日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
2011年年会講演予稿集
選択された号の論文の715件中601~650を表示しています
  • 菊地原 杏菜, 櫻井 文人, 関口 良, 木村 敏夫
    セッションID: 3H22
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    テンプレート粒子成長法により(K,Na)NbO3系セラミックスに結晶配向を付与する場合、テンプレートとなる板状粒子が必要である。多くの場合、板状粒子は溶融塩法で作製されているが、NaNb3はペロブスカイト構造をもち、結晶構造の異方性が小さいため、板状粒子の合成は容易ではない。そこで、一旦層状構造をもつために板状粒子になりやすいBi2.5Na3.5Nb5O18(BNN5)を溶融塩法で合成し、次に、これとNa2CO3と溶融塩中で反応さる二段階溶融塩法で板状NaNbO3粒子を得ている。しかし、この方法で得られた板状粒子は多結晶体であることと、副生成物のBi2O3を除去するために酸洗いが必要となる欠点がある。筆者らは、加熱プロセスを工夫することにより、一段階の溶融塩法により、副生成物のBi2O3を含まない単結晶の板状NaNbO3粒子を合成する方法を見出した。
  • 武井 基樹, 手嶋 勝弥, 森 力, 上川 秀哉, 大石 修治
    セッションID: 3H23
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    活性炭は,有機物に対して高い吸着特性を示し,安価で大量生産が可能であるため,吸着材料として広く使用されている。また酸性官能基を導入することで金属イオン吸着特性を向上できるが,有機物吸着特性が低下する。そこで,イオン交換特性をもつチタン酸塩結晶を担持することで,上記の課題解決を期待した。本研究では,水溶液法とフラックス法の二種類の溶液法を組み合わせ,チタン酸塩結晶/活性炭複合体を比較的低温で作製することを目的とした。水溶液法で粒状のTiO2を活性炭表面に形成できた。さらに,フラックス法により,TiO2をチタン酸塩結晶に変化できた。TiO2を層状チタン酸塩結晶にすることで,金属イオン吸着特性を格段に向上できた。
  • 佐藤 裕人, 山田 高広, 山根 久典
    セッションID: 3H24
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    Nb板をNa-Si融液中1200 Kで12 h加熱することで,その表面に厚さ約70 μmの緻密NbSi2層が形成された.このNbSi2層の厚さは,加熱温度に伴い増加し,加熱時間の平方根に比例して増加した.表面にNbSi2層が生成したNb片は大気中1400 K 10 hの加熱後も形状を保ち,重量変化もほとんどなかったが,大気中,1000 K,10 hの加熱では,試料表面が著しく酸化され,試料は粉化した.これは,ペスト現象と呼ばれる,多くのケイ化物で観察される低温における脆性的な破壊を伴う著しい酸化現象によるものと考えられた.
  • 単 躍進, 吉岡 雄大, 山崎 広樹, 手塚 慶太郎, 井本 英夫
    セッションID: 3H25
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    Na-M-Te(M=Co, Mn, Ni)系新規酸化物単結晶は自己フラックス法により合成に成功した。ICP発光分析より得られた二種類の単結晶体の金属組成比は,それぞれNa:Co:Te=0.86:2.67:1.00とNa:Mn:Ni:Te=0.50:0.75:2.00:1.00であった。SHELXを用いて結晶構造解析を行ったところ,二種類の結晶とも空間群P63/mに属し,格子定数はそれぞれa= 9.359(3) Å,c= 9.096(8) Åとa= 9.27(2) Å c= 8.89 (3) Åであった。両物質とも室温で反強磁性体であった。
  • 水野 恒平, 松原 弘明, 宇治原 徹, 竹田 美和, 青木 祐一, 竹内 幸久
    セッションID: 3H26
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    半導体の超高集積化に伴い、排熱が大きな問題となっている。AlN(窒化アルミニウム)は高熱伝導率絶縁体材料であり、排熱用基板材料として期待が高い。現在、多結晶体基板は主に焼結法で作製されているが、2000℃近い高温プロセスのため、環境負荷が大きい。それに対して我々は1000℃程度の低温で作製が可能な溶液成長法の研究を行ってきた。本手法ではAl融液に窒素を溶解しAlN多結晶体を作製する。今回我々は、Alの窒化を促進するために、Mgを外部から気相供給する新手法でAlNの作製を試みた。Mg蒸気は窒素と反応して窒化マグネシウムを生成し、さらにAl融液と反応してAlNを生成する。AlN単体を作製するためには、Mg蒸気をAl融液直上で窒素と反応させることが重要であった。
  • 小林 亮, 加藤 英樹, 垣花 眞人
    セッションID: 3H27
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    水溶性チタン錯体の一つであるペルオキソクエン酸チタン錯体の濃エチレンジアミン(EDA)溶液のソルボサーマル処理から球状チタン酸が生成することを見出した。80 wt%以上の濃度のEDAを溶媒に用いることで球状粒子を作製することが可能であり、析出した球状粒子はEDAがインターカレートしたチタン酸ナノ粒子から構成される中実粒子があることが分かった。球状凝集体の粒径はエチレンジアミン濃度および処理温度の増加に伴い増大し、1-5 μmの範囲で制御が可能であった。また得られた球状粒子は2~5 nmのメソ孔を有していた。加えて、大気中での焼成により、球状形状とメソ孔を有したままアナターゼ型酸化チタンへと転移させることが可能であった。
  • 大野 幸亮, 山本 和広, 冨田 恒之, 谷口 貴章, 小暮 敏博, 勝又 健一, 松下 伸広, 岡田 清
    セッションID: 3H28
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    TiO2は紫外光で励起して有機物の分解活性や光誘起親水性を示すことで代表的な光触媒材料であり、様々な分野に応用されている。一般的に使用されているのは合成が容易なアナターゼ型やルチル型である。他相としてブルッカイト型があるが、ルチル型、アナターゼ型に比べ合成が困難であるがためにその性質はあまり研究が進んでいなかった。近年、冨田らにより水溶性チタン錯体を用いることで1次元型ナノロッドのブルッカイト型酸化チタンの単相合成が報告された。しかし、このブルッカイト型酸化チタンは高結晶性だが凝集が顕著に見られ、薄膜化へのコーティング材料として用いるのは困難であると考えられる。近年、谷口らにより粒子表面をオレイン酸修飾することにより高分散性の無機ナノ粒子の合成についての報告がされた。これらのことを踏まえて本研究ではグリコール酸チタン錯体にオレイン酸ナトリウムを添加する脂肪酸被覆水熱成長法を用いることにより高分散性ブルッカイトナノ粒子の合成を試みた。
