産業保健と地域保健の連携について, 産業看護職を対象にアンケート調査を行い, 意識・実践の程度とその関連する要因を明らかにし, 連携推進の方策を検討した. 主な知見は以下の通りである. 1. 地域保健婦との連携:産業看護職と地域保健婦との連携の必要性についての意識は40%以上であったが, 実践は7%未満であった. 関連する要因として, 地域サポーティングシステム利用の有無, 地域保健に関する研修受講の有無, 地域での職歴の有無が見出された. 連携推進の方策として, 産業看護職が地域保健に関する知識を得ることが示唆された. 2. 従業員の地域生活に着目することによる連携:従業員の地域生活に着目することによる連携の必要性についての意識は85%以上であった. しかし, 実践は30%未満であった. 従業員の地域生活に着目した産業保健計画の必要性についての意識と実践は最も低かった. 関連する要因として, 保健婦課程修了の有無, 看護職1人あたりの従業員数の多寡, 地域サポーティングシステム利用の有無, 地域保健に関する研修受講の有無が見出された. 従業員の地域生活に着目するための方策として, 地域保健に関する知識を得ること, 担当従業員数の配慮, 産業保健計画で地域保健に着目した活動を入れることが示唆された.
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