相と同時に酸化チタン微結晶を析出させ、さらに酸処理によって多孔化することで、酸化チタン光触媒が強固に固定化された多孔質光触媒の作製を試みた。
  • Emil Omurzak, Chihiro Iwamoto, Yasumichi Matsumoto, Saadat Sulaimankul ...
    セッションID: 3F04
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    Synthesis of various oxides of titanium by the impulse plasma in liquid is presented. By the impulse plasma between titanium rods submerged into water, we have synthesized blue amorphous TiO2 nanoparticles suspended in water and titanium monoxide at the bottom. Different phases of titania oxides like Ti3O, TiO, Ti2O3, Ti4O7 were produced by the impulse plasma in different water temperatures (3, 30, 60, and 90 C respectively). TEM analysis showed that the amorphous TiO2 contains anatase nanocrystals with less than 10 nm. UV-vis absorption spectra of the blue TiO2 showed higher absorbance of visible light than the commercial anatase nanoparticles.
  • 藤木 豊, 陶山 容子
    セッションID: 3F05
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    本研究では、チタンアルコキシドを前駆体としてTiO2ゾルの合成を行い、それを用いてTiO2粒子が三次元的に配列した構造体であるTiO2繊維の作製を試み、そのキャラクタリゼーションを行い、その構造が光吸収に及ぼす影響を調べた。キャラクタリゼーションは粒度分布測定、SEM、XRD、TG-DTAにより行った。As-prepared繊維では粒子はかなり緻密に充填し、部分的には粒子の三次元的規則配列も見られたが、大部分の領域では粒子の規則的な配列は観察されなかった。また、600℃熱処理したTiO2繊維のUV-Vis反射スペクトルはAs-prepared繊維と比較して、全体的に可視光側に約50nmレッドシフトしていることが分かった。
  • 土田 公一, 陶山 容子
    セッションID: 3F06
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    単分散アナターゼ型TiO2ゾルを空気中で363Kで乾燥させることにより、繊維状TiO2を調製した。得られた繊維は幅は約130μmで、長さ4~7cmだった。得られた繊維を363K~1273Kで熱処理した。熱処理温度の上昇と共に、アナターゼ相の結晶性の増加と粒子の焼結による166cm2/g~8.5cm2/gへの比表面積の減少がみられた。アナターゼ相の相転移によって1273Kでルチル相が現れた。繊維状TiO2はメチレンブルー(MB)の高い吸着特性を示す。600℃で熱処理した繊維状TiO2は約60%のMB吸着量を示した。また、600℃熱処理の繊維状TiO2上に吸着したMBの分解をUV照射下で測定し、高い光触媒作用を示すことが分かった。
  • 伊東 一篤, 佐藤 祐喜, 足立 基齊, 吉門 進三
    セッションID: 3F07
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    本研究では酸化チタンナノワイヤーと呼ばれているナノ粒子(TNW)を用いた電気泳動法による酸化チタン薄膜の作製を試みた。TNWには粒子と粒子のつなぎの部分において結晶格子がつながるいわゆるoriented attachment と呼ばれる機構があり,1次元構造をとっていため電子の輸送が容易になる。TNWでは酸化チタン微粒子(P25)と比べて透明性の高い薄膜を堆積した。膜厚を厚くすると剥離が生じたが泳動開始後短時間で製膜を終了することでクラックのない極めて高い透明性の薄膜が堆積した。メカニカルミリングにより高分散させたTNWとP25の混合コロイド溶液を用いて電気泳動を行うとクラックがほとんどない透明度の高い膜厚の厚い薄膜が堆積した。
  • Peilin Zhang, Xiangwen Liu, Shu Yin, Tsugio Sato
    セッションID: 3F08
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    A plate-like titanate K0.80Ti1.733Li0.267O4 was coupled with nitrogen doped titania (TiON) by the hydrothermal reaction. The prepared samples were characterized by XRD, SEM, UV-vis and BET analysis, and the photocatalytic activities were evaluated by deNOx reaction. The coupling of these two compounds showed significant effect in enhancing the photocataltytic activities under visible light irradiation.
