真菌と真菌症
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28 巻, 2 号
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  • 高橋 久, 宮治 誠
    1987 年 28 巻 2 号 p. 147
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
  • -スポロトリコーシスにおける病理組織学的並びに免疫組織化学的研究-
    中嶋 弘, 黒沢 伝枝, 高橋 泰英, 毛利 忍, 馬場 直子
    1987 年 28 巻 2 号 p. 148-156
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    The defence mechanism in sporotrichosis and the influence of corticosteroid (Cs) application were studied.
    A healthy adult man was intracutaneously injected 0.2ml Sporothrix schenckii spore suspension (1.8×106 spores) at 12 sites on his forearm. A half of the sites were applied Cs ointment. The injected sites were successively biopsied on day 3, 7, 14, 14, 21 and 28. The specimens were examined histopathologically and immunohistochemically using PAP method (antibodies used were; anti-MT-1, IgG, IgA, IgM, IgE, C3, lysozyme, α-antitrypsin and α1-antichymotrypsin, S-100 protein), The specimen taken on day 28 was also examined using ABC method (antibodies used were; anti-leu 1, 2a, 3a, 4, 6, 7, 14, M1 and anti-OKIA1).
    Histopathologically, control sites showed in its course abscess formation, transepidermal elimination of the abscess, maturation of Mo-Mφ around the abscess, and increase of the lymphocytes surrounding the granuloma. Fungal elements were seen mostly in the granuloma, but gradually decreased during the course. Cs inhibited these processes, and in Cs-applied group the number of fungal elements increased during the course to form a mass of innumerable spores seen in the specimen taken on day 28. Immunohistochemically, PMN, T cells (h/iT, s/cT), B cells, plasma cells (IgG-, IgA- and IgM-positive), histiocytes and giant cells were identified. IgE-, S-100 protein positive cells, NK cells, Langerhans cells, and C3-positive substances were not detected. The subpopulations in both groups were the same in essential.
    From these results it is assumed that PMN, Mφ T and B cells contribute and interact in the defence mechanism of sporotrichosis. It is also shown that Cs application facilitated the fungal proliferation. The inhibition of PMN aggregation may be a cause of this state.
  • -マウス実験的スポロトリコーシスにおける組織内菌要素の電顕的研究-
    比留間 政太郎
    1987 年 28 巻 2 号 p. 157-163
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    スポロトリコーシスにおける感染防御機構を解明する目的で,マウス実験的スポロトリコーシス(腹腔内接種)における病巣を,1ヵ月目より6ヵ月目まで経時的に光顕および電顕的に観察した.初期ではmicroabscess形成と多核白血球(PMN)とマクロファージよりなるmixed cell granulomaであり,経過とともに病巣周囲に大型のマクロファージが出現した.電顕的には菌はほとんどPMNまたはマクロファージに貪食されており,細胞外胞子は少なかった.菌は繰り返しPMNに貪食されており,菌を貪食したPMNが,さらにマクロファージに貪食される現象も観察された.3ヵ月以後になると,マクロファージは巨大となり多数の菌を貪食しており,分芽胞子も認められた.全経過を通じて菌の微細構造は良く保たれておりviabilityは高いものと考えられた.本症の感染防御にはPMNによる貪食が重要なものであり,さらにマクロファージの動態が本症の経過を決める鍵となるものと考えられる.
  • -ChromomycosisとPhaeomycotic cyst-
    岩津 都希雄, 西村 和子, 宮治 誠
    1987 年 28 巻 2 号 p. 164-170
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    Chromomycosisおよびphaeomycotic cystの臨床例における組織反応ならびに菌の寄生形態をFonsecaea pedrosoi, Phialophora verrucosaおよびExophiala jeanselmeiといった原因菌種別に再検討した.またヌードマウスおよびそのヘテロ接合同腹仔に実験的にF. pedrosoiおよびExophiala dermatitidisによる感染をおこさせ, 生じた脳病変の組織反応を観察した.その結果, 以下の結論を得た.
