真菌と真菌症
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24 巻, 4 号
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  • 深沢 義村
    1983 年 24 巻 4 号 p. 279
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
  • 特に臨床医学面から
    松崎 統
    1983 年 24 巻 4 号 p. 280-282
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    医真菌学の進歩にともない, 今まで一般に使用されてきた不適当な用語は次第に姿を消していつたが, その一方新しい分類による命名, また逆に古い菌名への復活が同時に進行し, 混乱状態のものもある. そのうちのいくつかを臨床医学側会員にアンケートをお願いした回答を軸として私見を附した. すなわち mucormycosis の病名をどうするのか? は Mucorales によるものはそのまま, candidiasis と candidosis は同時に使用されてもいたしかたないと思われる. 和名の乳児寄生菌性紅斑は使用しないとの意見が多く, 白癬菌性への菌の要, 不要は2つに分かれたが, Trichophyton を白癬菌と訳すことに問題が残る. 南アメリカブラストミコーシス, 北アメリカブラストミコーシスは南米, 北米とした方がよいとの意見もあるが, 和名ならどちらでもよいと考えるが, むしろパラコクシジオイドミコーシス, ブラストミコーシスとした方がすつきりする. Phialophora dermatitidisExophiala とすることについては Exophiala とした方がよいとの意見が多いが, 当分併記したらいかがであろう. MomsporiumScedoporium についても同じことがいえる. 器官名では sterigma を phialide に変更することについても phialide とした方に賛成が多かつたが, これも当分 Aspergillus の phialide を sterigma と呼ぶことにするのもよいと考える. 今後も続けてこの問題を考えて討論する必要がある.
  • 広永 正紀
    1983 年 24 巻 4 号 p. 283-289
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    皮膚糸状菌とその関連菌種の分類における最近の進歩と変化について概説し, 問題点を指摘した. 近年, これらの真菌の teleomorph-anamorph (s) connections が明らかにされたことにより, 多くの分類上の問題が解決され, またある程度系統 (自然) 分類学的な取り扱いも可能となつてきた. 現在行われている ArthrodermaNannizzia, TrichophytonMicrosporum の区別はきわめて人為的なもので, これらは系統分類の立場からみれば congeneric と考えるべきである. 最後に Arthroderma vanbreuseghemii の実験分類学的アプローチについても言及した.
  • 福代 良一, 金原 武司, 小林 博人
    1983 年 24 巻 4 号 p. 290-298
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    クロモミコーシスおよび関連疾患の原因菌には, 分類や生態の面において多少の問題を残しているものがある. 次のようである.
    (1) 寄生形態: クロモミコーシスの皮膚病変において, F. pedrosoiP. dermatitidis は専ら sclerotic cells として現われるが, P. verrucosa の場合は sclerotic cells のほか, それらからの菌糸発芽がしばしばみられる. 脳, その他の内臓病変においては, F. pedrosoi は専ら菌糸形を示すが, P. dermatitidis の場合は菌糸形のほか sclerotic cells もみられうる. P. gougerotii の寄生形態は, 病変が皮下嚢腫または皮膚の肉芽腫の場合は菌糸形であるが, 皮膚の疣状病変の場合は胞子形 (sclerotic cellsに類似) でありうる. (2) 集落の形態: P. dermatitidis の培養は普通の意味の2相性と異なる2相性を示す. すなわち, 普通の Sabouraud 培地・室温で2相であり得, 一つは sclerotic cells 類似の菌細胞のみから成り菌糸発育の全くみられない顆粒相, 他は平坦な集落で専ら培地内菌糸発育を示す菌糸相である. 顆粒相から菌糸相への変移は起こりうるが, 逆方向の変移はまだみられていない. この2相性は外国の教科書には記述のない, 強調すべき事項である. P. gougerotiiの集落は表面に気中菌糸が密生して羊毛状を呈するが, 処々が湿性で毛が粗大にみえることがある. (3) 分生子形成: P. dermatitidis の顆粒相においても稀に, 連鎖をなす菌細胞の小突起からの胞子形成がみられるうる. 本菌の菌糸相, P. gougerotii, P. jeanselmei の3者の分生子形成は類似し, 分生子柄の先端または菌糸の小突起から分生子が次々に生れ出る. その際, 柄や突起の先端に環紋の存在が立証されうる.
