本教室では, 13年間に6例の cryptococcal meningitis を経験し, 主として amphotericin B により治療し, 次のような結果を得た. (1) amphotericin B の投与症例は治療の経過から3群にわけられた. I群は漸増して順調に点滴投与し, 治癒したもの. II群は, これを繰り返して治癒したもの. III群は, 繰り返しても治癒せず, 腰髄腔内及び, 大槽内投与を併用したものである. (2) 本教室の治癒率は6例中5例, 83. 3%であつた. (3) 本症を治癒させ得るには早期診断により早期に amphotericin B を投与することが大切である. (4) 早期診断には髄液の墨汁標本を作成し, 莢膜を有する
Cryptococcus を顕微鏡下に確認することが, 迅速かつ簡便である. (5) Amphotericin B 投与により副作用として, 低K血症, BUN上昇, GOT・GPT上昇, 貧血, 顆粒球減少, 発熱, 悪心は高率にみられる. 十分な注意を要する. (6) 我々の投与量では, 永続的な副作用は残らなかつた.
抄録全体を表示