福島県内に流通する家畜ふん堆肥122点(牛75点,鶏23点,豚24点)を収集し,堆肥中の微量元素濃度の実態を明らかにした.主要な結果は以下の通りである.1)家畜ふん堆肥中に含有される微量元素は,ナトリウム,鉄,アルミニウム(全畜種の中央値;4,194〜4,985mg Kg^<-1>)>チタン,マンガン,亜鉛(222〜578mg Kg^<-1>)>銅,ルビジウム,ストロンチウム,バリウム(29〜87mg Kg^<-1>)>リチウム,バナジウム,クロム,ニッケル,ガリウム,ヒ素,イットリウム,ジルコニウム,モリブデン,カドミウム,鉛,ランタン,セリウム,ネオジム(0.32〜7.53mg Kg^<-1>)であった.2)牛ふん堆肥は,リチウム,アルミニウム,チタン,バナジウム,鉄,ガリウム,ヒ素,ジルコニウム,バリウムといった元素濃度が高く,これらの元素は相互に高い相関を示した.これらは土壌に多く含有される元素である.一方,鶏ふん堆肥は,窒素,マグネシウム,リン酸,カルシウム,ニッケル,銅,亜鉛,ストロンチウム,モリブデンが多く含有されていた.豚ぷん堆肥は,一部の例外をのぞき,これら堆肥の両方の化学的性質を備えていた.3)家畜ふん堆肥中のカドミウム,ヒ素,鉛濃度は一般的に低かった.亜鉛,銅,カドミウム,鉛,ヒ素の5元素間で全ての畜種に共通した高い相関関係は見いだせなかった.4)銅,亜鉛濃度は鶏ふん堆肥,豚ぷん堆肥で高かった.それらの堆肥を施用するときは土壌汚染に注意する必要がある.
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