気管支肺アスペルギルス症38例 (肺アスペルギローム24例, アレルギー性気管支肺アスペルギルス症13例, 気管アスペルギルス症1例) ならびに対照群94例 (20~30歳代の健康成人50例, 気管支喘息20例, 肺結核10例, 肺ノカルジア症2例, カンジダ血症12例) について,
Aspergillus fumigatus 抗原に対する血中抗体の有無を, 寒天ゲル内二重拡散法 (DD), counterimmunoelectrophoresis (CIE) および間接赤血球凝集反応 (IHA) によって検討した. その結果, DD, CIEは簡便な検査法であり, 肺アスペルギローム診断における信頼性は高く, IHAはアレルギー性気管支肺アスペルギルス症に対して, DD, CIEよりも有用な検査法と考えられた. さらに, これらの血清学的診断法は, 診断のみでなく, 治療効果の判定や追跡調査にも役立ち, 肺アスペルギロームでは, 術後あるいは抗真菌剤の空洞内注入により菌球が消失した後2~3年で血中抗体は消失することが判明した.
一方,カンジダ症53例 (カンジダ血症14例, カンジダ尿症11例, 腟カンジダ症21例, 口腔カンジダ症5例, カンジダ性腹膜炎1例, カンジダ性食道炎1例) ならびに対照群135例 (20~30歳代の健康成人50例, 気管支喘息20例, 慢性気管支炎15例, 肺結核10例, 気管支拡張症3例, 原発性肺癌10例, 肺アスペルギローム10例, 細菌性肺炎7例, びまん性細気管支炎6例,
Torulopsis glabrata による真菌血症1例,
T. glabrata による真菌尿症3例) について,
Candida albicans 抗原に対する血中抗体の有無を, DD, CIE, IHAおよび slide agglutination test によって検討した. その結果, カンジダ症の血清学的検査として, DDは有用性が低く, slide agglutination test は日常的なスクリーニング検査に適しており, CIE, IHAは信頼性が高いことがわかった.
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