真菌と真菌症
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22 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 西山 千秋, 長島 典安
    1981 年 22 巻 3 号 p. 221-222
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
  • 第3報 補体わよび末梢血白血球に及ぼす影響
    山本 容正, 岩田 和夫
    1981 年 22 巻 3 号 p. 223-233
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    Candida albicans より分離した糖蛋白毒素 (マンナン蛋白) は, in vitro において正常モルモットならびにヒトの血清中の補体を著明に活性化する作用を有する. この本毒素による補体活性化能は, キレート剤を用いた実験および血清中のC3プロアクチベーターからC3アクチベーターへの変換実験から古典経路の活性化によることを明らかにした. この補体活性化は, 毒素をウサギに静脈内接種したときにも認められた. C. albicans 糖蛋白毒素は, ウサギ静脈内接種によつて末梢血リンパ球の減少と好中球の一時的増加をきたし, 同様の所見は C. albicans 菌体マンナン, C. albicans ホルマリン死菌によつても, また C. albicans 感染においても認められた. このような所見は, かかる毒素が感染における末梢血白血球の変動に関与していることを示唆するものである.
  • 岩津 都希雄, 宮治 誠, 岡本 昭二
    1981 年 22 巻 3 号 p. 234-242
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    千葉および茨城の両県で採取した朽木, 土壌等の自然環境物, 計177サンプルより83株の黒色真菌を分離した. これらの菌株のうち3株を Exophiala jeanselmei と同定した. そのうちの2株は朽木から, また1株はアカマツの樹皮から分離されたものである. 形態学的性状および生理学的性状において, これらの自然分離株と患者由来の E. jeanselmei との間に顕著な差を認めることはできなかつた. また, これらの自然分離株はラットに対して弱い病原性を有していた. 本報告は E. jeanselmei の自然界からの分離に関して, 本邦でははじめてのものと思われる.
  • 坂野 喜子, 矢野 高, 関谷 孝, 山田 富保, 渡辺 隆司, 野沢 義則
    1981 年 22 巻 3 号 p. 243-250
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    Candida albicans をサブロー・グルコース培地とメチオニン培地で生育させ, それぞれの培地から酵母形 (Y形) と菌糸形 (M形) を得た. 両形の菌体を, Arthrobacter luteus から得られた細胞壁溶解酵素 (ザイモリエース60,000) で処理してプロトプラストにし, 低張処理と分画遠心により形質膜を調製した. 得られた両形の形質膜の脂質構成と物理化学的性状について比較検討した. リン脂質構成はホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンが大部分であり, 両形に差はみられなかつた. 一方, 脂肪酸構成では, オレイン酸 (C18:1) が主要成分であり, ついでリノール酸 (C18:2), パルミチン酸 (C16:0) とパルミトオレイン酸 (C16:1) などが多い. また, C17:0 と C17:1 の奇数脂肪酸も少量であるが含まれている. M形にリノール酸が多く, Y形の約2倍であるのに対して, オレイン酸と C17:1 はY形に多い. ステロール含量はM形に高くY形の約2倍であつた. また, 電子スピン共鳴法 (ESR) による膜の流動性を測定した結果, M形とY形に相違が見られ, Y形膜の方がM形膜より流動性が高いが, その1つの理由としてエルゴステロール含量の差が考えられる. つまり, エルゴステロールは前者に少なく後者に多い. 形質膜に局在している脂質依存性酵素のキチン合成酵素 (chitin synthetase, EC:2.4.1.16) の活性は, M形がY形の約3~5倍高いことが示された. これらの結果より, 二形性真菌の C. albicans は形態に応じて形質膜の脂質構成に変化が生じ, それが膜の物理化学的性状に反映され, ひいては形質膜に局在するキチン合成酵素の活性に影響が及ぼされるものと示唆された.
  • 江川 朝生, 山口 英世, 岩田 和夫
    1981 年 22 巻 3 号 p. 251-257
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    Candida albicans を用いた微生物学的定量検定法により数種の鋭敏な miconazole 血中濃度測定法を考案し, 以下の成績をえた. Candida albicans MTU 12021を検定菌とした well agar 法では検定培地として Yeast Morphology Agar を用いた場合に測定感度は最も鋭敏で, 測定しうる下限濃度は1μg/mlであつた. また, ディスク法ではこの値は0.06μg/ディスクであつた. さらに, バイオオートグラフィー法では負荷試料中の含量0.002μgまで測定しうることを見出した.
  • 江川 朝生, 山口 英世, 岩田 和夫
    1981 年 22 巻 3 号 p. 258-264
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    Miconazole の微生物学的定量検定法により極めて鋭敏な血中濃度測定法を考案し, その方法を用いて本剤腟錠投与ボランティアの血中濃度を測定した. さらに本剤の腟内における代表的な乳酸桿菌諸菌種に対する最小発育阻止濃度および最小殺菌濃度を測定し, 以下の成績をえた. Candida pseudotropicalis MTU 12040または Blastomyces dermatitidis MTU 17008を用いた well agar 法によつて測定しうる下限濃度はそれぞれ0.16μg/mlまたは0.12μg/mlであつた. また, B. dermatitidis(上記)を用いたディスク法では0.004μg/ディスクであることを見出した. 本剤腟錠100mgを1日1回14日間連続投与しボランティアの血中濃度を上記ディスク法によつて測定したが, 測定限界値の0.004μg/mlを超えることはなかつた. また, 本剤の乳酸桿菌諸菌種に対する抗菌作用は極めて弱いものであつた.
  • 三上 襄, 岸 浩一郎, 加治 晴夫, 新井 正
    1981 年 22 巻 3 号 p. 265-272
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    好気性病原性放線菌, 特に Nocardia, Actinomadura 及び Streptomyces の各種薬剤に対する感受性を検討した. 用いた31薬剤の中で sulfa 剤以外では, 特に minocycline 及び doxycycline などの tetracycline 系抗生物質が最も有効であり, さらに aminoglycoside 系抗生物質である gentamicin が強い抗菌作用を示した. Sulfa 剤及び gentamicin は,特にNocardia brasiliensis に対して強い抗菌活性を示したが, minocycline は Nocardia brasiliensis と同様に Nocardia asteroides, Actinomadura madurae 及び Actinomadura pelletieri に対しても同程度に強い抗菌活性を示し, 74菌株のすべてが10μg/ml以下の濃度で完全にその生育が阻害された. 又その40%の菌株のMIC (Minimum Inhibitory Concentration) が0.1μg/ml以下であつた. これらの薬剤以外に, fusidic acid 及び抗真菌剤である ketoconazole も中程度に有効であつた. なお, 上記以外に今回使用した cephalosporin 系抗生物質 (6剤) 及び penicillin 系抗生物質 (5剤) などの β-ラクタム系抗生物質では, 強い抗菌活性は観察されず, ampicillin 及び cephaloridine の Nocardia asteroides に対する平均のMICはそれぞれ132.6μg/mlと120.1μg/mlであつた.
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