    1) この種の疾患における組織反応のいかんを決定する要因としては, 原因菌の菌種より宿主の感染防禦能, 動物実験の結果からは特に細胞性免疫能が重要と考えられた.細胞性免疫能を欠く場合は肉芽腫性反応がおこりにくく, 代償的に強い化膿性反応が惹起された.
    2) 菌の寄生形態は, 菌種によってsclerotic cellsという耐久形をとりやすいものと, 菌糸形をとりやすいものがあった.しかしながら, 宿主防禦能は菌の寄生形態の決定因子としても重要で, compromised hostにおいて菌糸形を, 通常の抵抗力をもつか, あるいはそれに近い状態の宿主においては耐久形をとる傾向がみられた.
    3) この種の黒色真菌感染をchromomycosisとphaeomycotic cystを両極に置いた, 相互に移行しうる, 連続性をもつ大疾患単位としてとらえた方が, この種の疾患における組織反応や菌の寄生形態の多様性を理解する上でより合理的と思われた.
  • 松本 忠彦, 松田 哲男
    1987 年 28 巻 2 号 p. 171-174
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    黒色菌糸症phaeohyphomycosisと無色菌糸症hyalohyphomycosisはAjelloらによって提唱された比較的新しい疾患概念で, それぞれ褐色, 無色の菌糸性寄生形態で特徴づけられる真菌感染症である.これら2つの疾患概念の臨床的, 組織学的, 菌学的所見を論じ, これらが真菌症の論理的で有意義な術語として相補的な役割を果たすことを強調した.さらに, 菌腫mycetomaの疾患概念を明確にし, 肺の菌球fungus ballに誤って用いられていることを指摘し批判した.
  • -ヌードマウスに移植したヒトの皮膚における実験的白癬の組織反応について-
    角谷 廣幸, 高橋 伸也
    1987 年 28 巻 2 号 p. 175-183
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    われわれは皮膚糸状菌感染における主として非特異的感染防御反応を検討する為に, ヌードマウスに移植したヒト皮膚にTrichophyton mentagrophytesを穿刺接種して実験的白癬を起こさせ, 経過を追って病理組織学的に観察を行なった.
    急性期 (菌接種2週後) では, 表皮にて穿刺部を中心に痂皮形成がみられ, 痂皮の辺縁部即ち遠心性に拡大する病変の進行部では, 菌要素に接して多形核白血球よりなる角層下微小膿瘍の形成を認めた.それは角層から穎粒層へと侵入する菌に対する非特異的感染防御反応と思われた.
    慢性期 (菌接種5, 11週後) では, 菌要素は移植ヒト皮膚全体の角層にて角質下層の不全角化のレベルまで多数みられた.表皮は一部に不全角化を伴う角質増殖および表皮肥厚を呈し, 観察期間中経過とともに表皮突起の不規則な延長を示す表皮肥厚の程度が強くなった.かかる増殖性反応は, 白癬菌の感染に対する表皮の非特異的防御反応の一つと考えられた.真皮では組織球を主体とし, 少数のリンパ球を混じた軽度の細胞浸潤が瀰漫性にみられた.
    接種11週後例における寄生菌の透過電顕所見は, ヒトの白癬においてみられるものと類似していた.同モデルはヒトにおける皮膚糸状菌の感染動態の病理組織学的, 免疫学的検討に有用なものと考えられた.
