1.温根沼は雌阿寒岳の西方標高610mの位置に在る小堰止湖(0.21km
2)である。注入水量は小量で排水は伏流水に依つて行はれてゐる。最大深度9.8mで湖底に温泉及びガスが噴でしてゐる。
2.觀測採集は冬季3月,夏季8月の2回行つた。何れゐ場合も明かな成層は認められなかつた。
3.硫酸鹽の含有量多く湖水は酸性である。燐酸鹽,珪酸鹽鹽化物の含有量も比較物に多く火山地帶の湖沼の特性を明らかに示してゐる。
4.魚類は全く棲息してゐない。
5.湖水は清淨で湖のプランクトンの生産力が甚だ貧弱である。
6.動物性プランクトンとして冬季2種,夏季7種,植物性プランクトンとして冬季11種,夏季11種のプランクトンを檢出した。
7.温根沼は生産力の殆どない非調和型に屬する酸營養湖である。
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