  • 杉本 圭次郎, 久保 敬, 小野木 伯薫, 山崎 友紀, 中平 敦
    セッションID: 3F09
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    酸化チタン(チタニア)を高濃度のアルカリ水溶液で水熱処理することにより合成されるチタニア誘導ナノチューブは光触媒をはじめとする環境・エネルギー分野での応用が期待されている。このようなチタニア誘導ナノチューブの形態は水熱条件に依存することが知られており、特にアルカリ水溶液の濃度が生成物の形態に与える影響を評価することは重要である。 本研究では、合成条件を制御することにより、0.1 M以下の低濃度水酸化ナトリウム水溶液による水熱処理でチタニア誘導ナノチューブ合成を試み、水熱処理時の水酸化ナトリウム水溶液の濃度の影響について詳細に検討したので、それらの結果について報告する。
  • 久保 敬, 杉本 圭次郎, 田尻 駿介, 小原 真司, 山崎 友紀, 中平 敦
    セッションID: 3F10
    発行日: 2009年
    公開日: 2006/09/12
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    水熱合成チタニア誘導ナノチューブは、光触媒や色素増感太陽電池をはじめとし、様々な分野への応用が期待される注目すべきナノ材料である。このようなチタニア誘導ナノチューブに関して、その合成過程における水熱処理条件や酸処理条件が生成物の形態および構造に大きく影響を与えることがこれまでに報告されている。しかしながら、これら生成物の構造および生成機構においては不明な点が多く、いまだ統一的な見解が得られていないのが現状である。 本研究では、水熱プロセスにより、チタニア粒子の形態制御を試み、その構造を放射光X線吸収微細構造(XAFS)、高エネルギーX線回折(HEXRD)を用い、短および中範囲の構造情報から検討した。
  • 森 正弘, 熊谷 悠, 松永 克志, 田中 功
    セッションID: 3F11
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    酸化チタンナノチューブは,酸化チタン粉末をNaOH 水溶液中で水熱処理することで合成されることが知られており,光触媒や色素増感太陽電池への応用が期待されている.ナノチューブの形成メカニズムとしては、まず中間体として層状酸化チタンが形成され,そこからTi-O層が剥離し,スクロールすると考えられている.中間体の結晶構造の一例としてNa2Ti3O7が候補として挙げられるが,Ti-O 層間に存在するNa+は水溶液中のH+などと一部イオン交換され,ナノチューブ形成に必要なTi-O 層の剥離過程に影響すると考えられる.そこで本研究では,第一原理計算を用いてNa+もしくはH+でイオン交換された層状酸化チタンの各種構造を計算し、それらの生成エネルギーを解析することで層状酸化チタンの安定相の探索を行った.
  • 石澤 陽介, 西出 利一
    セッションID: 3F12
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    水溶液プロセスでChemical Bath Deposition (CBD)法によるアナターゼ型チタニア薄膜を作製し,その光触媒性を調べた。水溶液プロセスで作製したアナターゼチタニアゾルにギ酸を添加して反応液を作製した。この反応液にガラス基板を浸漬し,2つの異なるCBD法でチタニア薄膜を作製した。FE-SEM観察によれば,薄膜表面は微粒子が集積していた。その粒径の反応時間に対する変化は,作製法により異なることが分かった。また,これらのチタニア薄膜の光触媒性を調べ,塗布法のそれと比較したところ,これらの薄膜はすべて同等の光触媒性を示すことが分かった。
  • 松本 尚之, 吉田 克己, 橋本 和明, 戸田 善朝
    セッションID: 3G01
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    一価金属イオン(Li+,Na+,K+イオン)固溶β型リン酸三カルシウムの擬似体液(SBF)中における反応挙動をそれらの無機化学的反応と生体吸収性を検討するために調査した.骨類似アパタイトはすべての試験試料表面上に観察されたが,一価金属イオン固溶β型リン酸三カルシウム上での骨類似アパタイトの生成開始日数や生成量は,金属イオン無添加に比べて早くかつ多かった.試験試料の溶解性試験の結果は,SBF中における一価金属イオン固溶β型リン酸三カルシウムの溶解挙動が,上記の生成開始日数や生成量の違いに起因していることを示唆した.
  • 白石 隼人, 松本 尚之, 吉田 克己, 橋本 和明, 戸田 善朝
    セッションID: 3G02
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    本研究では,歯や骨の石灰化促進作用を有するバナジウムの一種であるバナジン酸イオンをリン酸サイトに固溶したβ型リン酸三カルシウム(β-TCP)を作製・評価し,さらにその焼結体を作製して機械的特性の評価も行った.XRDおよび格子定数測定結果は,添加したバナジン酸イオンはその添加量が2.5mol%までβ-TCP結晶構造中に置換固溶することを示唆した.また,作製した焼結体の曲げ強度は,β-TCP結晶構造中にバナジン酸イオンを固溶させることにより焼結性が向上して気孔率が減少したため,バナジン酸イオン添加量の増加にともなって増加した.
