癌腫, 悪性リンパ腫, またはSLEを基礎疾患とする45剖検例および腎移植後の15臨床例を真菌感染の有無によって2群に分け, 健康人および非真菌感染例との比較において, 真菌感染例を有意に判別し得る易感染性の評価法を確立した.
易感染性は, 末梢血中の白血球総数, 好中球数およびリンパ球数と末梢白血球総数が3,000/mm
3以下を示した連続した病日数をパラメーターとして選び各々の低下の度合に与えたポイント数から算出した指数として表した.
指数20以上を感染危険域とした時, 癌腫, 悪性リンパ腫, SLEおよび腎移植例の各々の真菌感染例が真菌感染発生の危険性が高い例として判定される割合は80%, 83%, 57%, および75%であった. 一方, 非真菌感染例が感染発生危険例と判定されてしまう割合は10%, 50%, 17%および0%であり, 先の判定的中率と総合してみた場合, 悪性リンパ腫を除いてほぼ満足のいく成績であると考えられた.
末梢血中の白血球数の低値ならびにリンパ球の機能低下が真菌感染の発生に重要な役割を演じていることは, マウス実験的カンジダ症においても確認された.
なお, 今後は今回満足できる成績の得られなかった悪性リンパ腫や以前から問題となっていた白血病等の造血器疾患患者に適応しうる易感染指数の算定法について検討してゆく予定である.
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