  • 西川 武二, 仲 弥
    1983 年 24 巻 4 号 p. 299-301
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    由来のことなる Sporothrix schenckii 酵母型細胞の形態学的相異, 発育温度, およびこれらの菌株のいくつかの酵母型細胞のDNAのGC含量が比較検討された. その結果, 菌株間にみられる若干の相異は同一菌種内の相異と考えるべきと結論された. これらに加え S. schenckiiCeratocystis stenoceras の近縁性について過去のデータを紹介した.
  • 篠田 孝子, 西川 朱實, 濱島 健二, 池田 玲子, 深沢 義村
    1983 年 24 巻 4 号 p. 302-309
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    医学上重要な Candida 属およびその関連菌種の分類上の問題点として anamorph と teleomorph の命名の問題がある. われわれはこれらの命名の統一をはかるため C. albicans, C. guilliermondii var. guilliermondii, C. parapsilosis, C. krusei, C. pseudotropicalis, Torulopsis candida およびそれぞれのteleomorph 6菌種について, 生化学的性状, 抗原パターン, 細胞壁マンナンの1H-n.m.r.スペクトルパターン, DNAのGC含量, ユビキノンシステムおよび菌体脂肪酸の性状などを解析した. その結果, C. albicansSyringospora albicans の上記の性状はすべて一致した. さらに, 分類学的検討を行つた結果, 両菌種は子嚢菌系酵母に属し, C. albicans として統一されるべきことが示唆された. さらに, C. guilliermondii var. guilliermondiiPichia guilliermondii, C. kruseiIssatchenkia orientalis および C. pseudotropicalisKluyveromyces marxianus の各々1対のCBS標準株は各対において上記6種の生化学的および物理化学的性状が一致することが明らかにされた. したがつて上記3菌種の anamorphs の命名を teleomorphs の菌種名に統一しうる可能性が示唆された.
  • K. J. Kwon-Chung
    1983 年 24 巻 4 号 p. 310-313
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
  • 臨床症状と予後の関連性
    高橋 義男, 佐藤 宏之, 伊藤 和則, 上田 幹也, 三上 淳一, 松岡 高博, 武田 聡, 大川原 修二
    1983 年 24 巻 4 号 p. 314-324
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    著者らは過去9年間に14例のクリプトコックス髄膜炎を経験し, その臨床症状, 髄液所見, CT所見と予後の関係につき検討した. 14例の神経症状は推測責任病巣から, 脳幹, 小脳症状, 脳神経症状を主体とする脳炎脳幹型, 精神症状, 記銘力障害, 失語症を主体とする脳炎皮質型, 頭痛, 髄膜刺激症状を主体とする髄膜炎型の3型に分類された. これら3型と予後の関係を検討すると, 脳炎脳幹型は重症型で6例中3例が死亡, 寛解, 治癒した3例も臨床経過は長かつた. これに対し脳炎皮質型は軽症で5例, 全例が短期間で治癒した. 髄膜炎型は3例, 臨床経過期間は前記2者の中間に位置した. 髄液所見は治癒例にて明確な差異を認めなかつたが, 死亡例は, 高脳圧, 細胞増多, 高蛋白, 低糖の4条件が備うことを特徴とした. CT所見にて異常を認めたのは5例で, 結節状陰影を認めた症例は予後不良であつた. 以上の3つの臨床所見を検討すると, 神経症状が最も予後と相関した. このようなことから臨床症状は予後は推測する1つの因子となり得, 脳炎脳幹型ではとくに早期からの濃厚治療が必要と思われた.
  • 横尾 正, 広永 正紀, 渡辺 昌平
    1983 年 24 巻 4 号 p. 325-330
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    Hair-baiting technique を用い, 滋賀県内の117の土壌標本から180株の真菌を分離した. その内の65株は, 本来の好ケラチン真菌で, そのうちわけは Microsporum gypseum 5株, Microsporum cookei 2株, Trichophyton ajelloi 2株, Chrysosporium tropicum 51株, Chrysosporium keratinophilum 1株, Chrysosporium sp. 1株, Sepedonium ochraceum 2株, Keratinophyton terreum 1株, である.
