日本土壌肥料学雑誌
Online ISSN : 2424-0583
Print ISSN : 0029-0610
93 巻, 2 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
報文
  • 戸上 和樹, 髙本 慧, 髙橋 智紀
    2022 年 93 巻 2 号 p. 69-76
    発行日: 2022/04/05
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー

    土壌中の有機物を,暗色を呈し微生物の分解に対して安定な腐植と易分解性有機物に区分すると,可給態窒素の簡易・迅速推定法は易分解性有機物の量に基づく.本研究では暗色の安定な腐植に着目し,「土壌の分光反射率から予測される炭素含量は安定な腐植であり,全炭素含量との差は可給態窒素の供給源である易分解性有機物と関係する」の仮説を立て,その検証から土壌の全炭素含量と分光反射率を用いた可給態窒素の新たな推定法を提示した.検証のため,家畜ふん堆肥,稲わらの連用区および有機物無施用区の水田の代かき後に,マルチスペクトルカメラを用いたドローン空撮を実施した.土壌の分光反射率と全炭素含量の関係は,易分解性有機物が多い有機物連用区で分光反射率に対し全炭素含量が過大となり低い相関となった.一方,有機物無施用区のみを考慮すると高い相関となり,分光反射率から安定な腐植が推定されることが示唆された.さらに,推定した安定な腐植と全炭素含量の差は,可給態窒素と有意な相関が認められ,可給態窒素が全炭素含量と分光反射率から推定できることが示された.実際,土壌の全炭素含量に加え分光反射率を可給態窒素の予測式に用いると,決定係数が風乾土4週培養で0.70から0.90,湿潤土10週で0.45から0.74に上昇した.しかし,本研究の結果は沖積土で母材が一定である圃場に基づくため,異なる土壌タイプでの適応可能性を検討する必要がある.

技術レポート
資料
会員のひろば
ニュース
書評
feedback
Top