  • 山本 和広, 冨田 恒之, 三浦 恭之, 垣花 眞人
    セッションID: 3H29
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    酸化チタン(TiO2)は紫外光を照射することで脱臭、抗菌、有害な有機物の分解や光誘起親水性などの機能を示す半導体光触媒である。TiO2にはrutile、anatase、brookite、bronze型構造などの多形が存在し、これまでにもrutile、anataseを用いたTiO2薄膜の光誘起親水性の報告がされているが、準安定相であるbronze型TiO2薄膜の光誘起親水性の報告はまだない。本研究では水溶性チタン錯体を原料として水熱法、エマルション水熱法によりbronze型TiO2を合成し、それらを用いて作製した2種類のbronze型TiO2薄膜の光誘起親水性評価を行った。
  • 西田 敬明, 神岡 佑, 青野 宏通, 定岡 芳彦, 栗原 正人, 坂本 政臣
    セッションID: 3H30
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    我々はこれまでに RE[FeIII(CN)6]•nH2O (REは希土類元素)多核錯体を合成し, その熱分解生成物がきわめて均質性の優れたペロブスカイト型酸化物となることを報告してきた。この系のRE3+サイトに2価のSr2+を部分置換することができれば, 電気伝導性などが向上し, 様々な応用への展開が期待できる。しかし, Srを含むシアノ錯体の報告は無く, これまで2価のSrを置換することはきわめて困難であった。  今回, 新規の(NH4)2Sr[FeII(CN)6]多核錯体の合成に成功し, この錯体は合成時にRE[FeIII(CN)6]•nH2O多核錯体と共沈させることにより, RE-Sr-Fe系多核錯体を得ることが可能であることが明らかになった。本研究ではこの合成方法と熱分解生成物について報告する。得られた多核錯体について出発原料よりもSr比が大きく減少することがわかり, 熱分解生成物についても検討を行ったところきわめて均質にLaとSrが分散したペロブスカイト酸化物の生成が確認できた。
  • 松本 勇磨, 冨田 恒之, 関根 嘉香, 垣花 眞人
    セッションID: 3H31
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    従来のエステル結合を用いた錯体重合法ではホウ酸がグリコールと反応して揮発してしまうため、ホウ酸塩の合成が困難であった。そこで私はグリコールの代わりにエチレンジアミンを用い新しい錯体重合法を開発した。その新規錯体重合法を用いたところ、K3Ta3B2O12とYBO3:Euを単相で合成することに成功した。新規錯体重合法と固相法、錯体ゲル法を用いて合成したYBO3:Euの発光強度を比較すると、新規錯体重合法で合成した試料が一番強い発光を示した。これは、新規錯体重合法を用いることで前駆体の均一性が増すため、賦活剤がよく分散し濃度消光が軽減されたため発光が向上したと考えられる。このことから新規錯体重合法は従来の錯体重合法同様に優れた均一性を有する方法であることがわかった。
  • 田口 秀樹, 高田 正男, 廣田 健
    セッションID: 3H32
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    錯体重合法を用いて、ペロブスカイト型構造をとるCaMnO3の合成温度を下げる実験を行った。出発原料に少量の蒸留水と硝酸を加え、金属硝酸塩の水溶液を作製した。そこに、クエン酸とエチレングリコールを所定量加え、混合した。100℃で数時間保持することにより、均質なゲルを得た。ゲルを大気中で仮焼した後、大気中900℃で3時間焼成した。粉末X線回折法により、生成物は斜方晶系のペロブスカイト型CaMnO3であることを確認した。固相反応法を用いた場合、ペロブスカイト型CaMnO3を合成するためには、酸素気流中1200℃以上の温度で長時間焼成する必要がある。ところが、錯体重合法を用いると、低い温度でCaMnO3を合成することができた。電気特性を測定するため、この粉体を酸素気流中900~1300℃で1時間焼成した。1150℃で焼成した場合、焼結体の相対密度は95%ほどであり、電気抵抗率は室温で約1.18×10-2 Ω·mであった。
  • 猪股 義彦, 平岡 和佳子, 本田 みちよ, 小西 敏功, 水本 みのり, 相澤 守
    セッションID: 3J06
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    我々は生体適合性に優れたキレート硬化型アパタイト(IP6-HAp)セメントの開発に成功している。セメント作製に使用しているイノシトールリン酸(IP6)は抗腫瘍効果があると報告されており、HeLa細胞に対して2.0 mmol・dm-3のIP6濃度で抗腫瘍効果を示した。そこで、本研究では、HeLa細胞に対するIP6-HApセメントを用いたin vitro評価を行った。トランズウェル試験は、HeLa細胞に対して細胞毒性を示さなかった。IP6-HApセメント上におけるHeLa細胞の初期付着率は、表面修飾したIP6の濃度に依存して減少した。また、IP6-HApセメント上におけるHeLa細胞の増殖性は、5000 ppm以上のIP6水溶液で表面修飾したIP6-HApセメントに関して培養3日後に増殖を抑制した。このことから、IP6-HApセメントは、抗腫瘍効果を示す材料であると期待できる。
  • 安藤 大志, 中村 美穂, 堀内 尚紘, 永井 亜希子, 遠山 岳史, 山下 仁大
    セッションID: 3J07
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    水酸アパタイト(HA)は骨や歯の主成分に近く生体親和性に優れているため、現在幅広く臨床応用されている。一方、我々の研究グループはHAに分極という電気化学的な処理を施すことによって骨伝導能が促進されることを生体内評価によって報告している。しかしながら、どのような過程で骨伝導能が促進されるのかについては明らかでない。そこで、本研究では分極処理を施したHA上での骨細胞の接着および細胞間相互作用の様子を観察し、分極HAが骨細胞に与える効果について検討を行った。実験結果より検討を行った結果、分極は骨細胞の樹枝状突起形成と細胞間相互作用を促進することが示唆された。
  • 渡会 孝典, 中村 美穂, 堀内 尚紘, 橋本 和明, 永井 亜希子, 山下 仁大
    セッションID: 3J08
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    本研究では, 炭酸アパタイト(CA)の分極能として骨芽細胞に及ぼす効果をin vitroで評価した. マウス骨髄由来骨芽細胞を用いて, 試料上での細胞の増殖能を接着細胞数測定によって評価を行った. この結果より, 分極処理を施してないCA試料と比べ分極処理を施したCA試料では, 細胞増殖の強化が確認されるとともに, 播種後 3日, 7日目で水酸アパタイトと比較して分極CA試料では有意差が見られ, 接着細胞数は約1.5倍であった. 
