真菌と真菌症
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19 巻, 3 号
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  • 亀井 幸雄, 中野 正大
    1978 年 19 巻 3 号 p. 183-184
    発行日: 1978/11/07
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
  • 内田 勝久, 岩田 和夫
    1978 年 19 巻 3 号 p. 185-192
    発行日: 1978/11/07
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    マウスの実験的 Candida albicans 感染に対する宿主防御機構を強毒株ならびに弱毒株を用い特異的および非特異的抵抗性の両面から検討した.
    非特異的抵抗性に関してマウスは, 両菌株に対し遺伝子支配の影響をうけず, 200Rの放射線照射または cyclophosphamide 0.075mg/g処置により腎臓菌浄化能が低下し, 死亡日数が短縮することを認めた.
    生菌免疫による感染防御能の獲得は, CY前処置マウスにおける強毒株免疫または静脈内接種による弱毒株免疫マウスにおいて認められた. これらの免疫処置による体液性ならびに細胞性免疫応答は, 前者においては顕著にみられたが, 後者ではDTHは全く認められず, B細胞と抗体産生細胞の一時的増加がみられた.
    これらの結果から, C. albicans の感染防御機構は複雑で, 細胞性免疫のみが必らずしも重要な役割を演ずるものとは限らないことが示唆された.
  • 近藤 譲, 神戸 俊夫, 阿多 実茂
    1978 年 19 巻 3 号 p. 193-197
    発行日: 1978/11/07
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    今日, 種々の感染症において細胞性免疫の機構が明らかになるにつれて, その重要性が認識されつつあり, 真菌感染においても宿主の非特異的及び特異的抵抗性の低下が基盤となつていることは明らかである. 特に細胞性免疫の低下は真菌の易感染性を招来する.
    そこで私達は真菌感染と細胞性免疫の関係を一層明らかにする目的で azathioprine, predonisolone と anti-lymphocyte serum をつかって免疫抑制したモルモットとマウスの実験カンジダ症について検討した. 免疫抑制した動物においては Candida albicans の各臓器への侵襲増殖を認め同時に Candida 抗原をつかつたマクロファージ遊走阻止試験 (MIT) 或いは遅延型皮膚反応 (SRT) の減弱を認めた. 感作リンパ球の機能或いは T-cell を主役とする細胞性免疫の不全は真菌の易感染性を招く. しかし, 感染防禦は, その他諸因子の総合作用の表現であることは勿論である. その機構を究明することにより真菌感染における免疫監視機構での細胞性免疫の位置づけが明確なものとなるであろう.
  • 滝下 佳寛, 螺良 英郎
    1978 年 19 巻 3 号 p. 198-202
    発行日: 1978/11/07
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    カンジダ感染防御における細胞性免疫, 特にリンフォカインの意義を検討する目的で一連の実験を行つた.
    C. alb. 加熱死菌で感作されたモルモットでは, 同抗原による遅延型皮膚反応は陽性を呈したがマクロファージ遊走阻止試験 (MIT) では遊走阻止のみならず遊走促進を示すものもみられた.
    C. alb. 生菌で感作されたモルモットのリンパ球を C. alb. 可溶性抗原と共に培養し, その上清 (リンフォカイン) を得た. このリンフォカインによるMITを行つた所, やはり遊走阻止および遊走促進の両反応がみられた.
    リンフォカインと共に正常モルモットの肺胞マクロファージ (Mφ) を培養することにより, 同Mφのガラス面への粘着能が促進した. しかしこの際の C. alb. に対する貪食能には変りなかつた.
    C. alb. 生菌感作モルモットの血清を非働化し, 肺胞Mφによる C. alb. の貪食系に加えた所, 同血清による著明なオプソニン効果が認められた.
    今回の実験ではリンフォカイン自身による直接の C. alb. に対する増殖抑制作用はみられなかつた.
    リンフォカインにて培養されたMφ, すなわち活性化Mφによる C. alb. の増殖抑制作用を検討したが, そのような作用はみられなかつた. ただしこの点に関してはさらに実験方法を検討する必要がある.