  • 嘉村 浩之, 上高原 理暢, 渡邉 則昭, 井奥 洪二, 大槻 主税
    セッションID: 3G03
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    骨修復材料を目指しケイ素を含有させたリン酸三カルシウムの合成条件を検討した。酸化カルシウム、オルトリン酸水溶液、シリコンアセテート、超純水を出発試料として用いて、モル比をCa/ (P + Si)=1.5、Si/ (P + Si)=0.125に設定し、攪拌中のpHを6.00-8.50の種々のpHにコントロールしながら、湿式法により試料を調製した。調製した試料を90 ℃、12 h乾燥後、1100 ℃または1250 ℃で3 h大気中で加熱し、試料の結晶相を粉末X線回折(XRD)で同定した。高いpHで調製した試料は転移温度が下がっていることがわかった。これはケイ素がTCPに固溶したためと考えられ、pHを高くするほどケイ素がα-TCPに多く固溶したと考えられる。pH7.00-8.00の条件で得られた試料を1250 ℃で焼成すると1100 ℃で存在したHAは分解して、わずかなCaSiO3相が検出されるもののほぼα-TCPとなった。しかしpHが8より大きくなると、1250 ℃で焼成しても、HA が分解されずに存在した。よってpH7.75-8.00の条件で試料を作製することが最適であることがわかった。
  • 戸谷 友貴, 杉野 篤史, 宮崎 敏樹, 川内 義一郎, 菊田 浩一, 大槻 主税
    セッションID: 3G04
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    体液中におけるセラミック表面でのアパタイト形成は、骨との結合に重要な挙動である。このアパタイト形成は、材料表面の空間を適切にデザインすると促進される。本研究ではシリカを主成分とする材料を基板に用いて、体液類似環境でのアパタイト形成に対する空間デザインの影響を調べた。カルシウムイオンを溶出する性質もしくはシラノール基に富む表面を持つ材料であれば、空間をデザインした場合に、擬似体液中でアパタイトの形成が観察された。空間デザインは、体液類似環境での、シリカを主成分にした基板表面でのアパタイト形成を促進することが明らかになった。
  • 中尾 容子, 城崎 由紀, 早川 聡, 尾坂 明義, 都留 寛治, 杉野 篤史, 植月 啓太
    セッションID: 3G05
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    医療用金属チタンの骨組織結合性を高めるために,生体環境下で表面に自発的に骨類似アパタイト層を形成させる性質を付与することは有効な手段である。金属チタン板の熱酸化で形成した酸化チタン層は,擬似体液(SBF)中でアパタイトを析出しない。しかし,この板状試片2枚を対面配置させ,SBFに浸漬すると両方の表面上にアパタイトが析出することを確認した。オートクレーブを金属チタンに施すと,高温高圧の飽和水蒸気により表面で加水分解反応が起こり,アパタイトの核形成に有利なTi-OH基や水和酸化チタン層が形成すると考えられる。本研究では,熱酸化で形成した酸化チタン層にオートクレーブ処理を施し,隙間環境下でのin vitroアパタイト形成能を評価した。
  • 都留 寛治, 杉野 篤史, 早川 聡, 城崎 由紀, 石川 邦夫, 尾坂 明義
    セッションID: 3G06
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    GRAPE Technologyは金属チタンやチタン合金の骨伝導性を高めるための新規技術であり,材料表面に凹状の加工を施した後,熱処理を施すという至って簡単な手法で,体液環境下で自発的にアパタイトを析出する能力を付与させることが可能である。本研究では,この技術を用いて表面処理したシリンダー状のTi-15Zr-4Nb-4Ta合金(GRAPE群)を兎の大腿骨欠損内に2, 4, 8週間埋入し,引抜試験により骨結合強度を評価した。その結果,GRAPE群はNon-GRAPE群と比較して有意に高い骨結合強度を示した。
  • 木付 貴司, 山口 誠二, 高玉 博朗, 松下 富春, 中村 孝志, 小久保 正
    セッションID: 3G07