  • 芹野 沙姫, 大橋 健太, 宮本 吏佳子, 柴田 裕史, 橋本 和明
    セッションID: 3J09
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    beta-TCP(b-TCP)はその結晶構造内に各種金属イオンを置換固溶できることから,その物性を制御することができる.このb-TCPに骨成長を促す硫酸イオンと骨芽細胞の増殖を促すマグネシウムイオンを固溶させることにより,骨形成を促す骨補てん材ができると考えられる. そのため硫酸イオン固溶b-TCP(b-TCPS),Mg-TCPSを作製し,チャイニーズハムスター肺由来繊維芽細胞(V79細胞)を用いて細胞毒性試験を行った.細胞毒性試験の結果,b-TCPSとMg-TCPSに細胞毒性はないことがわかった.
  • 宮本 吏佳子, 小沢 明日香, 山田 武, 柴田 裕史, 吉田 克己, 山室 修, 橋本 和明
    セッションID: 3J10
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    β型リン酸三カルシウムは骨補てん材として整形外科分野で応用されているMn2+イオンは破骨細胞の働きを抑制し,骨芽細胞を活性化させる1.これらのことから,固溶量を変化させたMn2+イオンをβ-TCPに固溶(3, 6, 9.09, 13.64 mol%)し,MC3T3-E1細胞を用いて細胞試験を行うこととする.このことから,β-TCPにMn2+イオンを固溶させることで,Ca2+イオンの溶解性を制御でき,タンパク質合成をおこなうRNA量が増加した.特に6, 9 mol% Mn-TCPは細胞のRNAに関与し,低いCa2+イオンの溶出量にも関わらず,β-TCPと同等のALP活性値をもつことから,新しい骨補てん材となりうる可能性がある.
  • 村田  利己
    セッションID: 3J11F
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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  • 原 浩之, 田中 優実, 稲田 幹, 榎本 尚也, 永井 亜希子, 山下 仁大, 北條 純一
    セッションID: 3J17
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    本研究では、Y-TZPセラミックス表面の帯電状態と低温劣化により引き起こされる相転移との関係を分極したY-TZPセラミックスを用いて評価した。直流50V、200℃で分極すると、分極時間によらず陰極側のY-TZPの色が白から黒に変化した。これは、Y-TZP表面への電子の注入によるものだと考えられる。LTD試験の結果、異なる帯電条件にあるY-TZP表面間で相転移率が異なり、電極からの電子注入がLTD耐性に重大な影響を与えたことが示唆された。
  • 堀内 尚紘, 和田 徳雄, 中村 美穂, 永井 亜希子, 山下 仁大
    セッションID: 3J18
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    イットリア安定化ジルコニアセラミックス(YSZ)の低温劣化現象は、水分子の表面への吸着が原因であると理解されている。分極処理による低温劣化の抑制を期待し、本研究では分極処理による水の濡れ性の制御を検討した。3 mol%YSZ粉を用い円柱状の焼結体(直径10mm、1mm厚)を作製した。分極は、焼結体を白金板で挟み、200℃に保持し30分間直流電圧を印加することで行った。印加電圧は、2~1000 V(20~10 kV/cm)変化させた。1000 V印加した焼結体の表面では接触角が低下し、濡れ性の向上を示した。また、表面電荷の正負によって接触角に優位な差は見られなかった。
  • 青木 貴太郎, 永井 亜希子, 堤 祐介, 塙 隆夫, 西尾 圭史, 山下 仁大
    セッションID: 3J19
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    近年、バイオマテリアルの生体機能性を高める手法として紫外線照射による光触媒作用が注目され始めており、今後の研究でそのメカニズムやその他の効果について明らかにすることが必要である。本研究では、MAOにより作製したZrO2不膜の表面特性に紫外線照射が及ぼす影響について調べ、紫外線照射活用の可能性について検討することを目的とした。MAOにより作製したZrO2皮膜に紫外線照射を施すと、濡れ性が著しく向上することが明らかとなった。また、紫外線照射後のZrO2皮膜上においては大腸菌の増殖が大幅に抑制されることが確認され、紫外線が抗菌作用を高めることがわかった。
  • 山? 由子, 永井 亜希子, 馬 楚凡, 堤 祐介, 塙 隆夫, 遠山 岳史, 山下 仁大
    セッションID: 3J20
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    マイクロアーク酸化(MAO)処理とは金属の陽極酸化の一種であり,金属表面に多孔質均一酸化皮膜を形成する方法である.近年,医療用金属材料の表面改質法として注目され,チタンにMAO処理を施しチタニアコーティング膜を作製することでの骨結合能の向上が報告されている.一方,演者らはバイオセラミックスに準安定的なイオン分極状態を作り出すことに成功し,この分極処理を施した材料の生体親和性が向上することを報告した.しかし,チタニアコーティング膜に分極処理を施した報告例はこれまでにない.そこで,本研究では分極処理を施したチタニアコーティング膜の電気的特性および分極が材料の物性に与える効果についての検討を行った.
