真菌と真菌症
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10 巻, 4 号
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  • 中嶋 弘
    1969 年 10 巻 4 号 p. 245-246
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
  • 安平 公夫
    1969 年 10 巻 4 号 p. 247-253_1
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    Nocardia は病原性の弱い菌であるが, 比較的大量の菌亦はこれにムチンを添加してマウスに接種すると病原性が明らかとなる. そして菌接種後動物の早期死を来す強毒株, 慢性病巣を作る中等毒株, 接種3週後には殆とんど病変を示さない無毒株が区別される. このうち慢性病巣は, 被胞壊死巣を主とする Asteroides型, Drüseを有する肉芽形成の Brasilliensis 型に区別することが出来る. また Nocardia で感作した兎肺に Nocardia 死菌を注入すると, Arthus 型壊死, 空洞形成を示す病巣が出来, 結核感作兎に Nocardia 亦はそのリポイドを注入すると, ザルコイド病巣を形成する.
  • 上坂 一郎
    1969 年 10 巻 4 号 p. 254-258_1
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    N. asteroides の生菌と各種細菌・酵母の死菌を同時にマウスに注射すると, グラム陰性菌は本菌による病像を, 一般に強く悪化する. 陽性菌ではブドウ球菌が相当にその作用をもつ. そこで大腸菌とブドウ球菌について更に検討した処, 大腸菌の影響はその内毒素によるもので, この時侵入した Nocardia は速かに各臓器に運ばれ, 食細胞の菌処理能力は減弱している. 又, 大腸菌を数日前に接種されたマウスは反対に感染防禦力を増強する. この点ではムチンも同様である. ブドウ球菌は同時接種の時のみ Nocardia 感染防禦力を減弱させる. 以上の事実からノカルディアの如き自然界の菌が組織に入る時に, 前後して侵入する機会のあつた他の菌が本菌による感染発症に影響する場合があると考えたい.
  • 正古 良夫, 玉村 富
    1969 年 10 巻 4 号 p. 259-262_1
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    第13回日本医真菌学会におけるパネルディスカッションで行なつた著者の報告を感染における寄生体・宿主関係の観点からまとめて記した. まず, 寄生と感染との関連, 次いで, 寄生体・宿主関係すなわち寄生体と宿主との競争関係における相互作用について, 真菌の感染をも含めて, 概説した. 最後に表題の実験成績から Aspergillus fumigatus のマウスにおける寄生体・宿主関係を検討した. 結論としては本菌の感染は主として発芽後の菌糸体の要因によつて左右されること, またマウスに継代することによつて菌力が増大すること, そうして, 本菌の感染には胞子よりも発芽させた菌糸体の接種が良い成績を示すことを明らかにした.
  • 螺良 英郎, 杉岡 秀信, 木村 破魔子, 山村 雄一
    1969 年 10 巻 4 号 p. 263-267_1
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    日本における Aspergillosis, 計296例について病因的立場から発症にいたる宿主の諸要因について分析を試み, 宿主抵抗性因子について考察を行つた. その84.8%に当る251例は所謂続発性アスペルギルス症であつて, 病型により2様の感染様式が結論しうる. すなわち菌球型,気管支肺型, 胸膜型, 混合型にあつては肺結核を主とする呼吸器疾患に続発し, その原因は局所的な抵抗減弱に起因し, 一応腐生的感染といゝうる. これに対して肺型, 気管支肺型, 播種型, 肺外型にあつては全身的要因に伴い, 白血病, その他悪性腫瘍が原因疾患として挙げられ, 病変としては侵襲的と称しうる.
  • 池本 秀雄, 久内 治, 藤井 徹也
    1969 年 10 巻 4 号 p. 268-272_1
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    50例の臨床例と, 2, 3の実験成績をもとに深在性真菌症, ことに肺真菌症の発症因子または発症機序を検討し, 次のような結論をえた. 1) 肺病変が42例 (84%) にみられた. 2) 中枢神経系アクチノミセス症は抜歯1ヵ月後に発症し, 髄液より ActinomycesBacteroides が同時に分離された. 3) いわゆる気管支肺カンジダ症では Candida と細菌類が mixed culture として検出されるものが多かつた. 4) クリプトコッカス症は原発性のものが少なくなく, 本症とステロイドの関係はなお複雑であつた. 5) アスペルギルス肺炎は白血症に併発するものが多いが, 発症時には末梢血の白血球数が1,800以下のものが4例あつた. 6) 肺アスペルギロームの発生機序の説明の一つとして, pellet の空洞内振動を想像しているが, なお説明できぬ面が多い. 7) ムコール症は白血症に合併した.
  • 高田 道夫
    1969 年 10 巻 4 号 p. 273-277_1
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    常在真菌による発症機序を明らかにする目的から外陰・腟真菌症をとりあげ, 主として個体側要因を中心に検索した.
    先ず出生当初にさかのぼり腟内真菌の由来をさぐり, さらに年令の推移 (乳児期, 幼児期, 思春期, 性成熟期, 閉経期) 性交, 妊娠, 分娩, 産褥, 糖尿病, 抗性物質, 副腎皮質ホルモン投与等の諸条件下における腟内真菌検出率, 真菌症頻度, 発症率を観察した, その結果それぞの条件下において特徴ある変動が認められ, 外陰, 腟真菌症の発症が必ずしも菌側要因のみからでは説明し難いことを臨床的に推測し得た. また臨床因子をできうる限り基礎的に検討し, 腟細胞診, 腟内移殖実験, 実験的腟カンジダ症, マウスにおける各種薬剤の負荷実験, その他免疫反応, 血中ビタミンB1, B2量などの成績から全身, 局所諸条件が真菌症の発症に大きく関与していることを知りえた.