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    新家が開発したTi-29Nb-13Ta-4.6Zr合金(以下TNTZ合金)は、為害性ある元素を含まず、低弾性率を示し、Ti-6Al-4V合金と同等の機械的強度を示すといわれている。しかし、この合金は、チタン金属に生体活性を付与する方法として知られるアルカリ-加熱処理によっては、擬似体液(SBF)中でアパタイトを形成するようにはならない。本研究は、同合金に高い生体活性を付与する新しい化学処理法を開発することを目的とする。TNTZ合金をNaOH水溶液で処理した後、CaCl2水溶液で処理すると、その表面にはCaが導入される。これを700℃で加熱すると、表面層の引っかき抵抗が著しく向上したが、擬似体液(SBF)中でのアパタイト形成は認められなかった。しかし、これを温水で処理すると、SBF浸漬3日以内にその表面にアパタイトを形成した。このことから同処理を施したTNTZ合金は、生体内でも同様に高いアパタイト形成能を発現する有用な生体活性インプラント材料になると期待できる。
  • 金田 治輝, 城崎 由紀, 早川 聡, 尾坂 明義, 植月 啓太
    セッションID: 3G08
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    金属チタン板を化学酸化と熱処理し形成させた,nm-スケールの多孔質表面を持つ結晶性酸化チタン層 (アナターゼ相)は,優れたin vitroアパタイト形成能を持つ。一方,金属チタン板の熱酸化で形成した酸化チタン層 (ルチル相)は優れたアパタイト形成能を示さないが,紫外線 (UV) 照射によってアパタイト形成能が発現する。これらの知見に基づけば,UV照射は化学酸化によって誘起されたアナターゼ層のアパタイト形成能も向上させると期待される。本研究では,UV照射と上記アナターゼ層のアパタイト形成能との関係を調べた。
  • 山田 祐司, 赤津 隆, 干川 康人, 篠田 豊, 若井 史博
    セッションID: 3G09
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    プラズマ電解酸化(plasma electrolytic oxidation: PEO)法は、高電圧印加によって発生する火花放電によって陽極金属に結晶性の酸化皮膜を形成する。作製される酸化皮膜は、優れた密着強度を有し、かつ、電解条件によって酸化皮膜の化学組成や微構造を制御することで表面機能付加が可能である[1]。その一例として、これまで我々はPEO法によるチタン表面の生体活性化に取り組んでいる[2]。本研究では、電解条件として電解液の種類や、その濃度及び印加電圧を制御することで,チタン表面に種々の酸化皮膜を作製し、その生体活性を調査した。
  • 井上 侑子, 鳥飼 紀雄, 渡 孝則, 矢田 光徳, 野田 岩男, 佛淵 孝夫
    セッションID: 3G10
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    チタンやチタン合金をNaOH水溶液中で反応させることにより、それらの金属の表面にチタン酸ナトリウム薄膜が形成される。この薄膜は優れた骨伝導性を有するために、人工股関節用材料への応用研究が活発になされている。一方、人工股関節置換手術においては、全手術のうち約1%の手術において感染が生じることが知られており、抗菌性人工関節用材料の開発が望まれている。本研究では、チタン板上に形成させた種々のナノ形状(不定形状、ナノシート状、ナノファイバー状、ナノチューブ状)のチタン酸ナトリウムからなる薄膜の抗菌性を調べたところ、ナノファイバー薄膜が特異的に高い抗菌性を有することがわかったので報告する。
  • 十河 友, 伊藤 敦夫, 李 霞, 大矢根 綾子, 小野口 真広, 一ノ瀬 昇
    セッションID: 3G11
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
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    アルカリ加熱処理チタン板を基材として、リン酸カルシウム溶液の過飽和度が塩基性タンパクのチトクロームCの共沈担持に与える影響について検討した。Ca/Pモル比、NaHCO3濃度及びcyt C濃度を一定とし、Ca濃度が1.50、2.25及び3.00 mMとしたリン酸カルシウム溶液は、過飽和度を上昇させると、基材上に共沈するリン酸カルシウム量及びチトクロームC量を増大させる傾向が認められた。しかし、リン酸カルシウム層中のチトクロームC密度に換算すると低下傾向となった。この結果は、リン酸カルシウム溶液の過飽和度によって塩基性タンパク密度が制御可能であることを示唆している。
  • 吉田 京子, 本山 美香, 川井 貴裕, 鵜沼 英郎