  • Jie Li, Yuki Shirosaki, Satoshi Hayakawa, Akiyoshi Osaka
    セッションID: 3J21
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    Sol-gel prepared silica gel macrospheres were soaked in titania sol derived from hydrolysis of tetraethylorthotitanate (TEOT) under varied pH and temperature (50~80°C) to obtain TiO2 - coated composite macrospheres. X-ray diffraction and scanning electron micrograph analysis indicated deposition of anatase particles (‹1μm) on the surface. pH of TEOT hydrolysis affected saturation adsorption of lysozyme (LSZ) but little that of bovine serum albumin (BSA): BSA adsorption saturated 20~25min after contact, but longer time was necessary for LSZ(~70min). BSA was adsorbed almost twice as much as LSA. An effect of calcium ions was proposed for interpretation of those adsorption behaviors.
  • 向後 雄太, 小幡 亜希子, 犬飼 恵一, 加藤 且也, 春日 敏宏
    セッションID: 3J22
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    ジルコニアは、高強度で審美性に優れているため、チタンに替わる歯科材料として期待されている。しかしジルコニアは生体不活性であるため、場合によってはその表面の改質が求められる。 これまでに、ジルコニア表面にポリ-L-乳酸(PLLA)膜をコーティングし、バテライト粒子を埋め込むことで炭酸含有水酸アパタイト形成能を付与することに成功した。したがって、ジルコニア基板への生体活性の付与が期待される。しかし、PLLAの影響により高い親水性が得られない。 イモゴライトは、ナノサイズのチューブ構造を持つアルミノケイ酸塩である。その表面には水酸基が多く存在し、高い親水性や細胞・タンパクに対する優れた吸着能を有する。したがって、PLLA系複合膜表面にイモゴライトを接着できれば、高い親水性が期待される。 本研究では、PLLA系複合膜をコーティングしたジルコニア基板表面にイモゴライトを接着し、細胞の初期接着挙動を調査した。
  • 上高原 理暢
    セッションID: 3J24A
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    セラミックスは、日常生活の道具だけでなく、我々の体の健康にも役立っている。リン酸カルシウムからなるセラミックスは、骨組織に対して高い親和性を示すために、人工骨として臨床で使用されている。。しかし、これらの材料では、骨再生能力が低く、しかも脆いため、未だに骨の再建には自家骨が最も多く利用されているのが現状である。そこで、より高機能な人工骨の開発が求められている。人工骨自身の吸収性の制御や人工骨による細胞挙動の制御を行うことができれば、骨再生を促進するような人工骨の開発が可能となると考えられる。本講演では、演者らがこれまでに行ってきた研究について述べる。
  • 横川 善之, 森川 尚展, 坂西 雅弘, 中村 篤智, 岸田 逸平
    セッションID: 3J26
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    口腔内のVSCの除去しうる材料開発を目指し,ゼオライト,ハイドロタルサイトを合成し,N2ガスあるいは水中のH2Sの吸着挙動をガスクロマトグラフで調べた。気体中では300-450μL/g以上吸着することを確認した。H2Sを含む水を入れたビーカーを密閉容器中に置き、容器中の気体、水のH2S濃度を,炎光光度計検出器ガスクロマトグラフ(GC-FPD)で調べた。試料を水中に投入すると、容器中の気体のH2S濃度は速やかに低下し、一方、水中のH2S濃度も低下することを確認することができた。
  • 徳田 陽明, 森田 純平, 正井 博和, 横尾 俊信
    セッションID: 3J27
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    近年、バイオセンシング技術の進展が目覚ましく、デバイス作製には半導体プロセスなどが用いられる。生体親和性を有する可塑性の材料が得られれば、ソフトモールディングによって、安価で簡便なデバイス作製が容易となる。そこで本研究では生体親和性と可塑性を併せ持つ材料を得ることを目的とし、3-aminopropyltriethoxysilane(APTMS)を主体とする有機‐無機ハイブリッドを合成した。その熱物性、タンパク質吸着特性、インプリント特性の評価を行った。タンパク質吸着能が高く、熱インプリンティングも可能であることも確認した。これらより本材料がタンパク質センシングに適したものであることがわかった。
  • 蒲原 樹太郎, 植月 啓太, 城崎 由紀, 早川 聡, 尾坂 明義
    セッションID: 3J28
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    チタン及びチタン合金は整形外科・歯科分野でインプラント材料として用いられ,生体環境下でのタンパク質吸着挙動を解明することはインプラント材料設計指針を得るために重要である。本研究では,熱酸化チタン層表面へのフィブリノーゲンの吸着挙動に及ぼす紫外線照射環境の影響を調べた。
  • 植田 純平, 大津 直史, 菅野 亨, 多田 清志, 堀内 淳一
    セッションID: 3J29
