常在真菌による発症機序を明らかにする目的から外陰・腟真菌症をとりあげ, 主として個体側要因を中心に検索した.
先ず出生当初にさかのぼり腟内真菌の由来をさぐり, さらに年令の推移 (乳児期, 幼児期, 思春期, 性成熟期, 閉経期) 性交, 妊娠, 分娩, 産褥, 糖尿病, 抗性物質, 副腎皮質ホルモン投与等の諸条件下における腟内真菌検出率, 真菌症頻度, 発症率を観察した, その結果それぞの条件下において特徴ある変動が認められ, 外陰, 腟真菌症の発症が必ずしも菌側要因のみからでは説明し難いことを臨床的に推測し得た. また臨床因子をできうる限り基礎的に検討し, 腟細胞診, 腟内移殖実験, 実験的腟カンジダ症, マウスにおける各種薬剤の負荷実験, その他免疫反応, 血中ビタミンB
1, B
2量などの成績から全身, 局所諸条件が真菌症の発症に大きく関与していることを知りえた.
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