  • 鈴木 巌, 油井 聡, 宿前 利郎, 宮崎 利夫, 及川 直子, 小島 康平
    1983 年 24 巻 4 号 p. 331-339
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    担子菌類, サルノコシカケ科に属するチョレイマイタケ (Grifola umbellate) の菌核 (漢薬猪苓) の多糖画分 (GU-O) に, Sarcoma 180に対する強力な抗腫瘍性があることはすでに報告した. 本論文では, GU-Oの同系腫瘍-マウス系における効果, 及びマウスにおける種々の免疫系に及ぼす効果を検討し, 以下の結果を得た.
    1) Meth A-BALB/c系においても強力な抗腫瘍性を示す. 2) In vitroにおいて, 腫瘍細胞に対し増殖抑制作用は示さない. 3) 微弱ではあるが, 脾細胞に対し mitogenic に作用する. 4) 抗体産生増強効果を示す. 5) 遅延型過敏症反応に増強効果を示す. 6) Carbon clearance 能を増強し, また, 脾臓及び肝臓の重量を増加させる. 7) 腫瘍細胞 (EL-4) に対して cytostatic に作用するマクロファージを誘導し得る. 8) 細胞障害性T細胞 (CTL) の誘導増強効果は認められない.
  • 西本 勝太郎, 西 寿一, 本間 喜蔵, 広瀬 寮二
    1983 年 24 巻 4 号 p. 340-347
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    70歳および81歳の男性の左下眼瞼, 右示指にみられた皮下膿瘍型の Exophiala jeanselmei 感染症2例を, その組織学的, 菌学的所見とともに報告した. 組織学的には両例共, 線維性被膜に包まれた多核球よりなる膿瘍を示し, 第1例では小木片の迷入を認めた. いずれの症例に対しても膿瘍の単純摘出術を施行した. 第1例はその後患者が他疾患で死亡, 第2例は再発なく経過している. 2株の原因菌株の走査型電子顕微鏡下の観察では annellide による分生子産生のみがみられた. 本症の病名, 菌学におけるいくつかの問題点につき考察を加えた.
  • 浜本 恒男, 森 健, 渡辺 一功, 池本 秀雄
    1983 年 24 巻 4 号 p. 348-355
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    肺アルペルギロームの症例で, 基礎疾患および肺切除の既往があり外科的治療ができないため, 内科的に miconazole を経気管支空洞内注入を試み, 菌球が消失し, 内科的治療に成功したことを速報としてごく簡単に報告したが, 今回はその手技と経過について詳細に報告したい. 我々は, 以前にも amphotericin B, clotrimazole, flucytosine などの空洞内注入の治療経験がある. 今回, 48歳の男性で, 左肺下葉切除をしこおり, 糖尿病を合併しているため, 外科的治療の適応がない症例に miconazole を経気管支的に空洞内に注入した. この方法では注入量が少量で, しかも重篤な副作用を認めず, 比較的短期間で菌塊の喀出がみられ, 遂には菌球が消失した. 我々のかかる方法は, 肺アスペルギロームの内科的治療として有望であると考える. 本法は比較的容易に, かつ安全に施行できるが, 一回投与量および, 総投与量については尚検討が必要である. また本法に伴う副作用についてもほとんど報告がないので不明な部分もあり, 今後慎重に検討する必要がある.
  • 友田 恒典, 中野 康夫, 陰山 克
    1983 年 24 巻 4 号 p. 356-358
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    白血病治療中の感染症は注意すべき合併症の一つでありその原因菌は上気道, および腸内の常在菌や Candida が考えられている. 本報告では白血病治療患者の腸内 Candida の増殖を知るため糞便中の Candida 量を検討した. 白血病治療患者 (2ヵ月以上治療例) 56例中29例において糞便1g中に Candida が104以上認められた. Candida の種類は Candida albicans Aが半数を占め, ついで Candida tropicalis であつた. また乳酸菌含有牛乳投与による糞便中 Candida の変動を検した. 糞便中1g中に Candida が105以上認められたものの中, 牛乳飲用可能な16例について, 乳酸菌含有牛乳投与の影響をみたが16例中8例が104以下に減少した. すなわち乳酸菌含有牛乳投与により糞便中の Candida 量の減少が認められた.
  • 1983 年 24 巻 4 号 p. 360
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
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