    セッションID: 3G12
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    基材表面にウレアーゼを固定化し、Ca2+, PO43-及び尿素を含む水溶液中に浸すと、短時間でそれらの表面にリン酸カルシウムの被膜が均一に形成される。同法を用いて、細胞適合性の高いコラーゲン層を予め被覆したチタン表面にアパタイトを均一に析出させる条件の検討を行い、析出物の評価を行った。純チタン板にコラーゲンフィブリルとウレアーゼを固定化し、これをCa2+, PO43-及び尿素含む水溶液に浸漬した。処理試料の表面には白色の析出物が観察され、骨類似アパタイトに特徴的な微細な針状粒子の集合体であることがわかった。析出物の相は水酸アパタイト(HAp)であった。短時間で均一なチタン/コラーゲン/アパタイト複合体を作製することに成功した。
  • 横川 善之, 藤間 健史, 西東 顕, 中村 篤智, 岸田 逸平
    セッションID: 3G17
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    構造誘導剤としてブロックコポリマーPEO20PPO70PEO20 (P-123)を用い、反応温度・水熱処理温度と添加剤の量を変えてSBA-15合成を行った。アルブミン(BSA)をリン酸緩衝液中で吸着させた。メソ孔の気孔径が、BSAを越えると吸着量は大きく増大するが、吸着量は最大の気孔径を持つ試料では、むしろ低下した。気孔体積の減少のためと考えられた。一般に平均気孔径が大きくなると比表面積、気孔体積は減少する。この場合、吸着質よりやや大きなサイズの気孔径を持つメソポーラス材料で最大の吸着量を示した。
  • 蒲沢 直紀, 大塩 茂夫, 赤坂 大樹, 齋藤 秀俊
    セッションID: 3G18
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    表面プラズモン共鳴(SPR)分析は金属薄膜表面空間の屈折率変化を感度良く捉えることが可能である。金属薄膜表面上にアモルファス水素化炭素(a-C:H)膜を作製したSPR素子を用いて、a-C:H膜表面へのタンパク質吸着の検出を試みた。試料として高周波マグネトロンスパッタリング法により作製され、窒素を添加して作製したa-CNx-:H膜と添加していないa-C:H膜を用い、被検出タンパク質にはヒト血清アルブミンを用いた。SPRを用いたタンパク質吸着評価より共鳴角の変化から二つの試料に対し共に吸着の挙動が確認され、異なる構造を持った炭素系膜について、タンパク質の吸着を評価することが可能であることが示された。
  • 伊井 清人, 大塩 茂夫, 赤坂 大樹, 齋藤 秀俊
    セッションID: 3G19
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    タンパク質の吸着現象が等電点とチタニアの表面電荷により決定されるとき、この吸着現象はタンパク質を溶解する溶液のpHに依存しないはずである。そこで本研究では、pH7のリン酸ナトリウム緩衝液(PB)およびpH4のリン酸二水素ナトリウム(SDP)溶液を用いて、各溶液中におけるチタニア表面へのタンパク質の吸着を表面プラズモン共鳴現象を利用した評価法により調査した。PBに溶解した場合、HSAはチタニア表面に吸着することが示された。一方の酸性溶液に溶解した場合もHSAはチタニア表面に吸着することが示され、チタニアの表面電荷がHSAの吸着に与える影響は小さいということが示された。
  • 小西 美有紀, 伊井 清人, 大塩 茂夫, 赤坂 大樹, 齋藤 秀俊
    セッションID: 3G20
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    表面プラズモン共鳴(SPR)を利用したセンサ素子の表面上約200 nmの空間における微小な屈折率変化を,共鳴角の変化として検知することが可能な測定方法である.このセンサ素子表面に酸化物膜を挿入することで,酸化物膜-液体界面および酸化物膜と生体分子の相互作用の検出が可能となる.本研究では,アモルファスアルミナ膜/金属膜積層SPR素子を用いてリン酸緩衝液(PB)に溶解したヒト血清アルブミン(HSA)とアルミナ膜の吸着・溶出の評価を行った.その結果, はじめはアルミナ膜表面から付着していたHSAが除去されたことを示唆する結果となり,アルミナ膜へHSAは吸着するが,アルミナ膜が微少にPBによりエッチングされ,時間経過に伴いHSAがアルミナ膜と共に溶出していくことが示された.