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    3種類のTiプレート、粗研磨Ti (Me-Ti)、鏡研磨Ti (Mi-Ti)及びCaTiO3コーティングTiにおける、BSA (牛血清アルブミン, 等電点4.8) 及びLSZ (卵白リゾチーム, 等電点11.2)吸着量を比較した。両タンパク質とも、Me-Ti > Mi-Ti > CT-Tiの順になり、またすべてのTiプレートにおいて、LSZ吸着量がBSAより3-5倍多くなった。タンパク質の固体表面への吸着に関与する因子として、表面粗さ、表面の疎水性、タンパク質と表面の静電作用を考えた。まず、表面粗さがMe-Ti > CT-Ti > Mi-Tiの順になったことより、Me-Tiの大きな吸着量は表面積が最も大きいことに起因する。さらに、表面の疎水性はMi-Ti > Me-Ti > CT-Tiの順に小さくなり、疎水性が大きいほどタンパク質吸着量が多くなることが報告されていることにより、CT-Tiの吸着量が最も少なかったのは表面粗さより疎水性がタンパク質吸着に大きな影響を与えていることを示す。さらに、すべてのTiプレートにおいてLSZ吸着量がBSAより3-5倍多くなった要因として、正電荷を持つLSZが負電荷を持つ表面により優先的に吸着することが考えられる。
  • 木付 貴司, 高玉 博朗, 松下 富春, 中村 孝志, 小久保 正
    セッションID: 3J30
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    本研究ではNaOH処理した後、NaNO3/Ca(NO3)2/AgNO3混合溶液に浸漬することで、銀イオン導入量を制御したチタン金属を調製し、そのアパタイト形成能および銀イオンの溶出挙動を調べた。その結果、混合溶液中のAgNO3濃度を0.01mMとした場合、0.6atom%の銀が導入され、銀粒子の析出は認められなかった。これをSBFに3日間浸漬したところ、その表面にアパタイトの析出が認められた。また、PBS(-)に浸漬したところ、24時間後のPBS(-)中の銀濃度は0.15ppmであった。以上のことから、本法によりチタン金属表面に銀粒子を析出させることなくイオン状態の銀を導入でき、得られた試料がアパタイト形成能を有し、且つ溶液中で銀イオンを放出することから抗菌性を示すと期待できる。
  • 中村 仁, 小幡 亜希子, 春日 敏宏
    セッションID: 3J31
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    微量のケイ酸イオンおよびカルシウムイオンは骨芽細胞の増殖・分化促進への効果が期待できる。当研究室ではこれらのイオンの徐放担体としてシロキサン含有バテライト(SiV)を合成し、生分解性高分子との複合化により、骨再建材料への応用をめざしたイオン徐放型材料を作製している。しかしながらSiV 粒子のイオン徐放メカニズムについては未だ明らかになっていない。本研究ではFT-IRを用い、SiV粒子の溶解挙動を評価した。
  • 松永 友希, 小林 亮太, 大石 克嘉
    セッションID: 3K01
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    我々は赤重量分析装置を用いて大気中,400ºC/minの昇温速度で純粋なLi2CO3の温度とDTAシグナルを測定した。10 mgの粉末Li2CO3を入れたアルミニウムセルを熱電対にセットして400ºC/minの昇温速度でLi2CO3の融点付近(700ºC, 710ºC, 720ºC, 730ºC)の温度まで昇温し,その温度で保持した。加熱の過程で,温度とDTAシグナルを測定時間に対して測定した。その結果、Li2CO3の融点以上の温度でDTAのピークが観測された。
  • 山添 正裕, 松村 功徳, 香川 豊
    セッションID: 3K02
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    熱輻射エネルギーの出入りは材料の放射率と吸収率により決まるため、Al2O3の色を制御して黒くすることができれば、従来の白色Al2O3に比べて加熱や冷却が容易な材料となる可能性がある。このような目的から、800-1000℃の高温大気中で、可視から近赤外の波長領域における高い光吸収率をもつ黒色Al2O3を作製した。これまでに、黒色Al2O3が白色Al2O3と異なる加熱挙動を示すことを確認した。しかし、黒色Al2O3の放射率を定量的に求め、放射率が加熱挙動に及ぼす影響を調べる研究は行われていない。材料厚さと加熱挙動との関係は、白色Al2O3と異なると考えられる。そこで本研究では、厚さの異なる黒色及び白色Al2O3の加熱挙動を調べることを目的とした。
  • 田原 直樹, 撹上 将規, 柳瀬 郁夫, 小林 秀彦
    セッションID: 3K03
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    酒石酸を添加したホウ酸‐グリセリン縮合物を大気中で熱分解して得られた前駆体からの炭素熱還元反応を用いた炭化ホウ素粉末の合成における前駆体構造の影響を調査した。前駆体は炭素と酸化ホウ素がミクロレベルで分散した共連続構造をしており、酒石酸を添加することでより分散した前駆体が得られた。酒石酸添加量ごとに炭素熱還元反応式に基づく炭素と酸化ホウ素の比である3.5になるよう最適な熱分解条件を検討した。Arガス流通下、1250℃で焼成したところ、酒石酸無添加の場合に比べ酒石酸をグリセリンに対して25mol%添加した場合のほうがより短時間の合成時間で炭化ホウ素の生成が進行した。前駆体構造がより微細になったことが合成時間の短時間化の要因であると考えられる。
  • 森戸 春彦, 安西 淳, 山根 久典
    セッションID: 3K04
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    ホウ化物は理論密度が低く、高い強度と硬度を示すことから、軽量構造材料としての応用が期待されている。本研究室では、ボロン(B)と炭素(C)の粉末をナトリウム(Na)とともに加熱することで、NaB5Cの粉末およびバルク体を作製することに成功した。本研究では、加熱温度や加熱時間等の合成条件がNaB5Cの生成に及ぼす影響を調査した。また、本化合物のバルク体試料を作製し、その機械的性質として曲げ強度を測定した。
  • 松田 哲志, 野村 浩, 松原 秀彰
    セッションID: 3K05
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    希少金属であるタングステンの使用量削減のため、工具材料において超硬合金の代替材料開発が必要である。チタン基サーメットはその有力候補であり、モリブデンなど遷移金属を固溶させた固溶体粉末(Ti,M)(C,N)をサーメットの硬質材料として用いることにより、サーメットの焼結性及び性能が向上することが期待される。サーメット組織を高度に制御するため、粒径制御された新規硬質相粉末が必要とされる。 チタン酸化物を出発原料とする炭素熱還元プロセスにおいて、モリブデン酸化物を添加し微粒炭窒化物粉末の合成を行い、炭窒化物粒子の粒径に及ぼす出発原料である酸化モリブデン添加量および酸化チタン粒径の効果を調査した。
