産業衛生学雑誌
Online ISSN : 1349-533X
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61 巻 , 1 号
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Issue Information
調査報告
  • 斉藤 政彦, 中元 健吾, 和田 晴美, 西谷 直子, 山本 楯
    原稿種別: 調査報告
    2019 年 61 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2019/01/20
    公開日: 2019/01/25
    [早期公開] 公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー HTML

    目的:平成27年12月に施行された改正労働安全衛生法によって,従業員数50人以上の事業場に労働者に対するストレスチェックの実施が義務化された.それ未満の事業場では努力義務に留まっている.労働者の半数以上が50人未満の小規模事業場で働いている本邦の現状から,この制度が有効に機能するためには,小規模事業場への普及が課題である.小規模事業場におけるメンタルヘルス対策,およびストレスチェックへの取り組み状況と関連要因を明らかにし,今後の推進に向けた示唆を得ることを目的に,アンケート調査を行った.方法:愛知県内の30人以上50人未満の事業場に対して,ストレスチェックへの取り組み状況と実施上の問題点に関してアンケート調査を行った.結果を,単独の企業(単独群)と,より大きな企業の支社・支店・営業所(支所群)に分けて比較した.さらに,メンタルヘルス推進担当者(担当者)の有無別で比較検討を行った.結果:単独群は290事業場で,支所群は331事業場であった.単独群で,担当者有りは55事業場,無しは235事業場で,支所群では,担当者有りが102事業場,無しが229事業場であった.支所群では,単独群に比較して,担当者のいる割合が高く,メンタルヘルスに対する取り組みが前向きで,特にストレスチェックに関しては,半数近い事業場で既に実施されていた.また,単独群,支所群ともに,担当者のいる事業場で,より積極的にメンタルヘルス対策に取り組まれており,ストレスチェックへの姿勢も前向きであった.50人未満の事業場にも実施が義務となった場合に必要なものは,という問いに対して,いずれも人材がトップで,単独群では続いて予算だったが,支所群では専門家が続いた.結論:小規模事業場では,支所群に比較して単独群で,メンタルヘルス対策およびストレスチェックへの取り組みが遅れていた.ただし,担当者のいる事業場では,いない事業場より,進んでいた.よって,小規模事業場においては,メンタルヘルス推進担当者の選任を促すことが,職場におけるメンタルヘルス対策を促進し,ストレスチェックに対する前向きな取り組みにつながると,期待された.

  • 芦澤 英一, 吉岡 みどり, 角南 祐子, 佐藤 眞一
    原稿種別: 調査報告
    2019 年 61 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2019/01/20
    公開日: 2019/01/25
    [早期公開] 公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー HTML

    目的:情報提供によるメタボリックシンドローム(以下MetS)発現抑制の取組に対する効果検証の一助として,我々の観察研究からMetS発現に対する寄与の大きかった早食いに焦点を当てた「早食い防止パンフレット」を特定健診時に配布し,肥満やMetS発現抑制効果を検討する.方法:2013年度職員健診を受診したC自治体職員に対し,咀嚼支援マニュアルを基に作成した「早食い防止パンフレット」を特定健診時に配付し,パンフレット配付前と配付後のMetSおよび肥満(BMI 25 kg/m2 以上)発現抑制効果を性別に求めた.結果:肥満発現抑制について,女性では効果が認められた.(OR: 0.52,95%CI: 0.32–0.83).男性では効果が認められなかった(OR: 0.87,95%CI: 0.70–1.1).MetS発現抑制効果について,男性では効果が認められた(OR: 0.84,95%CI: 0.70–1.0).女性では効果が認められなかった(OR: 1.5,95%CI: 0.88–2.4).結語:パンフレットの配付後に,男性はMetS発現抑制効果を認め,女性は肥満発現抑制効果を認めた.

  • 吉川 悦子, 澤井 美奈子, 掛本 知里
    原稿種別: 調査報告
    2019 年 61 巻 1 号 p. 16-23
    発行日: 2019/01/20
    公開日: 2019/01/25
    [早期公開] 公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー HTML

    目的:本研究の目的は,看護系大学の保健師教育課程における産業保健看護に関する教育の現状を明らかにすることである.方法:保健師教育課程を有する看護系大学234校を対象に,2017年1月~2月に郵送法による無記名自記式質問紙調査を実施した.保健師教育課程の概要,産業保健看護に関する講義・演習の時間数,産業保健看護に関する実習の有無と実習日数,産業保健看護実習の到達度を調査した.項目ごとに基本統計量を算出し現状を把握するとともに,産業保健看護実習の有無による講義等の時間数の差についてt検定を実施した.また産業保健看護実習の到達度については,2日以下の群と3日以上の群に分け,Mann-WhitneyのU検定にて両群の到達度に差がないかを比較した.結果:回答があった80校を分析対象とした(回収率34.2%).産業保健看護に関する講義を独立した教科目として実施している大学は,39校(48.1%)で,うち複数の独立した教科目を実施している大学は2校(2.5%)であった.産業保健看護実習を公衆衛生看護学実習の一環として実施していると答えた大学は49校(60.5%)であった.産業保健看護実習を実施している大学の産業保健看護に関する講義の時間数は9.7±11.6時間で,実習を実施していない大学よりも多かったが,有意な差はなかった.産業保健看護実習の日数が2日以下の群と3日以上の群による実習到達度を比較したところ,実習日が多い群において到達度が高い傾向にあり,19項目中16項目は有意な差があった.結論:看護系大学の保健師教育課程は,選択制,統合カリキュラム,大学院と多様な背景で展開されており,産業保健看護に関する講義や実習は各大学の裁量で展開されている現状が明らかになった.一方で,産業保健看護実習の日数が多いと,学生の実習到達度が高くなる傾向があることから,産業保健看護実習の日数確保は,質の高い保健師教育の実現において重要なことが示唆された.

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