  • -皮膚糸状菌の真皮・皮下組織への侵襲性-
    西山 千秋
    1987 年 28 巻 2 号 p. 184-191
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    元来kerationphilicである白癬菌は角質物質に寄生し, 真皮・皮下組織などの深部組織へは侵襲しないが, 稀に真皮に病変が波及した場合を深在性白癬と呼称している.深在性白癬にはケルスス禿瘡や白癬性毛瘡のように真皮に強い炎症性組織反応を生ずるが, 起因菌は深部組織で壊されてしまう急性化膿型と, 白癬性肉芽腫のように, 深部組織で菌が増殖する慢性肉芽腫型がある.他の真菌による深在性真菌症では起因菌が深部組織内で増殖する疾患に限って用いられるため, 皮膚糸状菌についても同様に定義すれば, 急性化膿型は該当しなくなる.ところで最近immune compromised hostに続発した白癬性肉芽腫には臨床的に皮下結節として触れ, 摘出した病巣の割面は肉眼的に嚢腫構造を呈し, 臨床経過, 組織反応および菌の寄生形態が急性化膿型と慢性肉芽腫型の中間を呈する特異な型 (嚢腫型) がある.以上の組織反応と菌の寄生形態より深在白癬を3型に分類した.次に菌側要因に関して, T. rubrumの深部組織における適応性について浅在性白癬分離株と白癬性肉芽腫分離株を用いて寒天埋没法により観察した.浅在性白癬分離株は4ヵ月頃まで球状細胞に変換して特異な形式による増殖を示したが, それ以後は崩壊・消失に赴いたのに反して深在性白癬のそれは26週後もPASに濃染する菌糸形をとり, 両者の適応性に差のあることが推察された.
  • -肺アスペルギルス症-
    発地 雅夫
    1987 年 28 巻 2 号 p. 192-197
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    肺内に到達したアスペルギルス菌体に対する組織の応答と寄生菌のその後の動態について, 剖検例と手術例を用いて病理組織学的に検索し, 動物実験の結果と比較検討した.剖検例は, 侵襲型39例, 菌球型2例, 肉芽腫型2例, 手術例では, 菌球型4例, アレルギー型5例, その他1例である.
    剖検例は, いずれも続発性アスペルギルス症で, 基本的な病変は慢性壊死性病変である.宿主の防御能の低い順に, 無反応性, 壊死性化膿性病変であった.寄生菌の形態は, 無反応性病変と化膿性病変の一部では, 先端のY字型分岐と中隔を有する菌糸の放射状発育で, 化膿性病変の大半と肉芽腫性病変では, 腫大した胞子や不規則な形の菌糸形態を示し, その発育は制限されていた.
    手術例では, 菌球型に相当する症例では, 非特異性炎症が主体で, 組織内に侵入した菌要素は主としてマクロファージ内に貪食されていた, 一次性の菌球形成には, 気管支における何らかの先行障害の存在が必要なものと考えられた。アレルギー型の組織反応では肉芽腫性病変が注目されるが, 病変形成には, 菌の侵襲よりもアレルギー機序による組織障害が重視される.
    動物実験の成績から, アスペルギルスの胞子は, 多形核白血球によって処理されることが判明しているが, さらに防御能の低下した宿主では壊死性病変の形成と菌糸発育を可能にすることが示された.
  • -実験的肺アスペルギルス症に関する研究- (新しく開発した曝露実験装置の評価)
    久米 光, 木村 千恵子, 望月 真弓, 奥平 雅彦
    1987 年 28 巻 2 号 p. 198-207
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    マウスを用いた真菌性呼吸器感染実験装置を作製し, すでにその病原性が確認されているAsp. fumigatus (久保山株) とこれに近縁種であり, かつ自然界における分布および種々の性状が近似するAsp. ochraceusヒト肺由来株の両者を用いて一連の感染実験を行うとともに, 感染マウスに本実験装置を用いてアムホテリシンBを吸入せしめ, その治療効果についても検索した.
    肺アスペルギルス症の実験モデルの作製には, 健常マウス (ddy系, SPF, 4週齢) およびシクロホスファミドとプレドニンの両者を前投与して抵抗性を減弱せしめたマウス (以下前処置マウス) の両群を供試実験動物とし, 2.5~3.0×108/ml/0.1% Tween 80になるように調整した供試菌の成熟胞子浮遊液を, 約5時間噴霧し, 経気道的に真菌胞子に曝露させた.