  • 李 誠鎬, 春日 敏宏, 加藤 且也
    セッションID: 3G21
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    無機ナノ粒子の生体安全性の基準は未だ確立されておらず、ナノ粒子を生産する企業群からは、その生体安全性について不安視する声も上がってきている。今回市販されている、粒径の異なるY2O3粒子の生体安全性を、マウス骨芽細胞様細胞を用いてin vitro における増殖・毒性を測定することで評価した。結果、Y2O3粒子の粒径が小さいほど、また高濃度ほど毒性が発現する傾向が現れた。アクチンフィラメント染色後の観察で、Y2O3 33 nm 10 μg/ml の場合、細胞の大きさはコントロールに比べ小さくなっており、アクチンフィラメントも少なかった。これらの結果から、10 μg/ml以上の濃度のY2O3ナノ粒子はアクチンフィラメントの発達を抑制し、また細胞増殖を抑制すると考えられる。
  • 岡田 伸之介, 長井 篤, 小茂鳥 潤, 今井 宏明
    セッションID: 3G22
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,表面のナノ構造を制御した水酸アパタイト(HA)基板を合成し,その表面におけるL929細胞の接着挙動を骨芽細胞と比較検討した.平滑なHA表面上やミクロンサイズの結晶に覆われたHA表面上では,L929細胞は骨芽細胞と同様に良好な接着性,増殖性を示した.さらに,骨芽細胞では増殖が抑制されるナノファイバー結晶で覆われたHA表面上でも,L929細胞は良好に接着,増殖することが判明した.特に,pH9で合成されたナノファーバー状表面では,L929細胞の接着性が平滑表面よりも向上した.また,ナノニードル,ナノシート結晶で覆われたHA表面上では,骨芽細胞とL929細胞の双方で増殖が抑制されることが判明した.
  • 村杉 有希, 神澤 信行, 相澤 守
    セッションID: 3G23
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    水酸アパタイト(HAp)は性質の異なる2つの結晶面を有し、生体内の配向状態が存在部位によって異なることから、結晶面の違いが細胞の分化に対して何らかの影響を与えていると考えられる。そこで、我々はc軸に配向したアパタイトファイバーを用いて、a面を多く露出したHApセラミックス緻密体を作製し、そのセラミックス上での株化骨芽細胞(MC3T3-E1)の培養を行い、培養初期における骨芽細胞の分化マーカーの遺伝子発現について調べた。その結果、a面を多く露出したHApセラミックスは培養初期の段階で後期の分化マーカーを発現していたが、等方的なHApセラミックスでは発現していなかった。以上の結果は、HApの配向性は骨芽細胞の分化を促進する作用を有する可能性があることを示唆している。
  • 中村 美穂, 永井 亜希子, 関島 安隆, 田中 優実, 山下 仁大
    セッションID: 3G24
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    エレクトロベクトルセラミックスによって強化された骨伝導能機構を解明するために、分極材料のキャラクタリゼーションを行った。更に、骨伝導強化に関与すると考えられる細胞の挙動について骨芽細胞様細胞を用いてin vitroで検討した。接触角測定の結果、分極は材料のぬれ性向上に寄与することが確認された。また、接着細胞数測定、接着細胞像の伸展率計測、接着斑数測定により、分極による骨芽細胞様細胞の接着能促進傾向がみられた。更に、移動能評価により分極による細胞移動能促進傾向が見られた。細胞接着及び移動は細胞骨格形成と関与するため、分極は細胞骨格形成に影響を与えていると考えられた。
  • 宮本 吏佳子, 大新垣 達也, 小沢 明日香, 大橋 健太, 山田 武, 吉田 克己, 山室 修, 橋本 和明, 戸田 善朝, 宇田川 重和 ...
    セッションID: 3G25
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    骨構成細胞に関与するイオンはNa+イオン,歯のエナメル質にはMg2+イオンを含有したβ型リン酸三カルシウム(Na+Mg-TCP)焼結体を作製し,細胞反応を評価した.Na+Mg-TCP上での骨芽細胞様細胞のALP活性値がβ-TCPのそれに比べて低い値となった.Na-TCP,Mg-TCP,Na+Mg-TCP上でのALP活性値はβ-TCPのそれと比べて低い値となったが,骨形成能があることがわかった.
  • 王 巍, 伊藤 聡一郎, 山本 直輝, 永井 亜希子, 山下 仁大
    セッションID: 3G26
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    電気分極したβ-TCP粉体をキトサン神経チューブの外層に固定し、分極β-TCP粉体がもつ電場が末梢神経再生に及ぼす影響をラットの坐骨モデルで検討した。術後4週の組織観察で、分極β-TCP粉体固定化チューブにおいて、毛細血管再開、軸索進展、ミエリン化が促進された。電気分極β-TCP粉体が生体吸収性をもち、安定した電界刺激を提供し神経再生において有効な補助材料だと考える。
  • 李 霞, 王 秀鵬, 伊藤 敦夫, 十河 友, 程 侃, 山? 淳司, 大矢根 綾子
    セッションID: 3G27
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    我々は、創外骨折固定スクリュー表面に繊維芽細胞成長因子/アパタイト複合層(Ap-FGF層)を形成して挿入路感染発症率を半減させた。本研究では、FGF-2の失活を防止するため、Ap-FGF層の形成温度を4-30℃の温度範囲で探索し、最適温度を求めた。SEM観察、XRDにより、Ti棒表面に低結晶質アパタイトの形成を確認し、XPSによるNの検出によりTi棒上へのFGF-2の担持を確認した。アパタイトの形成量とFGF-2担持量は浸漬温度の低下とともに減少した。すなわち、30℃でFGF-2 担持量は最大値0.35±0.02 µg/cm2となり、4℃で最小値0.16±0.03 µg/cm2となった。一方、温度が低いほどFGF-2の失活が防止されるため、15℃及び20℃のときにAp-FGF層のFGF-2 活性が最大となった(Fig.)。本研究で用いた担持条件は過去の担持条件よりも穏やかで、FGF-2の失活率が低いことから、高い抗感染機能が期待できる.
