産業衛生学雑誌
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52 巻, 6 号
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総 説
  • 井上 都, 安部 猛, 宮崎 彰吾, 萩原 明人
    原稿種別: 総 説
    2010 年 52 巻 6 号 p. 267-274
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/07
    [早期公開] 公開日: 2010/08/04
    ジャーナル フリー
    症例報告に基づくうつ症状を呈するホワイトカラー従業員への復職支援の検討:井上 都ほか.九州大学大学院医学研究院医療経営管理学分野―目的:わが国では,労働ストレスに起因する従業員のメンタルヘルス不全が大きな問題となっている.うつ病で休職した従業員の復職についても,効果的な支援に関する知見は確立されていない.そこで,本研究では,効果的な復職支援のあり方に関する知見を得ることを目的とした. 対象と方法:ホワイトカラー従業員を対象に,うつ病による休職後の復職に限定し,1983年1月から2009年5月までに出版された復職支援に関する症例報告を系統的に収集し,知見を整理した. 結果:企業の復職支援は(1)欠勤もしくは休職措置,(2)所属場所の変更,(3)上司の交替,(4)業務内容の変更,(5)業務軽減措置,(6)業務軽減期間,(7)就業制限,(8)産業保健スタッフ等との面談,および,(9)企業以外の外部機関による介入,の9種類であった.9種類の支援介入には,全ての介入に長所と短所が見られた. 考察:個別の支援介入を有効に機能させるためには,十分な事前調整と本人の同意,および,実施後のフォロー・アップが必要と思われる.また,うつ病の再発に関連する要因のうち,産業保健スタッフ等との面談がある場合は,ない場合よりも「再発なし」の比率が統計的に有意に高かった( p<0.01).しかし,この知見に関しては,出版バイアスおよび,論文発表者(産業医,カウンセラー,産業保健師)と患者本人の関係性に関するバイアスがかかっている可能性がある.さらに,支援の内容や時期にバラツキがある.従って,知見の解釈には注意を要する必要がある.
    (産衛誌2010; 52: 267-274)
原 著
  • 足達 淑子, 国柄 后子, 谷山 佳津子, 林 ちか子, 田中 みのり, 佐藤 千史
    原稿種別: 原 著
    2010 年 52 巻 6 号 p. 276-284
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/07
    [早期公開] 公開日: 2010/09/28
    ジャーナル フリー
    職域の非対面の行動的快眠プログラムにおける目標行動設定とセルフモニタリング―読書療法のみとの比較―:足達淑子ほか.あだち健康行動学研究所―背景:睡眠教育は,ヘルスプロモーションおよび生活習慣病予防の観点から重要な健康課題であり,その集団アプローチとして実用的で効果的な方法が望まれている. 目的:本研究の目的は,職域における非対面の簡素な行動的睡眠改善プログラムの効果を評価することであった. 方法:研究デザインはクラスター比較試験であり,参加者330名を読書療法のみの群(読書群BTG;n=130)と,読書療法に目標行動設定とセルフモニタリングを加えたセルフ群(SCG;n=200)の2群に分けた.会社の地域別事業所からそれぞれ別々に募集を行い,募集条件は設けず誰もが参加できた.参加者は全員が小冊子と最近の睡眠と健康の話題についての簡単な情報を受け取った.それに加えてSCGの参加者は習慣改善の目標行動を設定し,それらを4週間セルフモニタリングした.質問票から,ほぼ全員が睡眠に関して何らかの問題を有していることが示された. 結果:SCGのうち158名(79%)とBTGの106名(82%)が終了時の質問票に回答し,前後の質問票から睡眠指標を2群間で比較した.2群間に明らかな差はなかったが,SCGのみで入眠潜時が29.5分から21.4分に,睡眠効率が88.8%から89.9%に増加した.BTGでの変化は有意ではなかった.3日間の睡眠日誌の再分析によると,両群とも主要な睡眠指標(睡眠時間,夜間覚醒回数,要起床時間,睡眠効率)が有意に改善していた.入眠潜時と夜間覚醒時間,昼間の眠気はSCGのみで改善していた. 結論:追加された目標行動設定とセルフモニタリングは,読書療法の睡眠改善効果を促進しうることが示唆された.
    (産衛誌2010; 52: 276-284)
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