    その結果
    1. 作製した真菌性呼吸器感染実験装置は極めて再現性が高く, しかも臨床例における感染成立に近似した理想的な呼吸器感染実験モデルを作製し得る, 優れた実験装置であることを確認した.
    2. Asp. fumigatus胞子の曝露実験系において, 免疫能低減マウスで80%~100%の死亡率を示した.
    3. Asp. ochmceus胞子の曝露では死亡例をみないが, 免疫能低減マウスで小さな感染病巣が形成された.
    4. 肺感染マウスに対して, AMPH吸入による明らかな治療効果を認めた.
  • -白血病と真菌感染-
    阿部 章彦
    1987 年 28 巻 2 号 p. 208-214
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    白血病剖検例における真菌症の組織反応について検討し, さらに実験例と対比した.
    剖検例についてみると, カンジダ症とアスペルギルス症では壊死性病変が過半数を占めた.一方, ムーコル症では, 血管内菌糸発育とそれに伴う血栓形成・梗塞性病変, クリプトコックス症では, のう胞様ないし肉芽腫性病変が認められ, それらは原因菌に対応した病変であった.約70%の症例で, 成熟好中球数は, 正常範囲の下限である1,200/mm3を下回り, 宿主の防御能低下を示唆していたが, 約30%では好中球減少を認めなかった.
    一方, 白血病マウスを用いた真菌感染実験では, カンジダ症, アスペルギルス症とも壊死性病変が主体をなした.ステロイドホルモンを菌接種と同時に投与すると, 末梢血好中球数に増加傾向がみられたが, 非投与群の方が, 好中球反応がやや高度であった.このことから, 真菌に対する易感染性には, 好中球の質的低下も重要であると考えられた.さらに, 剖検例のうち好中球減少がみられなかった例では, 好中球機能の低下していた可能性が示唆された.
    以上の剖検例および実験例の検討結果, 白血病患者における真菌に対する易感染性には, 好中球の減少および機能低下が関与していると考えられた.
  • -白血病と真菌感染症-
    宮治 誠
    1987 年 28 巻 2 号 p. 215-220
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    急性白血病患者に併発する真菌症はカンジダ症が最も多く, 以下アスペルギルス症, クリプトロックス症と続いている.これら真菌症の発症要因を考える時, 腎移植患者に発生する真菌症は大変参考になる.それは腎移植患者に感染を起こす原因菌の種類は急性白血病に発生する真菌感染症のそれと同じであるが, 分離頻度が異なっているからである.すなわち, Cryptococcus neoformans, Candida albicans, Aspergillus fumigatusの順になっており, クリプトコックス症が最も併発し易い疾患となっている.それは, 同じ日和見感染といってもA. fumigatus, Ca. albicans, あるいはCr. neoformans感染に対する生体防御機構が各々微妙に異なっており, 一方疾患によっても障害される防御機構が各々異なっている可能性があるからである.
  • 五井 裕子, 河村 真理, 坂本 政禧, 高橋 明子, 滝内 石夫
    1987 年 28 巻 2 号 p. 221-227
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    患者, 48歳男性.初診, 昭和59年11月中旬.昭和59年8月, 胆石治療中に 痒を伴う紅斑が体幹, 四肢, 顔面に汎発性に出現した.某医にてステロイド内服, 外用を受けるも症状は改善せず, 顔面に痂皮を付す結節が生じたため, 当科を受診した.入院時現症, 顔面に帽針頭大からクルミ大までの紅斑, 丘疹, 結節が多発し, 一部には厚い鱗屑痂皮が固着していた.口腔粘膜と舌には白苔を著明に認め四肢, 体幹では小葉状の鱗屑を付すクルミ大までの環状紅斑が集簇性に多発していた.また足底では角質増殖が著明で趾爪甲の肥厚も認められた.免疫学的検査において, LEテスト, 抗核抗体, 抗DNA抗体に異常値を認めた.また, 胸部レ線上に腫瘍陰影があり, 精査の結果悪性胸腺腫と診断された.前額の結節部の病理組織所見にて多数の菌要素が認められ, 顔面, 口腔, 四肢からCandida albicansが培養された.治療は, ケトコナゾールの内服と, 抗真菌剤の外用を行った.約6週間後には皮膚症状は, 略治したが, 胸腺腫は悪化し, 昭和60年10月, 呼吸不全にて死亡した.本例はchronic mucocutaneous candidiasis-thymoma症候群に一致すると思われた.過去15年間の本邦でのCMCCの報告例は40例あったが胸腺腫を合併した症例は, 自験例を含め2例にすぎなかった.