  • 三上 襄, 横山 耕治, 新井 正
    1978 年 19 巻 3 号 p. 203-207
    発行日: 1978/11/07
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    真菌感染における生体防御機構の解明を目的とし, C. albicans のマウスに対する実験感染系を用いて検討した. 免疫実験において重要なマウスの週齢による C. albicans に対する感受性の推移については, 4週齢のマウスがやや抵抗性を示したが, 3, 5, 6, 7週齢迄では感受性の差は認められなかつた. 免疫抑制的に働く制癌剤や免疫賦活的に働く制癌剤の影響を調べた結果 Me-CCNU など一部の合成制癌剤の投与により抵抗性が弱まり, ピシバニールの投与で抵抗性が高まつた. さらに感染における生体防御のT細胞依存性について検討するために, ヌードマウスを用いて検討した. その結果, i. p. 及び i. v. 両感染実験でヌードマウスの方がヘテロマウスに比較し, やや抵抗性が低いことがわかつた. また,Mφの機能を阻害するカラゲナンの投与により C. albicans に対する抵抗性を減じる結果が得られた. 初期の感染に対し抵抗性を発揮する好中球, Mφの食菌率を, ヌードマウスとヘテロマウスの場合とで比較したところ両者の食菌率には差が認められなかつた. 以上の結果を総合するとマウスの C. albicans の感染に対する生体防御機構について, 初期においては非特異的なMφの役割が重要であり, 後期になつてT細胞も関与した特異的な免疫機構も関与する可能性も考えられる.
  • 深沢 義村, 加賀谷 けい子, 篠田 孝子
    1978 年 19 巻 3 号 p. 208-213
    発行日: 1978/11/07
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    病原性酵母の感染防御における食作用 (Phagocytosis) の役割を明らかにするために, 末梢血白血球 (PBL, 主としてPMN) と腹腔マクロファージ (PMP) の Candida albicans に対する食菌能および殺菌能の差, 食細胞の種による機能の相違, 体液性成分の食菌におよぼす影響および Cryptococcus neoformans の莢膜と食作用の関係を検討した.
    C. albicans に対しては, モルモットとマウスのPBLとPMPは同じ食菌能を示したが, PBLの殺菌能はモルモットが最も高く, 次いでヒト, マウスの順であつた. モルモットとマウスのPMPの殺菌能はPBLに比較して低かつたが, リンフォカインで培養したマウスのPMPでは殺菌能が増強された. PBLとPMPにおいて補体は食菌率を増加させたが, この系に抗体を加えても食作用に変化はみられなかつた. EGTAとMg++を用いた実験により C. albicans に対する正常オプソニンはプロパージンであることが示唆された.
    C. neoformans に対するモルモットの食作用においては, PBLは補体の存在下で薄い莢膜株に対しては高い食菌および殺菌率を示したが, 厚い莢膜株に対する食作用は明らかな低下を示した. PMPの食作用は C. albicans の場合と同様にPBLのそれよりも低く, また免疫血清には食作用増強効果はみられなかつた.
    真菌感染における抵抗性の機序については, 感染初期にはプロパージン系とPMNが重要な役割を演じていることが示唆されたが, また感作リンパ球出現後には活性化されたMPも関与するものと考えられる.
  • 松本 忠彦
    1978 年 19 巻 3 号 p. 214-220
    発行日: 1978/11/07
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    近年注目を集めている慢性皮膚粘膜カンジダ症 (CMCC) と transfer factor (TF) のそれぞれについて紹介し, TFによる治療を受けたCMCC12例を集計した.
    12例中6例に免疫学的, 臨床的改善がえられ, TFの臨床的効果が期待できるものであるとの結論をえた.
  • 中原 哲士, 城 和男
    1978 年 19 巻 3 号 p. 221-228
    発行日: 1978/11/07
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    患者は9歳男子, 佐賀県鳥栖市在住. 初診は昭和52年4月19日. 約6ヵ月前左大腿外側に小指頭大の紅斑を生じ, しだいに遠心性に拡大し, さらに左下腿屈側にも紅斑性局面を生じた. 患家では和牛を飼つており牛には灰白色の鱗屑を付着した脱毛性局面がある. 初診寺所見は左大腿外側に鵞卵大の2重環状を呈する紅斑があり丘疹, 膿疱, 鱗屑をともない中心治癒傾向は少ない. 左下腿屈側にもくるみ大の環状紅斑性局面がある. 鱗屑の thiamine 加 brain heart infusion agar, 37℃における培養で蝋様光沢を有する乳白色扁平半球状のコロニーをえ, Trichophyton verrucosum と同定した. 牛の病毛は毛外性大胞子菌性寄生を示した. 治療はクロトリマゾールクリーム塗布2ヵ月で治癒した.
