真菌と真菌症
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21 巻, 4 号
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  • 三浦 祐晶, 川岸 郁朗, 浅沼 廣幸, 浜坂 幸吉, 小野塚 〓
    1980 年 21 巻 4 号 p. 193-197
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    北海道における白癬菌相について, 北大皮膚科における最近1年間 (昭和53年9月から54年8月まで) の白癬患者の統計とその培養成績, ならびに Microsporum canis および Trichophyton verrucosum 感染症に関する最近の調査成績を記述した. 白癬の起因菌種として, T. rubrumT. mentagrophytes の優位は動かないが, 10年前に比べて M. canis がさらに広く蔓延し, また T. verrucosum が新たに浸淫しつつある状況が認められた. さらに, 従来きわめて稀であつた M. gypseum および T. violaceum 感染症が最近相次いで観察されたことから, 北海道の白癬菌相が次第に本州他地域のそれと似たものになりつつあることを指摘した.
  • 高橋 伸也, 佐藤 勇一, 笠井 達也, 福士 堯, 桜井 学
    1980 年 21 巻 4 号 p. 198-202
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    東北地方における1969~1978年の10年間の白癬菌相を, 青森県(1969~1978年), 秋田県 (1972~1978年), 宮城県 (1969~1978年) の培養成績にもとづいて検討した結果, 以下の成績をえた. 1. この10年間の白癬例数を年次別にみると, とくに増加傾向はみられず, さきの1959~1968年の成績と比較しても明らかな増加は認められなかつた. 2. 性別頻度は, 各年次とも男子の方が20~60例多かつたが, これは主として股部白癬における顕著な男子優位によるものであり, 他の白癬では男女ほぼ同数であつた. 3. 6,302例の疾患別頻度は, 足白癬3,069例 (48.7%), 股部白癬1,098例 (17.4%), 体部白癬826例 (13.1%), 爪白癬797例 (12.6%), 手白癬461例 (7.3%), 頭部浅在性白癬12例, ケルスス禿瘡18例, 白癬性毛瘡12例であつた. 4. 4,428菌株が培養されその菌種別頻度は T. rubrum 3,096株 (69.9%), T. mentagrophytes 1,144株 (25.8%), E. floccosum 107株 (2.4%) M. canis 28株, T. verrucosum 27株, T. violaceum 21株, M. gypseum 5株であつた. 5. この10年間における白癬菌相の変遷, 特徴を, さきの1958~1967年10年間の成績との比較から勘案すると, M. ferrugineum の消滅と T. verrucosum, M. canis のほぼ東北地方全域にわたる新たな浸淫である. 6. 新たに東北地方に浸淫した T. verrucosum は主として体部白癬, ケルスス禿瘡から, M. canis は頭部浅在性白癬, 体部白癬, ケルスス禿瘡から培養された. 7. 地域別白癬菌相の特徴を概観すると, 東北地方北部に位置する青森県では T. mentagrophytes の浸淫がより著しく, この菌による足・手白癬, 股部および体部白癬が他の2県よりも多くみられた. これに対して, 東北地方南部に位置する E. floccosum の培養頻度は北部地方に比して約2倍で, 足・手白癬から多く培養された. 8. 足白癬の主要原因菌である宮城県における T. rubrumT. mentagrophytes との分離比は3県によつて多少異なり, 青森県で1:1, 秋田県で1.2:1, 宮城県で1.5:1を認めた. 9. 白癬性毛瘡の主要な原因菌は, さきの10年間と同様に T. rubrum であつた.