  • I. Sporothrix schenckii菌体および細胞壁多糖類によるヒト血清補体の活性化
    戸田 道子
    1987 年 28 巻 2 号 p. 228-233
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    Sporothrix (s.) schenckiiによる正常ヒト血清中の補体成分C3およびC5の活性化について, 免疫電気泳動法 (lmmunoelectrophoresis, IEP) およびラジオイムノアッセイ (Radioimmunoassay, RIA) を用いて検討した.その結果, IEPではS. schenckiiの酵母型および菌糸型菌体のみならず菌細胞壁多糖類によってもC3の活性化が行われることが明らかになった.また, この時産生されたC3aおよびC5aのRIAによる測定値はそれぞれ12,800~57,800ng/mlおよび82~925ng/mlであったが, この産生量と抗原量に相関が認められた.またこのin vitroにおけるC3の活性化は, 50℃および56℃で30分加熱処理した血清とEDTAでキレート処理した血清では認められず, Mg++・EGTAでキレート処理した血清でのみ認められることから, 副経路 (alternative pathway) を介して行なわれることが推察された.
  • II. スポロトリコーシス患者における補体の活性化
    戸田 道子
    1987 年 28 巻 2 号 p. 234-240
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    Sporothrix (S.) schenckii菌細胞壁多糖類が補体系の副経路を活性化する事実をふまえ, スポロトリコーシス患者2例の血清中のC3の活性化の有無を免疫電気泳動法 (Immunoelectrophoresis, IEP) を用いて検討したが, 患者血清は菌体抗原を加えない状態ではC3の活性化は観察されなかった.そこでラジオイムノアッセイ (Radioimmunoassay, RIA) を用いてスポロトリコーシス患者7例の血清中のC3a, C4aの測定と, 血清に活性化因子である酵母型菌体を加えて反応させた後のC3a, C4aを測定したところ, ほぼ全例でC3a, C4aが高値で, 各症例ごとにin vivoでの古典経路, 別経路の働き, 補体活性化能力を推察し得た.
  • 金子 健彦, 加藤 匡志, 崔 進, 阿部 章彦, 発地 雅夫
    1987 年 28 巻 2 号 p. 241-249
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    最近の深在性真菌症の実態を明らかにするため, 信州大学第2病理学教室の全剖検例 (1975~1984年) を対象として集計した.
    全剖検例714例中, 真菌症は93例 (13.0%) に存在した.各真菌症の内訳は, カンジダ症が50.5%で一番多く, ついでアスペルギルス症22.6%, クリプトコックス症5.4%, ムーコル症3.2%の順であった.
    続発性真菌症の基礎疾患では, 白血病が最も多く33.3%を占め, ついで白血病および悪性リンパ腫以外の悪性腫瘍 (以下悪性腫瘍と呼ぶ), 悪性リンパ腫, 白血病以外の血液疾患の順であった.また主な基礎疾患別にみた真菌症の発生頻度は, 悪性リンパ腫で最も高く (80.0%), ついで白血病, 白血病以外の血液疾患, 悪性腫瘍の順であった.
    各真菌症における組織病変では, カンジダ症, アスペルギルス症で壊死性病変が過半数を占め, 宿主の免疫不全状態をよく反映していた.一方, クリプトコックス症とムーコル症では, それら原因菌に対応した組織病変を示した.