  • 矢崎 侑振, 大矢根 綾子, 鶴嶋 英夫, 十河 友, 伊藤 敦夫, 山? 淳司
    セッションID: 3G28
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    細胞内に安全かつ高効率に遺伝子を導入する技術は、再生医療や遺伝子治療を行う上で重要である。本研究では、DNA–フィブロネクチン–アパタイト複合層(DF-Ap層)に、アパタイトの溶解性向上因子である炭酸を添加することによって同層表面における遺伝子導入効率を向上できることを示した。一方、DF-Ap層に溶解性低減因子であるフッ素を添加することによって遺伝子導入効率を低減できることを示した。以上の結果から、DF-Ap層に炭酸、あるいはフッ素を添加することによって、同層表面における遺伝子導入効率を制御できることが明らかになった。
  • 庄司 慎, 鈴木 俊太郎, 藤原 健志, 中山 忠親, 鈴木 常生, 末松 久幸, 新原 晧一
    セッションID: 3H03
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    近年,熱伝導性の良い放熱シートの研究が多くなされている。放熱シートはポリマーにフィラーを添加したものが使用されている。主に使用されているフィラーの一つに窒化ホウ素(BN)が挙げられる。BNは熱伝導異方性を有しており,a軸方向には熱伝導率が良く,c軸方向には悪いことが知られている。しかし,現在フィラーとして用いられているBNはc軸方向に厚く,熱伝導率が悪い。そこで,これまでに我々はa軸方向に広いBNナノシート合成に成功している。また,合成されたBNナノシートへ銀粒子を担持することができれば更なる放熱性の向上が見込まれる。本報告では液中レーザーアブレーション(LA)法および超音波化学法を用いて,BNナノシートへの銀担持を試みたので報告する。
  • 石川 善恵, 越崎 直人, 馮 旗
    セッションID: 3H04
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    有機溶媒中にアモルファスホウ素粉体を分散させ、パルスレーザーを照射することによって常温・常圧の液相中で炭化ホウ素ナノ粒子を合成することに成功した。得られた炭化ホウ素の平均粒子サイズや炭化ホウ素の収率は照射時間やフルエンス、レーザー波長などの条件により変化した。特にレーザーフルエンスの影響は大きく、比較的低いフルエンスでは主に炭化ホウ素の生成が見られ、フルエンスの増大に従いホウ酸の生成が顕著に確認された。
  • 打越 哲郎, ベスラ ラックスミダー, 鈴木 達, 目 義雄
    セッションID: 3H05
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    セラミック粒子のサスペンションに電場を印加し電極基板上に粒子堆積膜を形成させる電気泳動堆積(EPD)プロセスでは、水の電気分解により基板表面で発生する気泡が膜質や膜密度に悪影響を及ぼさないよう、分散媒に非水溶媒を用いるのが一般的である。しかし、我々は、水系サスペンションにDCパルス電場を印加すると、気泡発生のない良好な膜質の堆積層が形成できることを見出し、パルス電圧やON/OFF時間などが気泡抑制に及ぼす条件を系統的に検討してきた。本研究では、水系アルミナサスペンションを用い、DCパルスEPDにおける粒子の堆積固化メカニズムについて検討することを目的とした。
  • 榊原 咲, 鈴木 達, 打越 哲郎, 武藤 浩行, 松田 厚範, 目 義雄
    セッションID: 3H06
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    一般に、非対称な結晶構造をとる物質の特性は結晶方位により異なり、多結晶材料でも組織を優先配向することで特性の向上が期待できる。結晶の配向制御を可能とするプロセスの一つに、外部からの強磁場を利用した磁場配向プロセスが注目されている。これに更に電場を重畳作用させることで、高次な構造制御が可能となる。本研究では、硬度、耐熱性の向上や化学的安定性の改善のため、耐火煉瓦や研磨剤として使用されている炭化ケイ素(SiC)で、結晶方位が配向した多結晶体を強磁場中、電気泳動法(EPD)により作製することを目的とした。
  • 佐伯 雄大, 堀 太一, 佐俣 博章, 水崎 壮一郎, 永田 勇二郎, 小澤 忠, 佐藤 晃
    セッションID: 3H07
