比較生理生化学
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33 巻, 4 号
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口絵
発表要旨
総説
  • 戸高 寛, 樋口 琢磨, 坂本 修士
    2016 年 33 巻 4 号 p. 183-190
    発行日: 2016/12/26
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル フリー

    microRNA(miRNA)は,標的となるメッセンジャーRNAの翻訳を阻害することで様々な生命現象を制御する。これらのmiRNAの生合成は,多くのRNA結合タンパク質により厳密に制御されている。従ってmiRNA生合成を制御するRNA結合タンパク質の異常な発現変動は生体システムの破綻を引き起こし,疾患発症に影響を及ぼすことが知られている。我々は,これまでに,過剰発現したRNA結合タンパク質Nuclear Factor 90(NF90)-NF45複合体がmiRNA初期転写産物のプロセシングを抑制し,miRNA産生を負に制御することを見出している。本稿では,NF90-NF45過剰発現マウスを用いた表現型解析および機能解析より見出された「過剰発現したNF90-NF45はmiR-133生合成を抑制し,骨格筋の中心核化および筋委縮を誘導する」ことを主として紹介する。加えて,近年発表した「肝細胞癌において発現増加するNF90-NF45がmiR-7生合成機構を抑制して細胞増殖を促進する」ことついても紹介する。これらの知見を通じてNF90-NF45の過剰発現および発現増加が及ぼすmiRNA生合成機構の制御とその機構を介した疾患発症について述べる。

  • 石川 由希
    2016 年 33 巻 4 号 p. 191-202
    発行日: 2016/12/26
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル フリー

    シロアリは,高度に発達した社会構造を持つ昆虫である。この社会性は,ほぼ同一のゲノムから生まれた個体が異なるふるまい(=分業)をおこなうことによって成立している。どのような仕組みで同一ゲノムから生まれた個体が異なる行動や形態を示すようになるのだろうか?また単独性の祖先種から,どのように複雑な社会性が進化したのだろうか? 本稿ではまず,シロアリの社会性に関して,特に混乱しがちな特殊な用語を含めながら解説する。次に,同一のゲノムから異なる表現型が分化する発生経路やその仕組みに関して紹介する。さらに,それぞれの個体が異なるタスクを分担する神経生理学的基盤に関する最新の研究を紹介する。最後に,シロアリの社会性進化がどのような生理/神経機構の改変に起こってきたのかを考察する。

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