  • 友重 竜一, 板谷 俊哉, 及川 勝成, 石田 清仁
    セッションID: 3K06
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、遷移金属であるジルコニウムの炭硫化物を基本組成とするもの(Zr4C2S2)にMoを添加して燃焼合成を行い、その微細組織および硬度を調べた。Mo無添加の組成では、その激しい反応のために試料は飛散し回収困難であったが、高融点のMoを添加することで試料の回収率は向上した。XRDの結果から各組成において目的のZr4C2S2相が生成したが、これと同時に副生成物として硬質のMo2C相、ZrC相も生成した。副生成物を最も抑えた組成はMo添加割合x=0.2のときであった。一方、Moの添加量の増大に伴い硬度値が上昇した。これをXRDの結果と勘案すると、炭化物相形成による硬化と共に固溶硬化の可能性を示唆している。試料のSEM観察結果からは、Mo無添加試料では板状結晶が密着していたのに対して、Moを加えたZr:Mo:C:S= 1.6:0.4:1:1の組成をもつものでは層間剥離が生じやすい二枚板構造が観察された。また、同試料のTEM観察からはMoS2と類似した層状構造が観察された。このことから同試料は固体潤滑材としての利用が期待できる。
  • 金 炳男, 平賀 啓二郎, 森田 孝治, 吉田 英弘, 張 海斌
    セッションID: 3K07
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    外圧下最終焼結段階における気孔の収縮挙動を粒界拡散モデルにより解析した。ほとんどの気孔は焼結と共に収縮し、最終焼結段階における緻密化挙動は四重点または粒界に存在する小さい気孔の収縮で特徴づけられる。しかし、十分緻密な焼結体であっても微視組織からは粒径に相当する大きな残留気孔がよく観察される。焼結の中間段階において、粒子より十分大きな気孔は気孔表面近傍での粒界すべりなどによる粉体の流動が主な収縮機構であるが、気孔が粒径程度になると、気孔表面近傍での粒界すべりは制限され、以後の収縮は拡散のみで起こると考えられる。本モデルでは、最終焼結段階において(粒界)拡散による気孔の収縮挙動を、エネルギーバランス法の適用により解析した。 MgAl2O4スピネルの放電プラズマ焼結中に起きる粒径2Rと相対密度の変化率Dの気孔率ρに対する変化を見ると、流動モデルとコーナーポアモデルによると、各々DR3∝ρとDR3∝ρ0.5の関係が予測されるが、最終焼結段階(ρ <0.1)においてDR3はほぼ一定であり、この二つのモデルは有効でないことが分かる。一方、本粒界拡散モデルではDR∝ρ0.5が予測され、この関係は最終焼結段階で成立っていることが分かる。すなわち、外圧下最終焼結段階における緻密化機構として、従来のコーナーポアモデルより本粒界拡散モデルの方が有効であると言える。一方、焼結と共に気孔の寸法が減少すると、緻密化機構の変化に従って緻密化速度と気孔寸法の分布にも変化が現れると考えられる。例えば、気孔率約6-7_%_の時、緻密化速度の変化が見られ、ここで流動モデルから本粒界拡散モデルへと緻密化機構の遷移が起きたと考えられる。また、気孔率が1-2_%_まで減少すると、殆どの気孔はコーナーポアになると考えられ、最終的にはコーナーポアモデルへと緻密化機構の遷移が起きると考えられる。
  • ラザヴィ ホソロシャヒ ハディ, 池田 拓之, 齊藤 敬高, 金子 賢治, 中島 邦彦
    セッションID: 3K08
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    イットリア(Y2O3)セラミックスは高い融点(~2410℃)を有し,アルカリに対する耐食性に優れるため,近年工業的に注目を集めている.本研究では高密度,高強度Y2O3の焼結を目的とし5種類のドーパントをY2O3に添加した焼結体を作製し,機械的特性を評価するとともに微構造解析を行った.原料粉末は高純度のY2O3試薬(Y2O3>99.9%,平均粒径0.63μm)を用いた.Y2O3にYb3+, Ti4+, Er3+, Si4+およびAl3+をそれぞれ1 mol%添加し,アルミナのボールで100時間のボールミリングを行い、乾燥させた粉末を50メッシュにより造粒し,ϕ12mmのモールドを用い17.7MPaの圧力により一軸加圧成形した後CIPにより成形体を作製した.成形体は二段階焼結法により緻密化を試みた.各々の焼結体に対して相対密度,ビッカース硬度や3点曲げ強度を測り,SEMを用いての微構造解析を行った.相対密度及びビッカース硬度はそれぞれTi>Al>Yb>Er>undoped>Si 及びTi>Al>Yb>Er>Si>undopedの順となることが判明した.切片法により求められたTi, Al, Si, undoped, Er 及び Ybの平均粒径は761, 458, 414, 392, 386及び363 nmである.本研究の結果からTiがY2O3の高強度化・高緻密化に適していることが明らかとなった.
  • 吉田 克己, 秋山 祥範, 今井 雅三, 矢野 豊彦
    セッションID: 3K09
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,酸化鉄(Fe2O3)を添加したムライトに注目し,Fe2O3添加ムライトの焼結性及び微構造を評価した.Fe2O3無添加ムライトは,焼結温度が1600oCで開気孔率がおよそ8 %であったが,Fe2O3添加ムライトは,Fe2O3添加量が増加するにしたがって緻密化温度は低下し,焼結温度1600oCでは,Fe2O3添加量1 wt%で開気孔率が1%以下であった.また,Fe2O3添加量が11 wt%では,焼結温度1400oCで開気孔率1%以下となり緻密化した.Fe2O3添加ムライトの結晶相の同定及び格子定数を測定した結果,Fe化合物に帰属する回折線が認められなかったこととFe2O3無添加ムライトの格子定数よりも大きい値を示したことから,Feがムライト結晶構造内に固溶したことが示唆される.また,SEMにより微構造の観察を行った結果,Fe2O3無添加ムライトでは焼結温度が高くなるに従って緻密化は進行するが,粒成長はほとんど見られず,等軸状粒子で構成されていたが,Fe2O3添加ムライトでは,焼結温度が高くなるに従って緻密化が進行するとともに,ムライトの柱状組織が発達することが明らかとなった.
