エダマメ,チンゲンサイ,レタス,ニンジン,キャベツ,ハクサイ,ブロッコリーにおける可食部Cd濃度の品目間差異とCd吸収特性を調べるため,Cd濃度が異なる9〜11点の土壌を用い,目標pHを2〜3段階にしてポット栽培試験を行った.可食部Cd濃度は,土壌pHに影響されるため,0.1molL^<-1>塩酸浸出Cd濃度と栽培後の土壌pHを説明変数,可食部Cd濃度の対数を目的,変数各供試土壌をランダム要因に組み入れ,線形混合モデルで解析した.1)日本の畑土壌の平均的条件(土壌pH6.1,土壌Cd濃度0.21mg kg^<-1>)における可食部Cd濃度は,高い方からニンジン,チンゲンサイ,エダマメ,レタス,ハクサイ,ブロッコリー,キャベツとなった.2)全品目の可食部Cd濃度に対する土壌中Cd濃度,土壌pHの影響は,それぞれ正,負の影響が認められた.土壌中Cd濃度が2.0から0.5mg kg^<-1>の低下により,キャベツ,ニンジン,レタスの可食部Cd濃度は約7割,ブロッコリーは約6割,エダマメ,チンゲンサイ,ハクサイは約5割の低減が予測された.また,土壌pH5.5から6.5の上昇により,キャベツの可食部Cd濃度は約8割,エダマメ,ブロッコリーは約6割,ハクサイ,レタスは約5割,チンゲンサイは約4割,ニンジンは約3割の低減が予測された.3)ランダム切片の解析により,黒ボク土壌においてチンゲンサイ,レタス,ニンジン,ハクサイ,ブロッコリーの可食部Cd濃度に対する土壌中Cd濃度と土壌pH以外の要因の影響が大きいと推察された.
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