日本土壌肥料学雑誌
Online ISSN : 2424-0583
Print ISSN : 0029-0610
94 巻, 5 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
日本土壌肥料学会賞受賞
日本土壌肥料学会技術賞受賞
日本土壌肥料学会奨励賞受賞
日本土壌肥料学会技術奨励賞受賞
日本土壌肥料学会貢献賞受賞
報文
  • 宇野 功一郎, 中尾 淳, 奥村 雅彦, 山口 瑛子, 小暮 敏博, 矢内 純太
    2023 年 94 巻 5 号 p. 376-384
    発行日: 2023/10/05
    公開日: 2023/11/07
    ジャーナル 認証あり

    放射性セシウム捕捉ポテンシャル(Radiocesium interception potential; RIP)は土壌や鉱物中に存在するフレイド・エッジ・サイト(Frayed edge site; FES)量の指標として開発され,土壌が放射性セシウムを吸着する能力の指標として広く用いられてきた.ただし,土壌中での放射性セシウムの動態を予測するパラメータとして活用する場合の制限について十分に検討されてこなかった.そこで本研究では風化促進させた黒雲母を用いて,まずRIPを測定した.さらに同じ風化黒雲母に対して液相組成を大きく変えた条件で137Csの吸着試験を行い,平衡時の固液分配係数(Kd)を求めるとともに,RIPと液相中のK+またはNH4+濃度を用いてKdの推定値を算出し,実測値と推定値とを比較した.その結果,RIPから算出されたKdの推定値は実測値を常に下回っており,特に液相中のK+またはNH4+濃度が増加するほど過少評価となった.そこでRIPまたはKdを実測した際の液相中での黒雲母の膨潤状態をXRDにより調べたところ,RIP測定時には大部分の構造が1.4 nmに膨潤していた一方で,Kd測定時には層間は収縮傾向にあり,K+またはNH4+濃度が大きいほど1.0 nmに収縮する割合が増加していた.Kd測定時における液相組成と連動した風化雲母の膨潤状態の変化は見落とされがちだが,Kdの変動要因として重要であることが強く示唆された.

  • 山崎 惟吹, 山下 寛人, 廣野 祐平, 森田 明雄, 一家 崇志
    2023 年 94 巻 5 号 p. 385-398
    発行日: 2023/10/05
    公開日: 2023/11/07
    ジャーナル 認証あり

    チャ栽培では多量の窒素(N)施肥に由来した土壌の強酸性化によるチャの生育阻害とN溶脱による環境負荷が懸念されている.本研究では,アルカリ系資材のスラグ投入による強酸性茶園土壌のpH矯正効果の有効性を,幼チャ樹の生育と品質ならびにN利用効率を調査することで評価した.強酸性茶園土壌(pH 2.9, N 2.2%)に高炉スラグ(10, 20%),溶融スラグ(10, 20%),および製鋼スラグ(1, 2%)を混合し,チャ一年生挿し木苗を定植後,2回の新芽摘採を通じた約4ヶ月間の栽培試験を実施した.スラグ資材の施肥により茶園土壌のpH上昇が確認されたが,その効果は溶融スラグ<高炉スラグ<製鋼スラグの順であった.幼チャ樹の生育と品質成分は高炉スラグまたは溶融スラグ施肥で安定していたが,製鋼スラグ施肥では一部阻害がみられた.Nの溶脱量は高炉スラグと製鋼スラグ施肥で増加したが,溶融スラグ施肥では減少し,N利用効率が改善した.以上の結果から,スラグ資材の施用はチャ生育に最適な土壌pH域を保つことにより,チャの生育や品質,N吸収利用効率を改善させ,茶園土壌のpH矯正資材として有用である可能性を示唆した.

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