  • 滝沢 清宏, 関 利仁, 渡辺 晋一, 香川 三郎, 富沢 尊儀, 岩重 毅
    1980 年 21 巻 4 号 p. 203-210
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    昭和44年1月から53年12月までの10年間に東京大学医学部付属病院皮膚科外来で培養された皮膚糸状菌を集計し, 以下の成績を得た. (1) 培養で原因菌の証明された症例は4,030例で, その内訳は頭部白癬5, 体部白癬381, 股部白癬861, 足白癬1,965, 手白癬211, 爪白癬556, 陰嚢白癬20, ケルスス禿瘡15, 白癬性毛瘡12, 急性硬毛部深在性白癬2, 白癬性肉芽腫2であつた. (2) 分離総菌株数は4,106株で, その内訳は T. rubrum が2,969株と最多で, 以下 T. mentagrophytes 982, E. floccosum 84, M. canis 36, M. gypseum 15, T. violaceum 6, T. glabrum 4, T. verrucosum 2であつた. (3) T. rubrumT. mentagrophytes の和は毎年95%以上を占め, 両者の比 (TR/TM) の平均値は白癬全体で3.02, 足白癬で1.39となつた. (4) E. floccosum は2%台で年毎の変化は明瞭でなく, M. canis は昭和49年以後著増を示し, M. gypseum は1~数株と毎年ほぼ連続して分離され, T. violaceumT. glabrum は少数が散発的に分離されるのみで, 増加傾向はみられず, T. verrucosum 感染症は1例のみであつた. (5) 病型別頻度では, 足および爪白癬の漸増が示された. 関東労災病院皮膚科と岩重医院の白癬菌相は, M. canis の頻度を除けば東大皮膚科と類似しており, 3施設全体の白癬菌相は, T. rubrum 6,527, T. mentagrophytes 2,967, E. floccosum 272, M. canis 84, M. gypseum 53, T. violaceum 10, T. glabrum 6, T. verrucosum 3であつた.
  • 福代 良一, 井上 久美子, 佐野 勉, 加世多 秀範
    1980 年 21 巻 4 号 p. 211-214
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    金沢大学皮膚科における昭和43年9月から同53年末までの10年4ヵ月間の白癬菌培養成績について述べた. 白癬患者 (鏡検および培養の両者または片方陽性) の総数は3,567例, 同期間の新患総数の9.6%に当る. うち培養陽性は1,908例, 陽性率は53.5%. 分離菌種を多い方からあげると, T. rubrum (58.9), T. mentagrophytes (36.6), E. floccosum (2.3), M. canis (0.5), T. schoenleinii (0.2), T. violaceum (0.2), M. gypseum (0.05), 未定 (1.4, 各%) となる. 菌種と病型との関係をみると, T. rubrum は体・股の白癬から及び手・足の白癬からの分離がほぼ同じ, 割合 (約44%), あと爪白癬 (約12%), その他 (1%) からとなる. T. mentagropytes は大部分が手・足の白癬からの分離である (93%). 次に, 病型からみると, 体と股の白癬では T. rubrum が圧倒的に多く (88%), あと E. floccosum (6%), T. mentagrophytes (5%) となる. 手・足の白癬では T. mentagrophytesT. rubrum よりやや優位にあり (56%と42%), あと E. floccosum (1%) となつている.
  • 渡辺 昌平
    1980 年 21 巻 4 号 p. 215-220
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    近畿地方, 中, 四国地方における最近10年間の白癬菌培養成績をまとめ, 前回発表の昭和35~43年にかけての自己の成績と比較し, 白癬菌相の変遷について記載した. 自己の成績としては, 昭和44年1月より53年12月迄の10年間に, 著者の所属した三施設 (天理病院, 京大, 滋賀医大) の外来における皮膚糸状菌の分離株数は, 2,419株である. その内訳は, Trichophyton rubrum2,027株 (83.8%), T. mentagrophytes312株 (12.9%), Microsporum canis41株 (1.7%), Epidermophyton floccosum28株 (1.1%), M. gypseum9株 (0.4%), T. verrucosum1株 (0.04%), T. violaceum1株 (0.04%) である. M. canisは昭和46年迄は認められなかつたが, 昭和47年はじめて5株が培養されており, 近年増加の傾向が見られる. したがつて, 従来, 第3位の分離率を占めていたE. floccosumは, 最近M. canisにその座を奪われるに至つている. T. rubrumの分離率は, 年度により若干の差はあるが, 78.8%~89.9%で殆んどの年度で80%台を示す. T. mentagrophytesは一般病院と大学病院によつて分離率に差が見られる. また, T. verrucosmが僅か1株であるが, 昭和47年に初めて分離された. 近畿地方, 中・四国地方の他施設における培養成績も集計したが, われわれの成績と似通つたものであり, 特に地区的な差異は認められなかつた.
