抗真菌剤を開発する目的で, 広範囲の有機合成化合物をスクリーニングし, メルカプトチアゾール誘導体の一種, 3-(p-methylbenzylidene-amino)-4-phenylthiazoline-2-thione (以下MPT) が一般微生物に対してほとんど無効であるが, 人体病原真菌類に対してのみ顕著な抗菌作用を特異的に発揮することを見出した. MPTのMIGは
Trichophyton, Epidermophyton および
Microsporium に対して0.8~1.6μg/mlを示し, 血清の存在で抗菌価の低下はきわめて小さく, またMPTの抗菌作用はむしろ静菌的であるが殺菌的作用も強い. 特に興味深いことは
Trichophyton の菌糸時代にも強い抗菌作用を示すことである. なお, MPTの急性毒性はきわめて弱く, LD
50 はマウス静注, 腹腔注および経口のいずれの場合も10g/kg以上である.
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