  • 奥平 雅彦, 倉田 浩, 坂部 フミ
    1969 年 10 巻 4 号 p. 278-283_1
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    いわゆる opportunistic fungus infection の成立機序を宿主側の因子と病原側の因子の両面から, 著者らの研究成績を軸として2~3の解析を試みた. そして, 宿主側からみれば, 感染の機会, 病原側からみれば臓器, 組織への到達性を重視し, さらに, 両者の適合性を考慮することにより, 感染の発病病理と不発病病理の両者が理解できるのではないかと考えた. このような立場から, 宿主側と病原側の両者の発症, 進展に関与する諸因子が互いに重なり合う頻度の少ないことが, いわゆる opportunistic fungus infection の頻度が低い理由であろうと推論した.
  • 高橋 伸也
    1969 年 10 巻 4 号 p. 284-290_1
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    白癬における感染素因の研究の第1歩として, 健常な成人および小児, 汗疱状白癬罹患者, コルチコステロイド長期間投与例, 諸種全身性疾患々者, 計197例について, T. rubrum T. asteroides による in vitro hair digestion における個体差を検討した. Lü の方法に拠る T. rubrum の4週間, T. asteroides の2週間培養における接触型消化状況は, 各被験群ともに両菌による毛髪消化成績 (消化の有無, 強弱) に明らかな個体差を認めた. 健常な成人および小児, 汗疱状白癬罹患者の3被験群における消化陽性率は, 男女のそれぞれに有意の差は認められなかつたが, 何れの被験群においても, 男子は女子に比してやや高い陽性率を証した. コルチコステロイド長期間投与例, ことに Cushing's syndrome 症状例の毛髪は, 白癬菌によつて著しく消化され易い状態にあるとの成績をえた.
  • 皆見 紀久男
    1969 年 10 巻 4 号 p. 291-294_1
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    感染症に対して宿主例の免疫不全の問題がある. 著者はマウスに対して免疫不全を起させて皮膚真菌を背部に接種して正常マウスと菌の生着日数を比較した. 菌は星芒状菌, 猩紅色菌, 鼡径表皮菌の三種である. 成熟マウスではデルモパン照射, 副腎皮質ホルモンの筋注および軟膏塗布, 抗リンパ血清腹腔内投与群は対照群に比べて菌の生着の延長がみられた. また新生時胸摘マウスの菌接種実験も対照に比べて菌の生着が延長していた. しかしアロキサン過血糖実験, 四塩化炭素による肝障害を起させたマウスでは, 対照と変化はみられなかつた.
  • 中原 節
    1969 年 10 巻 4 号 p. 295-297_1
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    肺結核症例に続発した Aspergillus 症と思われる1例について, 肺切除によつて摘出された Fungus ball 内容物の真菌学的検査および組織学的検査を行ない次のような所見を得た. 本症例は31才の女性で肺結核に続発して Aspergilloma (いわゆる菌球) を形成した例で, Aspergillus fumigatus を原因菌としたものであつた, 菌の形態学的同定および組織学的検査によつて, 肺結核等の消耗性疾患に対しては真菌がその病症に対して看過し得ない影響を有することが考慮される.
  • 小林 博
    1969 年 10 巻 4 号 p. 298-304_1
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    体重20±2gのdd系雌性マウスを用いて Cryptococcus neoformans 単独接種時の感染経過を追求, 病理組織学的に精査した. 特に, Duke 株については, その静注に際して, 僅かの菌量差がマウス致死日数に著しい影響を与えることに気付き, 詳細な検討を行ない, その結果を報告した.
    1) Duke 株腹腔内接種では, 均一な脳発症死亡を期待することは困難と思われる. 2) 使用マウスの体重と Duke 株静注菌量との両者が, 動物の死亡時期に著明に影響する. 3) Duke 株静注後7日以内の早期死亡は肺栓塞に起因する. 4) Duke 株静注2週目より4週目までの中期死亡は, 肺における肉芽腫形成病変を主因とする. 5) Duke株静注5週目以後の晩期死亡では, その主因は, 脳における多数の巨大な Cyst 形成にあると思われる.
  • 今井 都
    1969 年 10 巻 4 号 p. 305-315_1
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    Kloeckera 属の8菌種と Hanseniaspora 属の2菌種について, 吸収法を用いる Slide 凝集反応により抗原分析を行つた. 即ち因子血清により既知抗原の有無を, 次いで各菌種の免疫血清を用いて逐次吸収試験および相互吸収試験を実施して抗原溝造を決定した. K. africana, K. corticis, K. antillarum, K. magna の4種は耐熱性抗原1, 2, 3, 5, 6, 7と新抗原40を有し, K. javanica, K. jensenii, K. lafarii は1, 2, 3, 5, 6, 7, 8, 10, 28, 40, K. apiculata, Hs. valbyensis, Hs. vineae は1, 8, 10, 28および易熱性抗原lであつた. さらに26種の菌株について比較実験を行なつたが, Kloeckera 属と Hanseniaspora 属は生物学的性状の僅少の差にもかかわらず血清学的には K. africana 群, K. javanica 群および K. apiculata 群の3群に分類された.
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