  • 占部 治邦, 本房 昭三
    1980 年 21 巻 4 号 p. 221-226
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    最近10年間の九州地方の白癬菌相について, 九州大学の最近7年間の培養成績, 九州6施設の最近2年間の培養成績を報告し, 概説した. 九州大学における最近7年間の白癬菌の総分離株数は924株で, うちわけはTrichophyton rubrum 706株 (76.4%), T. mentagrophytes 159株(17.2%). Epidermophyton fllccosum 29株 (3.1%), Microsporum gypseum 9株, M. canis 7株, T. verrucosum 6株, T. violaceum 4株, T. glabrum 3株, T. tousurans 1株であつた. 九州本土5施設の最近2年間の総分離株数は1,158株で, T. rubrum 189株 (77.6%), T. mentagrophytes 189株 (16.3%), E. floccosum 30株 (2.6%), M. canis 23株 (2.0%), M. gypseum 7株, T. glabrum 5株, T. violaceum 4株, T. verrucosum 1株であつた. 琉球大学の最近2年間の総分離株数は252株で, T. rubrum 148株 (58.7%), T. mentagrophytes 35株(13.9%), M. canis 32株 (12.7%), T. violaceum 14株 (5.6%), T. glabrum 13株 (5.2%), M. gypseum 8株, E. floccosum 2株であつた. 最近の九州地方の白癬菌相の特徴としては, M. canis, T. verrucosumが新しく分離されるようになつたこと, T. tonsuransが存在することが明らかになつたこと, 頭部白癬が再び散見されるようになり, しかもblack dot ringwormの病型をとるものが多いこと, 頭部白癬の主要病原菌はT. violaceum, T. glabrum, M. canisとなつたことがあげられる.
  • 長谷川 篤彦
    1980 年 21 巻 4 号 p. 227-229
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    本邦でみられた動物の皮膚糸状菌症について, その概略を紹介した. 菌相の変遷を追究する場合, 菌そのものを検討する前に, 時代によつて重視してきた動物種が異なることを考慮しなくてはならない. したがつて動物別と菌種別の両方から検討する必要があると思われた. 次に最近10年間にみられた問題点を示すと以下のようである. 1) T. equinum感染が競走馬に蔓延しており, M. canisも時に病馬から分離されている. 2) 牛のT. verrucosum感染は全国的で, 集団発生が認められている. 3) 犬・猫にみられるM. canis感染は全国的となり, 発生症例数も増加し, 保菌状態の動物も認められている. 4) ラットではT. mentagrophytes感染が実験動物舎で蔓延し, 対策に苦慮している. 5) 豚では本邦での存在が知られていなかつたM. nanumの感染が認められた.
  • Takako Shinoda, Reiko Ikeda, Akemi Nishikawa, Yoshimura Fukazawa
    1980 年 21 巻 4 号 p. 230-238
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    The taxonomic value of cryptococcal capsular polysaccharides was studied by comparing those of Cryptococcus neoformans and of nine related species. The characterization of the soluble capsular polysaccharides of these 10 species by their serological specificity, chemical constituents and structures represented by the proton magnetic resonance (PMR) spectra demonstrated a division into 2 groups. Species belonging to one group were closely related to C. neoformans and the members of the other group were markedly different from those of the former. It is suggested that the serological, chemical and physicochemical properties of capsular polysaccharides would be useful criteria for the classification of the Cryptococcus species.
  • 伊藤 章
    1980 年 21 巻 4 号 p. 239-248
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    1970年より1974年迄の5年間についての本邦深在性真菌症1,896例を, 日本病理剖検輯報 (Annual of the Pathological Autopsy Cases in Japan) により, また1971年より1976年7月迄の5年7ヵ月間については, 全国集計により201例を集計し, これらの成績を今迄の集計と比較した. 病理剖検輯報よりみた真菌症は, カンジダ症654例, アスペルギルス症513例, クリプトコックス症232例, ムコール症57例の順で, 全体では, 1,804例 (95.1%) が続発症例である. 基礎疾患としては, 白血病, 固型悪性腫瘍, 血液疾患, 悪性リンパ腫, 肝疾患の順である. 罹患臓器は, アスペルギルス症は, 肺, 気管支が, カンジダ症では, 消化管が, クリプトコックス症では, 肺, 脳, 腎が, ムコール症では, 肺, 腎, 心に多く病変が認められる. アンケート集計201例でも菌種別では同じ順序であり, 肺真菌症が半数を占め, 治療法の進歩に伴い, 腎移植後 (23例), 人工弁置換術後真菌症 (12例) も認められる. 本邦における真菌症発生の現況をみる上で, これらの集計は1つの素材となり得るであろう.
