陸水学雑誌
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26 巻, 3 号
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  • 長沢 幹雄
    1965 年 26 巻 3 号 p. 65-75
    発行日: 1965/11/30
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    硝酸態窒素を多量に溶存する浅層地下水の地下水位と溶存物質の関係について論じた。
    地下水位と溶存物質の間には
    (1)正の相関関係にあるもの(A)
    (2)逆の相関関係にあるもの(C)
    の二つの型がある。井PBにみられるように正の関係にあるがその度合の小さいものもある。
    (1)のものは地下水中の溶存物質の酸化還元反応が起り,ついで地下水の蒸発に伴なって溶存塩類が土壌面へ集積する。従って地下水位の低下は溶存物質の減少をもたらす。次に降水によって集積物が溶脱され,水位の増加は溶存物質を増すのである。この研究の場合その機構は,まず次の如き反応で
    NO3-+2H+H2CO3→HNO2+HCO3-+H2O
    NO3-+6H+H2CO3→NH2OH+HCO3-+2H2O
    NO3-+8H+H2CO3→NH3+HCO3-+3H2O
    一部の硝酸イオンの還元が起りついで,地下水の蒸発につれて次の反応で
    Ca2++2HCO3 2CaCO3+CO2+H2O
    炭酸塩が地下本戸に近い土壌面に集積し,他の硫酸塩,塩化物,硝酸塩なども共沈のかたちで集積物の中に入る。いわば軽度の塩類土壌生成の前駆的状態になる。次に降水の滲透によって集積物は地下水中に容易に溶出され濃度を高める。硝酸イオンの絶対量が少ないときはこの状態変化の度合が小さい。
    (2)のものにも酸化還元反応はみられるのであるが,高水位の際の地下水面が地表下30cmというような地下水位の高さのために,塩類の集積と溶脱よりも水位増減による塩類の希釈と濃縮が卓越するのである。従って地下水位の増加の際は溶存物質は希釈され,地下水位が低下すると濃縮される。
    (1)の関係は多量に硝酸態窒素を溶存するこの地域の地下水にみられる特殊性であり,通常の浅層地下水は(2)の型である。
  • 北海道利尻岳
    森谷 虎彦
    1965 年 26 巻 3 号 p. 76-85
    発行日: 1965/11/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    1.利尻島は低い第三紀基盤の上に噴出した第三紀末乃至第四紀の火山で覆われている。
    2.構造上の弱線がNNW-SSE方向で島を貫き,この線の東側では表流河川,火口湖,湧水が可成りあるが,西側では陸上で水のある所は殆んどない。
    3.西側の産業経済の中心地沓形市街背後の熔岩中に自由面地下水の存在する事が調査の結果判明した。
    4.しかしこの水は地下水面が海水面より若干低く,且つCl'濃度も高いので大量の汲み上げには適さない。
    5.この淡水の下層にはより塩分濃度の高い水がある。
  • 御瀬久 右衛門
    1965 年 26 巻 3 号 p. 86-98
    発行日: 1965/11/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    1.琵琶湖の北真野,北浜,北小松,高島町,横江浜,外ケ浜,今津,今浜,大崎,大浦,葛籠尾崎,塩津,尾上,早崎,細江口,磯柳川,沖ノ島西岸,沖ノ島東岸,菖蒲浜,野州川,堅田,雄琴,唐崎,大津,北山田,志那,落袋,六番川口のベントスについて1964年2月,6月,8月に調査を行なった.
    2.調査の結果,外国の貝殼帯の例にくらべて単位面積あたりの貝殼の個体数はやや少ないが貝殻帯の存在が明らかとなった.
    3.日本の湖は外国の湖に比較してCa含量がすくない結果,貝殼の主成分であるCaCO3が死後すみやかに湖水中に溶解するため殻皮部だけが残り,これが多数堆積する殻皮帯の存在が明らかとなった.殻皮帯は貝殼帯に接しそれよりもややの深いところに形成される.
    4.湖内,湖外に由来する植物残滓(ゴミ)が堆積するゴミ帯が殼皮帯付近に形成されている。琵琶湖主湖盆についてはベルト状に,副湖盆については湖心部一円に形成される.
    5.貝殻帯,殻皮帯,ゴミ帯の形成されるのは波浪の働きによる.波浪のために貝殻が深部へ運ばれる.ほぼ躍層のところで波浪の働きがなくなるのでそこで貝殼が堆積する.琵琶湖では風あたりの強い東岸や岬などでは貝殼帯は風あたりの弱い西岸よりも,深いところに形成される,
    6.貝殼帯,殼皮帯,ゴミ帯の形成機構には波浪の働き以外に湖流(環流)の影響も考えられる.
  • 渡辺 仁治
    1965 年 26 巻 3 号 p. 99-105
    発行日: 1965/11/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    1.只見川水系にある奥只見・田子倉両ダム湖は,ともに豪雪地帯にある大型ダム湖である。これらの湖では,冬季に1回の著しい低水位期があるが,融雪水の流入によつて急激に満水される。満水後の水位変動は小さい。
    2.田子倉ダム湖は1962年9月からひきつづき,C. APSTEIHのいう"Dinobryonseen"の段階にあつたと考えられる。
    3.田子倉ダム湖のほうが,奥只見ダム湖よりも富栄養化が進んでいる。
    4.奥只見・田子倉両ダム湖は,ともに冷たい水が入つてくるし水深も大きいから,本来なれば貧栄養型の湖であるはずだが,やや富栄養化の傾向がみられるのは,湛水前の地上にあつた有機物が,湛水後分解して水中に栄養源としてでてくるためであろう。
  • 川勝 正治
    1965 年 26 巻 3 号 p. 106-112
    発行日: 1965/11/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    Lake Tahoe (altitude, 2, 097m ; deepest point, 548m) in the Sierra Nevada Mountains in California and Nevada in North America and Lake Biwa-ko (altitude, 85m; deepest point, 102m) in Kinki Region in Middle Japan are located at approximately the same latitude. Two species of true lake-dwelling planarians, Phagocata nivea tahoena KAWAKATSU and Dendrocoelopsis hymanae KAWAKATSU, are distributed in Lake Tahoe. The former subspecies seems very common in the lake. In Lake Biwa-ko, Bdellocephala annandalei IJIMA et KABURAKI and another undescribed dendrocoelid species (Dendrocoelopsis? sp.) are distributed. The former species, which known as one of the largest freshwater planarians of the world, is rather common in the muddy bottom of middle and northern parts of the lake. The food supply seems one of the chief factor controlling the density of lake-dwelling planarians.
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