    各種組織病変と白血球数の関係では, 好中球数についてみると, 白血病例の83.3%にあたる15例で, 2,500/mm3を下回っており, 宿主の免疫不全状態とよく呼応していると考えられた.リンパ球数についてみると, 好中球数が2,500/mm3を下回っている場合には, それと相関したリンパ球数の減少傾向が認められた.
  • -E. jeanselmei, E. dermatitidis保存株との比較-
    仲 弥, 増田 光喜, 原田 敬之, 西川 武二
    1987 年 28 巻 2 号 p. 250-257
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    23歳男性のchromoblastomycosisより分離されたExophiala jeanselmeiの絨毛形と穎粒形をE. jeanselmeiの保存株8株およびE. dermatitidisの保存株7株 (うち1株は顆粒形) と, 形態学的あるいは発育温度の面から, さらには生理学的, 血清学的に比較検討した.その結果, 本菌株の絨毛形はE. jeanselmeiとして矛盾するところがなかった.また, 本菌株の顆粒形はE. dermatitidisの顆粒形とは集落の外観, 顕微鏡的所見, 血清学的所見に若干の差違が見出された.また, E. jeanselmeiとE. dermatitidisとの比較検討の結果, 両者の分生子形成細胞に環紋 (annellation) が認められ, ともにExophiala属としてその近縁性は示唆されるものの, 集落の形態, 発育温度等が異なり, 鑑別可能と思われるので, 現時点では両者を独立した菌種とする見解に従うべきと思われた.
  • 曽山 浩吉
    1987 年 28 巻 2 号 p. 258-261
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    尿中のD-アラビニトールについて, 対照と深在性カンジダ症の合併が疑われた時期の白血病患者について, 血清D-アラビニトール/クレアチニン比と比較した.尿中のD-アラビニトール濃度は血清中に比べて高く, D-アラビニトール脱水素酵素を加えてNADが還元される速度を分光光度計の340nmの吸収の増加で測定することにより算出できた.尿を37℃8時間放置した時, 尿中のCandidaや細菌の影響は殆どみられないが, 20時間放置では影響がみられたので, 本研究では早朝尿を滅菌フィルターで濾過後凍結保存して測定した.対照尿のD-アラビニトール/クレアチニン比の基準値は血清中とほぼ同様で, 高齢者の中にやや高値を示す割合が高かった.そして血清値とよく相関した.一方, 深在性カンジダ症が疑われた時期前後の尿中D-アラビニトール/クレアチニン比を調べると, 血清値に比べてその上昇が遅く, 上昇の程度も低いが, 血清値の下降時は尿中値が長期間高値となっていた.
    以上の結果より, 身体内部のCandidaの増殖を早期に察知するには, 血清中D-アラビニトールを測定する方が優っているが, その後の推移には尿中D-アラビニトールもあわせて測定することが必要と考えられた.
  • Chen Hour-Young, Satoru Kaneda, Yuzuru Mikami, Tadashi Arai, Kazuei Ig ...
    1987 年 28 巻 2 号 p. 262-269
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    The bacterial vaccine, heat-killed Clostridium butyricum exhibits various immunomodulating activities including a strong protection activity against Candida albicans infection in mice. The analyses of immunomodulating activities induced by the vaccine showed that the vaccine stimulated macrophage and natural killer cell activity. Stimulation of delayed type hypersensitivity, IgM antibody formation and induction of γ-type interferon were observed. The vaccine was also mitogenic for B-cell lymphocytes. Among these immunomodulating activities, interferon was considered to be one of the important factors in the manifestation of in vivo anti-candida activity. Futrher studies using recombinant interferon (IFNa-A/D type interferon) confirmed the active role of interferon in the manifestation of the protection. The interferon production by the vaccine was also found to be dependent on the mouse strain used and was most active in DDY mice.
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