比較生理生化学
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38 巻, 3 号
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総説
  • 佐竹 炎
    原稿種別: 総説
    2021 年 38 巻 3 号 p. 115-123
    発行日: 2021/12/01
    公開日: 2021/12/10
    ジャーナル フリー

    ホヤは脊椎動物とともに脊索動物門の一員であり,脊椎動物の姉妹群である。このような系統分類学的に重要な位置を占めることから,ホヤの一種であるカタユウレイボヤ(Ciona intestinalis Type A,または,Ciona robusta)は発生学やゲノム科学で重要なモデル生物として古くからよく研究されている。一方,生殖や摂食といった生物の基本的な行動やそれらを制御する神経系や内分泌系で機能する神経ペプチドやペプチドホルモンについてはほとんど研究されていなかった。ここ10年で,カタユウレイボヤのペプチド,受容体,および,それらが制御する生殖細胞の分子機構が明らかになってきた。本稿では,カタユウレイボヤのペプチドと受容体の一次構造や生理機能,および,それらから見出されたホヤと脊椎動物との共通性と特異性を述べていく。

  • 津守 不二夫
    原稿種別: 総説
    2021 年 38 巻 3 号 p. 124-131
    発行日: 2021/12/01
    公開日: 2021/12/10
    ジャーナル フリー

    やわらかい生体の運動の工学的な模倣について紹介する。 骨格(内骨格や外骨格)構造のない生体の運動が一例となる。 例えば軟体動物や環形動物である。また,生体組織として繊毛や鞭毛の運動,消化管の蠕動運動といった例もやわらかい運動として挙げられる。このような個体の運動を模倣するため,柔軟な素材を用いて作られた人工構造が近年注目されており,ソフトロボティクス分野として取り扱われている。本稿では,このような構造を産業用ロボットハンドに代表される関節を有するロボットと比較しながら,その特徴について説明する。利用されている材料や手法についていくつかの例を示し,その中でも磁性粒子分散柔軟材料を用いた外部磁場駆動構造について詳しく述べる。生体模倣運動の具体例として人工繊毛および這行運動について示す。前者では生体繊毛運動に観察される非対称性やメタクロナール波の実現について,後者については進行波の発現方法について説明する。これらを通じ,生体との相違および工学的手法の現状,将来について考察したい。

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