Microsporum gypseum が産生する菌体外ケラチナーゼを約310倍まで分離精製した. ディスク電気泳動でpH 4.0gelに2本のバンドがみられ, 第2のバンドにケラチナーゼ活性をみた. ケラチナーゼ活性はCa
++により活性化され, Mg
++, Mn
++, EDTAにより阻害された. Iodoacetamide とNEMはケラチナーゼを阻害し, 2-ME, DTTは活性化し, DFPは活性にさほど影響をみなかつた. ヒト血清はケラチナーゼに対して阻害作用を有し, その阻害作用は抗ヒトα
2M血清処理後には消失した. また足白癬患者の水疱内容液中にα
2Mが存在した. 以上の成績より,
M. gypseum が産生するケラチナーゼは, thiol-protease に属すること, α
2Mはケラチナーゼに対して阻害作用を有することが判明し, さらにα
2Mは皮膚糸状菌が産生するケラチナーゼを阻害することにより生体防禦因子の1つとして働いているものと推測された.
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