1.琵琶湖の北真野,北浜,北小松,高島町,横江浜,外ケ浜,今津,今浜,大崎,大浦,葛籠尾崎,塩津,尾上,早崎,細江口,磯柳川,沖ノ島西岸,沖ノ島東岸,菖蒲浜,野州川,堅田,雄琴,唐崎,大津,北山田,志那,落袋,六番川口のベントスについて1964年2月,6月,8月に調査を行なった.
2.調査の結果,外国の貝殼帯の例にくらべて単位面積あたりの貝殼の個体数はやや少ないが貝殻帯の存在が明らかとなった.
3.日本の湖は外国の湖に比較してCa含量がすくない結果,貝殼の主成分であるCaCO
3が死後すみやかに湖水中に溶解するため殻皮部だけが残り,これが多数堆積する殻皮帯の存在が明らかとなった.殻皮帯は貝殼帯に接しそれよりもややの深いところに形成される.
4.湖内,湖外に由来する植物残滓(ゴミ)が堆積するゴミ帯が殼皮帯付近に形成されている。琵琶湖主湖盆についてはベルト状に,副湖盆については湖心部一円に形成される.
5.貝殻帯,殻皮帯,ゴミ帯の形成されるのは波浪の働きによる.波浪のために貝殻が深部へ運ばれる.ほぼ躍層のところで波浪の働きがなくなるのでそこで貝殼が堆積する.琵琶湖では風あたりの強い東岸や岬などでは貝殼帯は風あたりの弱い西岸よりも,深いところに形成される,
6.貝殼帯,殼皮帯,ゴミ帯の形成機構には波浪の働き以外に湖流(環流)の影響も考えられる.
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