  • アムホテリシンBとそのメチルエステルの比較検討
    高村 忠伸, 大木 和夫, 野沢 義則
    1980 年 21 巻 4 号 p. 249-255
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    ポリエン抗生物質のアムホテリシンBとそのメチルエステルについて, 膜に対する作用を吸収スペクトル, グルコースの透過性およびスピンラベル法で調べ, 両者の作用の比較検討をおこなつた. 人工膜として, 卵黄レシチン, 卵黄レシチン/コレステロールおよび卵黄レシチン/エルゴステロールのリポソームを用いた. アムホテリシンBの吸収スペクトルはメチルエステル化によつては変化せず, ステロールを含む人工膜との相互作用によつて変化が観察された. アムホテリシンBメチルエステルでは卵黄レシチンのみの人工膜でも吸収スペクトルに変化が見られた. アムホテリシンの添加によつてリポソームから37℃, 30分間に遊出されるグルコース量は, 卵黄レシチン/コレステロール系では両アムホテリシンでほぼ等しいが, 卵黄レシチン/エルゴステロール系では, メチルエステル型の方がはるかに高い遊出率を示した. この傾向は卵黄レシチン・リポソームでも観察された. ステアリン酸スピンプローブで測定した膜の流動性は, 卵黄レシチン膜とレシチン/コレステロール膜では, 両アムホテリシンによつてほぼ等しく減少したのに対して, 卵黄レシチン/エルゴステロール膜ではメチルエステル型による減少が顕著であつた. 以上の結果から, アムホテリシンBはメチルエステル化によつてエルゴステロールを含む膜に対して強い相互作用を示すことが明らかにされた.
  • 多部田 弘士, 三上 襄, 新井 正
    1980 年 21 巻 4 号 p. 256-263
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    ヌードマウスのカンジダ感染に対する感受性については研究者により異なる成績が報告されているが, その理由を検討するため, J. E. Cutlerより分与されたCandida albicans 9938と教室保存の臨床分離株Candida albicans 7Nを用いて実験を行つた. 菌株の性状の検討の結果, C. albicans 9938は, C. albicansに特徴的な厚膜胞子を形成せず, 発芽管の形成能も低かつた. さらにCutlerの用いた接種菌の培養条件下では, 約1/3が死菌であり, その菌株と接種条件にはいくつかの問題があることがわかつた. ヌードマウスとヘテロマウスを用いた感染実験において, 両菌株ともヘテロマウスが早期に死に始める傾向があるが, 最終的な生存率は両マウス間に差はなかつた. Cutlerの用いた条件下で, C. albicans 9938をマウスに感染後, 各臓器内の生菌数を算定した結果, ヌードマウマでは感染後4日目より腎臓内の生菌数は減少し, ヘテロマウスと異なる結果を示した. 一方C. albicans 7Nでは両マウスともほぼ同じ菌数分布を示し, 用いる菌株の性状の差により結果が非常に異なることがわかつた. 病理組織学的観察より, 腎臓では感染早期にはヘテロマウスよりヌードマウスの菌の処理能が良いが, 感染日数が経過すると, ヘテロマウスでは菌に対する防御反応が盛んになるのに対し, ヌードマウスではそのような反応はあまり見られなかつた. マウスの生存曲線や腎臓内生菌数は, この腎臓の病理組織学的所見と必ずしも一致しない点があつた.