  • 高橋 啓太, 田中 諭, 加藤 善二, 植松 敬三
    セッションID: 3K10
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    エンジニアリングセラミックスは構造部材への適用が期待されてきたが、その信頼性は依然として解決すべき課題である。信頼性低下の原因の一つとして、加工や使用中の表面損傷が破壊源となり、セラミックス本来の強度が発現されないことがあげられる。そこで本研究では、表面傷が破壊源とならない新たな表面形態を提案することを目的とした。サンプルの表面形状は予め表面に凸部を形成させて、表面損傷を受持たせる。この部分は引張り応力は負荷されない。すなわち、後天的な表面き裂が破壊源にならない表面にすれば、セラミックス素材本来の強度が発現され、信頼性も向上するはずである。
  • 本多 沢雄, 荻原 有騎, Yan Lin Aung, 池末 明生, 岩本 雄二
    セッションID: 3K11
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    光学材料として広く用いられているサファイアの代替材料として期待されている多結晶透光性スピネルについて,その高強度化に着目し,サファイアと同等以上の破壊強度を持つ試料の作製に成功した.本発表では,様々な焼結条件で焼結した透光性多結晶スピネルとサファイアを用い,微構造と強度,破壊靱性等の破壊特性の関係について報告する.破壊強度および破壊靱性は粒子径が増大するにつれて低下していき,粒径が20 µm以上では明確な粒径依存性は見られなかった.顕微鏡観察から試験片内に気孔の存在が確認されたが,スピネル多結晶の中で粒径の最も小さい試験片では,サファイアと同等以上の強度値が得ることができ,破壊靱性についても最大となった.
  • 竹下 隼人, 橋本 忍, 本多 沢雄, 岩本 雄二
    セッションID: 3K12
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    アルミナは硬度,強度など高い機械的特性を有し,化学的安定性に優れ,電気絶縁性および熱伝導率も比較的大きい.それらの特性を生かし, IC パッケージ,人工骨や人工歯根などが実用段階を迎えている。微細組織を制御した粒子配向アルミナは特異な機械特性を発現するが、これまでその作製は特殊な方法が必要であった. 本研究では, 粒子配向させたアルミナの新規作製法として,アルミナ板状粒子からなるスラリーを用いた石膏モールド法を採用した. 作製された緻密体の機械特性および熱伝導率を測定した.
  • 松平 恒昭, 和田 匡史, 北岡 諭
    セッションID: 3K17
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    Alを含む耐熱合金は,高温構造部材として高い実績を有する.これは,合金表面に形成するAl2O3スケールが酸化に対する保護膜として機能するためである.しかし,さらなる耐久性の向上を図るためには,スケール中の結晶粒界を介した物質移動(酸素の内方向拡散,Alの外方向拡散)を積極的に抑制する必要がある.我々は,Al2O3スケール環境を模擬して,多結晶Al2O3薄板を高温の酸素ポテンシャル勾配下(PO2)に曝し,PO2方向の酸素とAlの粒界拡散性に及ぼすドーパントの効果を評価・解析してきた.その結果,薄板全体にLuを粒界偏析させた場合,酸素の粒界拡散を効果的に抑制することができるが,Alの移動に対してはほとんど効果がないこと等を明らかにした1) .本研究では,LuをAl2O3薄板表面に濃化させた場合の酸素遮蔽性について評価・解析すると共に,薄板全体に粒界偏析させた場合1)と比較することで,微量元素の機能について考察した.
  • 佐野 秀明, 副島 俊一, 鄭 国斌, 内山 休男, 上野 修司, 田中 宏季, 中原 賢治
    セッションID: 3K18
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    WC単相、β単相およびWC-β二相の3種のWC系超硬合金の酸化挙動に対し、流量が100 ml·min-1のN2ガスをキャリアガスとした50、100および1000ppmO2雰囲気下で酸化処理(600および800°C、1~10h)を行い、酸化試料の表面に対しSEM観察、EDS-SEM およびXRDによる成分・結晶相の同定、ビッカース硬さ試験、IF法による破壊靱性の測定をそれぞれ行った。その結果、WC-β二相の超硬合金試料は、基材の酸化消失量および酸化層の厚みが最も大きく、かつ、試料内部深くまで酸化に伴い硬度が低下した。一方、WC単相およびβ単相試料での酸化に伴うそれらの変化は比較的小さいことが判った。
  • 和田 匡史, 柏木 一美, 北岡 諭, 樋本 伊織, 木下 寿治
    セッションID: 3K19
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    Si3N4結合SiCセラミックス(SNC)の酸化に及ぼす予備酸化時の酸素分圧(PO2)の影響について評価した。PO2=100 Paで処理した場合、クリストバライトの生成が確認されたが、PO2=105 Paの場合は非晶質SiO2が生成した。試料表面深さ方向のSIMSプロファイルより、低PO2で処理した試料の方が、酸化層中のNa濃度が高いことが確認された。Naの熱力学的平衡蒸気圧がPO2の低下に伴い増大することから、低PO2におけるクリストバライトの形成は、多孔質のSi3N4結合層に偏析するNaが外方向に気相拡散し、SNC上のSiO2層中に濃化したことが原因であると推察される。
  • 今井 順二, 平山 健太郎, 橋本 登, 南口 誠
    セッションID: 3K20
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    これまでに、AlNの酸化反応において、応力を緩和する傾斜領域を形成することで酸化 層の密着性が向上することを報告した。 本研究では、本法による酸化層形成におけ る酸化挙動および形成された酸化層を有するのAlNの特性評価を行った。 これにより以下の結果が得られた。 1.酸化速度(酸化に伴う重量増)は酸化の進行に伴い加速する。 2.酸化層が50μm程度までは、膜厚の増加に伴う密着性の低下は認められない。 また、高温高湿放置に伴う密着性の低下も認められない。 3.反射率は酸化膜厚に伴い増加する。また、反射率は基材AlNの反射率の影響を 受けるが、その増分は短波長ほど大きくなる傾向がある。
