日本土壌肥料学雑誌
Online ISSN : 2424-0583
Print ISSN : 0029-0610
93 巻, 4 号
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報文
  • 吉村 元博, 岡 紀邦, 長澤 幸一, 前塚 研二, 森本 晶
    2022 年 93 巻 4 号 p. 161-175
    発行日: 2022/08/05
    公開日: 2022/08/30
    ジャーナル 認証あり

    秋まきコムギ生産性を土壌質の観点から定量的に評価するため,北海道十勝地域の生産者圃場(3か年のべ61筆)の表層土壌理化学性データを用いて,土壌質指標(soil quality index: SQI)の算出を試みた.まず,北海道が土壌診断基準値を設けている項目から圃場間の変動が大きいものを採用し,次いで0~1のスコアに換算し,加重合計をSQIとした.スコアは基準値から離れるほど減点した.採用された項目は,圃場間変動が大きい順に交換性カルシウム,固相率,交換性カリウム,粗孔隙,熱水可溶性ホウ素であり,特に交換性カルシウムと粗孔隙がSQI低下に与える影響が大きかった.SQIと収量の関係として,5~7月が多雨で低収な2018年のみ有意な正の相関が見られ,低地土(表層が火山灰のものも含む)で特に相関関係は強く,粗孔隙のスコアがSQIに大きく影響した.一方,低地土に比べて有効土層が厚い黒ボク土のSQIと収量の相関関係は弱く,表層に礫混入が多い圃場は高SQIでも低収であった.このことから有効土層全体の評価,礫の考慮,それらの指標化の必要性が示唆された.本研究では,多雨で低収な年かつ有効土層が薄く表層に礫混入が少ない圃場に限りSQIと収量に関係が認められ,土壌質の改善が収量の年次変動を低減しうることを示した.また,SQIと収量の関係は気象条件,栽培管理状態も考慮する必要があることを示した.

  • 和田 巽, 棚橋 寿彦
    2022 年 93 巻 4 号 p. 176-184
    発行日: 2022/08/05
    公開日: 2022/08/30
    ジャーナル 認証あり

    岐阜県平坦部の水稲主要品種「ハツシモ岐阜SL」の安定生産と良好な品質の両立に向けて,土壌からの窒素供給を加味した施肥窒素量(以下,施肥N)の適正化について検討した.

    玄米収量および玄米タンパク質含量と成熟期における窒素吸収量との間には一定の関係が認められ,これらの関係から「ハツシモ岐阜SL」における理想的な窒素吸収量を100 kg ha−1と位置付けた.

    水稲作物体への窒素供給量と窒素吸収量との関係を調べ,施肥Nに作土からの窒素供給量(以下,作土N)を加味することで,施肥Nのみの場合に比べ窒素吸収量との関係性は強まった.特に,湿潤土30°C 10週間湛水培養による窒素無機化量(以下,湿10w)により作土Nを算出し,土地利用形態により水稲連作と田畑輪換に仕分けすることでこれらの関係性はさらに強まった.すなわち,湿10wを窒素供給量に加味することで,施肥および作土由来の窒素供給量から窒素吸収量を精度良く推定できることが示唆された.

    これに加え,供給窒素の利用率と施肥Nおよび作土N以外の供給窒素を推定式に加味した結果,窒素吸収量の推定精度はさらに向上した.作土Nの利用率と作土Nの算出に用いる作土の仮比重および作土深を係数化し,推定に必要な要素を湿10wの値のみとした推定式と「ハツシモ岐阜SL」の理想的な窒素吸収量から,湿10wを加味した適正な施肥Nの算出方法を構築した.

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