産業衛生学雑誌
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47 巻, 6 号
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原著
  • 明星 敏彦
    2005 年 47 巻 6 号 p. 239-245
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/10
    ジャーナル フリー
    作業環境測定基準に基づく吸入性粉じんとロウボリウムサンプラ用多段分粒装置の性能評価:明星敏彦.独立行政法人産業医学総合研究所作業環境計測研究部―粉じん捕集用に広く用いられているロウボリウムサンプラの粉じん分級装置である水平重力分級装置である多段分粒装置(柴田科学C-30型)の静止空間からの粒子の粒径別の分級特性を計測した.この測定結果と装置の理論的な分級特性および作業環境における吸入性粉じんの関係を比較検討した.吸入性粉じんはISO 7708を基礎にした特性が新たに作業環境測定基準に導入された.吸入性粉じんとサンプラの特性との偏りを計算した.結果は多段分粒装置を5 mm 50%カットの条件で用いた場合は過大評価し,4 mm 50%カットの条件で用いた場合は過小評価した.(産衛誌2005; 47: 239-245)
  • 垰田 和史, 中村 賢治, 北原 照代, 西山 勝夫
    2005 年 47 巻 6 号 p. 246-253
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/10
    ジャーナル フリー
    某国立大学附属病院研修医の睡眠実態:垰田和史ほか.滋賀医科大学予防医学講座―新医師臨床研修制度導入以前の研修医の労働や生活の実態を検討する目的で,国立大学附属病院に所属する102名の研修医について,連続した4週間の生活時間調査を行った.調査対象とした2,722人日のうち76%の有効回答をえた.平日の平均睡眠時間は5.7時間,土曜・祝日の平均睡眠時間は6.8時間だった.研修医の40%は睡眠時間が6時間未満で5時間未満の者が17%おり,外科に所属する研修医の睡眠時間は特に短かった.研修医の睡眠不足は健康を脅かすだけでなく医療の安全性を低下させることから,新医師臨床研修制度のもとで,研修医の睡眠時間を含む生活が適切に保たれるよう,追跡検証する必要がある.(産衛誌2005; 47: 246-253)
調査報告
  • 沢崎 健太, 櫻庭 陽, 桝田 文八, 石井 千代, 横山 和仁
    2005 年 47 巻 6 号 p. 254-258
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/10
    ジャーナル フリー
    企業における相補代替医療の利用:ある製造業の作業者の調査:沢崎健太ほか.鈴鹿医療科学大学鍼灸学部―先進諸国では相補代替医療(Complementary and Alternative Medicin;以下CAM)の拡がりが見られている.今回,わが国の労働者がCAMをどの程度認知し,利用しているかをある大手住宅建築業の工場の従業員を対象に質問紙調査を実施した.調査項目は,年齢・性別,最終学歴,職種,過去1年間に利用したCAMの種類と自己負担額,過去1年間に利用した現代西洋医学の自己負担額,CAMを利用した理由などである.有効回答者は263名(回答率84.3%)であった.回答者のうち過去1年間にCAMを利用した者は134名(51.0%)であった.その内訳は栄養ドリンク(35.4%),サプリメント(16.3%),マッサージ・指圧(13.7%),カイロプラクティックまたは整体(8.7%),健康器具(6.5%),ドラッグストアのハーブや漢方薬(3.4%),アロマテラピー(1.9%),鍼灸(1.9%),その他(1.5%),ホメオパシー(0.0%)であった.1人あたり年間利用額はCAMでは約17,500円,また現代西洋医学は約21,300円であった.CAMを利用した理由は,「病院,医院に行くほどの深刻な重症でない」(51.9%),「健康全般に良い,病気が予防できると期待している」(39.3%)などであった.CAMの利用者は予想以上に多く,今後,さらに企業内従業員のニーズが高まるようであれば,CAMに対する産業保健におけるコンセンサスが醸成されると期待される.(産衛誌2005; 47: 254-258)
  • 寺田 勇人, 曽根 智史, 武村 真治
    2005 年 47 巻 6 号 p. 259-268
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/10
    ジャーナル フリー
    中小規模事業場に対する嘱託産業医活動の実態と地域産業保健活動への参画に関する研究:寺田勇人ほか.渋谷区立恵比寿保健相談所―中小規模事業場の地域産業保健活動の担い手である日本医師会認定産業医を取得している開業医もしくは勤務医(以下「地域産業医」という)の活動実態を把握するとともに,地域産業保健活動へと結びつく要因について検証することを目的とした.平成15年11月~12月,新宿労働基準監督署管内である新宿区・中野区・杉並区医師会所属の地域産業医405人(実際に産業医活動をしているかは不明)を対象に,属性,活動状況,地域産業保健活動への参画意欲を表す指標として,(1)「産業医紹介リストへの掲載」,(2)「地域センター協力リストへの掲載」,(3)「定期健康診断依頼リストへの掲載」への可否について質問紙による郵送調査を実施した.有効回収率は152人,37.5%で,そのうち94人(61.8%)が事業場を受け持っていた.(1)について,全体では,産業医活動以外の医師会活動・地域活動に取り組んでいること,日本医師会認定産業医を更新していくことが,事業場を受け持っている地域産業医では,受持ち事業場の定期健康診断有所見率を把握していること,事業場側に満足してもらっていると思っている(地域産業医から見て)ことが関連していた.(2)について,全体では,日本医師会認定産業医を更新していくこと,最近1年間に産業医研修を受講していることが,事業場を受け持っている地域産業医では,地域センターを知っていること,産業医共同選任事業を知っていること,受持ち事業場の定期健康診断有所見率を把握していること,産業医の職務のうち作業様態・作業環境に関する指導助言を実施していること,事業場側に満足してもらっていると思っている(地域産業医から見て)ことが関連していた.(3)について,現在,事業場の定期健康診断を実態していることと関連していた.全体では,地域産業医は地域産業保健活動に対し,社会貢献的な意識で地域活動の一環として活動に臨んでおり,現時点よりも将来的に地域産業保健活動に参画したいと考えていると思われる.事業場を受け持っている地域産業医では,事業場の労働安全衛生情報を把握し,作業様態・作業環境に関する指導助言を実態し,中小規模事業場の支援事業に精通していることが地域産業保健活動への参画意欲へとつながっていると思われる.また,自分たちの活動が事業場側に満足してもらえている手応えも大切であると思われる.(産衛誌2005; 47: 259-268)
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