  • 第1報 分離・精製と物理化学的性状
    山本 容正, 岩田 和夫
    1980 年 21 巻 4 号 p. 264-273
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    Candida albicansの産生する高分子真菌毒素, canditoxin (以下CT) が産生株以外からも産生され, もしくは同一物質でなくとも, これに類似する毒素が産生されるか否か, すなわちかかる毒素を産生する菌株が同一菌種, 他菌種または他菌属にも存在するかどうかを検討することを当面の目的として本研究に着手した. そこでマウスに対して強い毒力を示すC. albicans MTU 12024よりかかる毒素の分離を試みた結果, 3種の糖蛋白毒素 (Fr I-1, Fr I-2, Fr II-2) が分離された. これらの毒素はいずれも多糖部分がD-マンノースのみからなるマンナン蛋白で, 糖が86~92%, 蛋白部分は7~13%の組成をもち, S20, wはそれぞれ8.4, 5.5, 3.2を示した. これらの毒素はマウス静脈内投与により, いずれもアナフイラキシー様症状を伴う急性致死活性を示した. この致死活性は, 加熱, トリプシン消化, TCA処理に対して安定であつた. また, 溶血活性は, ヒト, マウス, ウサギの赤血球に対し認められなかつた. 本毒素分離菌株より精製したマンナンは, マンナン蛋白である本毒素より比活性は弱いが同様の致死活性を有し, また, ゲル内沈降反応による抗原構造の解析において共通抗原の存在が認められたところから, 致死活性はマンナン部分に存在し, 毒素の蛋白部分は毒性発現に相乗的な役割を担い, 免疫学的には本毒素に完全抗原としての性状を付与するものとみなされた.
  • 第2報 毒素および菌体マンナンのLimulus amoebocyte lysate (LAL) のゲル化活性
    山本 容正, 岩田 和夫
    1980 年 21 巻 4 号 p. 274-285
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    前報において報告したCandida albicansの糖蛋白毒素であるマンナン蛋白 (以下毒素) には, Limulus amoebocyte lysateのゲル化活性が存在し, その活性は本毒素のマンナン部分にあることを見出した. また, C. albicansおよびSaccharomyces cerevisiaeより分離・精製したマンナン分画にも強いゲル化活性があり, 後者のそれは, マンナナーゼ処理によりその活性は消失することを認めた. なお, 前者の分画の1つ (CM-1) は, マウスに対し強い致死活性を示した. 本毒素はウサギに対して発熱活性を示したが, 対照に用いたC. albicansマンナンには, その活性を認めなかつた. 本毒素およびマンナンには血漿凝固 (カルシウム再加凝固時間) 促進活性が認められたが, 血小板凝集活性は, そのいずれにも認められなかつた. このような結果は, C. albicans細胞壁に存在するマンナンおよび糖蛋白 (毒素) は真菌内毒素としての特徴の一端を示唆するものである.
  • 加賀谷 けい子, 谷口 啓子, 深沢 義村, 西川 武二
    1980 年 21 巻 4 号 p. 286-292
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    ポビドンヨード (Povidone-iodine, PVP-I) の病原性酵母に対する抗菌効果を検討した結果, PVP-Iは7種のCandida, Torulopsis glabrata, Cryptococcus neoformansの保存株およびC. albicansの新鮮分離株10株に対してほぼ等しい殺菌効果を示した. 血清の混入により効力が減少する傾向があるが, 有効濃度においては1~3分以内に殺菌作用が発現することが示された. またC. albicansによつて汚染された器具や皮膚もPVP-Iによつて強力かつ迅速に消毒されることが示された.
  • 永田 貴士, 乃木田 俊辰, 坂崎 善門, 荒尾 龍喜
    1980 年 21 巻 4 号 p. 293-300
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    最近, 著者らは熊本地方においてTrichophyton glabrumによるblack dot ringwormの7例を経験したので報告する. 併せて昭和49年から昭和55年 (8月) 迄black dot ringwormの本邦報告43例を蒐集し, 若干の考察を加えた. 本症の原因菌としてTrichophyton violaceum 28例, Trichophyton glabrum 17例, Trichophyton tonsurans 3例, Trichophyton rubrum 2例を確認, 性別では14:36で圧倒的に女性に多く, その平均年齢も男子5.3歳, 女子33.2歳と女子に高かつた. 地域別では, 九州地方29例, 関東地方9例, 東北地方6例, 近畿地方, 四国地方各2例, 中部地方, 沖縄地方各1例であつた. また50例中17例にコルチコイド外用の既往を認め, 本症との関連が示唆された.
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