  • 楠瀬 尚史, 関野 徹, 新原 晧一
    セッションID: 3K21
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    絶縁体であるセラミックスに導電性を付与するためには、従来のミクロ複合材料では20~30vol.%の導電性第二相粒子が必要とされるが、粒界相を導電経路として用いることにより、5vol%以下の粒界相で導電性が発現する。AlNの粒界相として導電性のYOCを生成するとき、非常に高い温度と長い焼結時間が必要になる。そのため、AlNの粒成長が起こり、低強度となっていた。しかしながら、低温でYOCが生成するように、Y2O3-CeO2複合助剤を用いることにより、AlNの粒成長を抑制した状態で導電性の付与が可能になった。
  • 多々見 純一, 野口 真, 中野 裕美, 脇原 徹, 米屋 勝利, 目黒 竹司
    セッションID: 3K22
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    Y2O3やAl2O3などの焼結助剤を添加して作製されるSi3N4セラミックスは、高強度、高靱性、高硬度など優れた機械的特性を有することから、各種構造部材として応用されている。Si3N4セラミックスの緻密化挙動と微構造は、焼成温度などのプロセス因子の他に、焼結助剤の種類や量とその分散状態に大きく影響を受ける。そこで本研究では、Si3N4とその焼結助剤であるY2O3とAl2O3からなる複合粒子を機械的粒子複合化プロセスにより調製し、これを用いてSi3N4セラミックスを作製して、その微構造と特性について評価することを目的とした。Si3N4(宇部興産(株)製、SN-E10)、Y2O3(信越化学工業(株)、RU-P)、Al2O3(大明化学工業(株)、TM-300)を重量比で92:5:3となるように秤量した。まず、Si3N4と-Al2O3を機械的粒子複合化装置内に投入し、出力5kW、保持時間10分の条件で処理した。これにY2O3を投入して出力5kW、保持時間10分の条件で処理した。混合粉末を15mm×7mmに成形した後1800℃、0.9MPaN2、2h時間保持の条件で焼成した。得られた焼結体に対して、SEMによる微構造観察、ビッカース圧子圧入による硬さと破壊靱性の測定を行った。ボールミルと同様に機械的処理によるものも-Si3N4柱状粒子が発達した微構造を有していることがわかる。画像解析の結果、-Si3N4柱状粒子の短軸径の分布はほぼ同程度であったが、95%アスペクト比はボールミルで3.8、機械的処理で4.5となり機械的処理の方がアスペクト比の大きな-Si3N4が発達していることがわかった。作製されたSi3N4セラミックスのビッカース硬さはいずれの焼結体でもほぼ同程度の値であったが、破壊靱性は機械的処理の方がボールミルよりも高い値を示した。これは、機械的処理においてアスペクト比の大きな-Si3N4粒子が発達していたことに起因すると考えられる。
  • 橋本 厚, 多々見 純一, 中野 裕美, 脇原 徹, 吉尾 紗良, 米屋 勝利, 目黒 竹司
    セッションID: 3K23
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    Si3N4セラミックスは機械的特性、化学的安定性に優れた材料であり、ベアリングなどへ応用されている。近年、Si3N4セラミックスにCNTを分散させることにより導電性を付与する研究が注目されているが、所望の特性を発現するためにはCNT の分散がキープロセスとなる。そこで、本研究では簡便な乾式プロセスである機械的粒子複合化によりTiO2 粒子とCNT からなる複合粒子を調製し、これを用いてCNT 分散Si3N4セラミックスを作製することを目的とした。導電率測定の結果、1.0wt%の試料では2.8~6.5 S/mの導電率を有し、焼結温度が高いほど高い導電率を示した。SEMによる微構造観察の結果、多くのCNTがSi3N4セラミックス中に残存しており、これらが導電パスとなったと考えられる。
  • 吉尾 紗良, 多々見 純一, 脇原 徹, 山川 智弘, 中野 裕美, 米屋 勝利, 目黒 竹司
    セッションID: 3K24
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
     窒化ケイ素(Si3N4)セラミックスは優れた機械的特性を活かして構造材料として応用されている。絶縁性もSi3N4セラミックスの特徴ではあるが、用途によっては導電性が要求される。Si3N4セラミックスに導電性を付与するために、高い電気伝導率を有する高アスペクト比のナノ粒子であるCNTをSi3N4セラミックスに分散させる研究を行ってきたが、CNT添加量や焼成温度などの影響は解明されていない。そこで本研究では、添加量および焼結温度を変えてCNT分散Si3N4セラミックスを作製し、これらのプロセス因子が電気的・機械的特性に及ぼす影響を検討することを目的とした。直径が60nm、長さが6μmの多層カーボンナノチューブ、Si3N4および焼結助剤としてY2O3、Al2O3、AlN およびTiO2を湿式混合した。バインダーを添加して調製した造粒粉末を50MPaで一軸成形し、200MPaでCIP成形して成形体を作製した。脱脂後、焼成温度1700~1800℃、保持時間2h、0.9MPa N2雰囲気の条件でガス圧焼結した。さらに、温度1700℃、保持時間1h、100MPa N2雰囲気の条件でHIP処理を施した。得られた焼結体に対して、密度、導電率、炭素量、ラマンスペクトルの測定、微構造観察、構成相の同定を行った。0.5wt%のCNTを添加した試料は絶縁体であったが、CNT添加量が1wt%以上では導電性が発現した。試料の導電率は焼成温度の増加と共に増加したが、これはβ-Si3N4の粒成長で説明された。1wt%のCNTを分散した試料の曲げ強度はCNT無添加のものと同程度であった。以上より、CNT添加量と焼成温度を制御することで、導電率と高強度が両立したCNT分散Si3N4セラミックスを作製することができることが明らかとなった。
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