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
     本研究では、アルカリ土類金属の塩化物を溶媒として用い、ペロブスカイト型酸化物 CaRu1-xMnxO3 及び Ca1-xSrxRuO3 の電気化学的な結晶合成方法の確立を試みた。溶媒には CaCl2 と SrCl2、原料には RuO2 と Mn2O3 を用いた。これらをアルミナ坩堝に入れて昇温溶解した後、溶媒中に挿入した 2 本の Pt 電極に直流電圧を印加することで、電極表面で結晶の合成を行った。その結果、液相中での合成を反映して、自然成長面に囲まれた自形を有する置換系結晶が得られた。本手法では、原料または溶媒の比率を制御することで、様々な x を有する CaRu1-xMnxO3 及び Ca1-xSrxRuO3 の結晶合成が可能となる。
  • 松本 勇磨, 植田 紘一郎, 手代木 洋一, 冨田 恒之, 藤田 一美, 山谷 倫央, 垣花 眞人
    セッションID: 3H08
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    助触媒を必要としない水分解光触媒であるK3Ta3B2O12をペルオキソタンタル酸錯体を原料に各種溶液法で合成した。そのうち単相で合成することに成功したのは錯体ゲル法と錯体重合法(ポリアミド法)であった。錯体ゲル法で合成した触媒の水分解活性評価を行ったところ、従来報告されている固相法の活性に勝ることはなかった。しかし助触媒を担持することで活性が最大6.4倍ほどになった。溶液法で合成した試料はホウ素が揮発するため欠陥が生じ、そこに励起電子がトラップされることで活性が低下したのではないかと考えられ、この系は本来助触媒を必要とするのではないかと考えられる。
  • 犬丸 啓, 安西 淳, 山中 昭司
    セッションID: 3H09
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    遷移金属クラスターハロゲン化物やヘテロポリ酸は,ナノメートルサイズの明確な分子構造を持つため,特異なナノ構造を構築するビルディングブロックとして興味ある物質群である.例えば,我々は,Mo6核クラスター塩化物の有機塩基塩(HNC5H4OH)2Mo6Cl14が,水やアルコールの吸収・脱離にともない等方的な結晶構造とクラスター分子が層状に配列した異方的構造との間を可逆的に変換することを見出した.本研究では,Mo6核クラスターハライド分子をビルディングブロックとし,高圧高温処理を含む種々の合成条件による新規ネットワーク構造の構築をめざした.
  • 土田 和真, 田中 諭, 古嶋 亮一, 植松 敬三
    セッションID: 3H10
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    アルカリ土類金属のジルコン酸塩は高い融点を持つため,高温材料として利用されている.その中でもジルコン酸ストロンチウムは物理的,化学的に高い安定性を示す.原料粉体のナノ粒子化は焼結温度の低下に有効である.クエン酸錯体重合法は,低温でナノ粒子の合成が可能な方法として知られている.そこで本研究では同手法を用いてジルコン酸ストロンチウムのナノ粒子の合成を行なった.熱処理の温度と保持時間が粒径,結晶相,残炭成分に与える影響について考察した.ジルコン酸ストロンチウムのナノ粒子は600℃の熱処理によって得られた.ただし,わずかな炭酸塩と酸化ジルコニウムが熱処理後もいまだに残っていた.
  • 垣花 眞人
    セッションID: 3H11A
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    錯体重合法は、クエン酸を過剰に含む金属クエン酸錯体のグリコール溶液を加熱して得られるポリエステル樹脂を前駆体として利用するセラミックス合成法である。ポリエステル樹脂中に構成金属が高度に均一分散しているので、この樹脂を熱処理し有機分を取り除くことにより、組成が高度に制御された均一なセラミックス粉末を得ることができる。本講演では、金属錯体と高分子との融合技術である錯体重合法の適用例として、_丸1_組成の複雑な酸化物粉体の代表的な例である酸化物高温超伝導体の高純度合成、_丸2_光機能材料として重要な水分解光触媒の合成と高機能化、そして_丸3_新規蛍光体合成を例に物質探索手段としての錯体重合法の側面について紹介する。
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