皮膚病原真菌の46株即ち,
T. rubrum; 10株,
T. mentagrophytes; 10株,
T. megninii; 6株,
Asp. niger; 6株,
Asp. flavus; 2株,
Epi. floccosum; 2株及び
C. albicans; 10株を供試菌として5-HTPの代謝特に, Serotonin, N-Acetylserotonin の形成について検討し, 更に, 対照として感染症に関係のある腸内細菌のうち
Klebsiella; 10株と
P. vulgaris; 10株の計20株を供試菌として N-Acetylserotonin のN-脱アセチル化作用を検討し次の結果を得た. (1) 供試皮膚病原真菌のうち
Trichophyton 属の全菌株が5-HTPを脱炭酸して Serotonin を形成する能力を有することを認めた. 他の菌種株はその能力は極めて弱いか無いことを認めた. (2) 供試皮膚病原真菌のうち
Trichophyton 属の全菌株が
Serotonin をN-アセチル化して N-Acetyl serotonin を形成する能力の強いことを認めた. 然し, 他の菌種株のN-アセチル化作用は極めて弱いか無いことを認めた. (3) 供試皮膚病原真菌のうち
Trichophyton 属の全菌株は N-Acetylserotonin をN-脱アセチル化して Serotonin を形成する能力の強いことを認めた. 然し, 他の菌種株のN-脱アセチル化作用は極めて弱く, その能力の無い菌株もあつた. なお, 対照として実験を行つた腸内細菌の
Klebsiella と
P. vulgaris のうち
Klebsiella の全菌株に N-Acetylserotonin をN-脱アセチル化する能力のあることを認めた. (4) 皮膚病原真菌による5-HTPの代謝には次の代謝経路のあることが認められた.
5-HTP→Serotonin⇔N-Acetylserotonin
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