  • 山田 富保, 渡辺 隆司, 野沢 義則, 伊藤 友喜
    1978 年 19 巻 3 号 p. 229-237
    発行日: 1978/11/07
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    病原性真菌 Epidermophyton floccosum, Trichophyton rubrum および Microsporum cookei の3種の脂肪酸分析の結果, パルミチン酸 (C16:0), パルミトオレイン酸 (C16:1), ステアリン酸 (C18:0), オレイン酸 (C18:1), リノール酸 (C18:2) が主なものであり, なかでもリノール酸の含量が著しく多い. また, 発育に伴う脂肪酸構成の変化に関して, M. cookei は他の2種とはかなり異なつた挙動を示した. E. floccosum 発育と脂肪酸, リン脂質およびステロール成分の構成変動を検討した結果, 発育に伴つてエルゴステロールの減少とエルゴスタジエノール (+ラノステロール) の増加が示された. また, 脂肪酸では T. rubrum の場合と似た変化を示し, M. cookei とは著しく異なつている.
  • 亀井 幸雄, 中野 正大
    1978 年 19 巻 3 号 p. 238-246
    発行日: 1978/11/07
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    生後76日の女児. 生下時から発熱, 下痢, 嘔吐を繰り返し, 全身状態が悪化したため, インクベーターに収容し, 点滴輸液を行つた. 全身状態の回復後数日して, 点滴のための副木固定をはずしたところ, 点滴部位から離れた右下腿上部に3×4cmの潰瘍と, 右膝窩部内側, 右大腿屈側に径1cmの半球状の紅色結節を認めた. これらの病変から Rhizopus oryzae を分離した. 病理組織学的に該部は好中球を主とした高度の壊死性炎を示し, その中に隔壁のない太い菌糸が多数認められた. 病巣の切除, アムホテリシンB湿布で瘢痕治癒状態となつたが, 入院後47日目にミルクの誤嚥による呼吸困難を起し死亡した.
    剖検で内臓に真菌病変が認められず, 本症を限局性皮膚ムコール症と診断した. 本菌による動物接種は家兎およびモルモットに対し陽性で, 肝, 腎, 小腸, 結腸に出血, 潰瘍を認め, 病理組織像も患者のそれと殆ど同じであつた.
  • 滝沢 清宏, 新村 真人, 溝口 昌子, 飯島 正文, 紫芝 敬子
    1978 年 19 巻 3 号 p. 247-257
    発行日: 1978/11/07
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    42歳男. 昭和48年春, 腹部の硬結で始まつた Weber Christian 病の症例で, 一卵性双生児の弟にも Weber Christian 病の既往がある. 高熱, 皮疹の増悪のため入院し, 大量のステロイドの全身投与により治療中, 消費性凝固障害症 (DIC), 帯状疱疹, 腰椎圧迫骨析, 胸膜炎, 糖尿病, 糖尿病性白内障などを併発した. 昭和50年1月より生じた頑癬が, 7月には多発し, 手, 足, 爪白癬を生じ, やがて左下腿伸側に数個の, 左環指背に1個の膿疱・〓腫型の白癬性肉芽腫を生じた. 原因菌は全て猩紅色菌であり, 白癬性肉芽腫を生じた時期に細胞性免疫能の低下をみた.
    本邦において Weber Christian 病を基礎疾患とする白癬性肉芽腫の報告はないので, その概略を記し, 諸家により行われた白癬性肉芽腫の病型分類に補足的検討を加えた.
  • 東出 香二, 浅井 保正, 成田 収, 中西 勉, 友田 豊, 神戸 俊夫, 近藤 譲, 阿多 実茂
    1978 年 19 巻 3 号 p. 258-262
    発行日: 1978/11/07
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    妊娠10ヵ月時における腟真菌と妊娠に伴う諸変化との関連を分析し, また, 腟真菌症発症を主として菌種及び水野・高田培地上に形成されたコロニー数より検討し, 以下の成績を得た. なお菌種の同定法は血清学的, 生物学的及び形態学的等によつた.
    (1) 対象妊婦272例中78例28.7%が腟真菌陽性であり, 腟真菌陽性例中真菌症は14例17.9%であつた.
    (2) 腟真菌の種類は, Candida albicans 74.4%, Torulopsis glabrata 21.8%, Candida krusei 3.8%であつた.
    (3) 腟真菌陽性率は初産婦では25.2%, 経産婦では31.7%と経産婦に高い傾向を示した.
    (4) 腟真菌陽性率は妊娠中毒症合併群では33.6%, 妊娠中毒症を伴わない群では24.7%と妊娠中毒症合併群に高い傾向を認めた.
    (5) 妊娠尿糖, 妊婦貧血と腟真菌陽性群との間には殆んど差を認めなかつた.
    (6) 腟真菌症発生率はCandida albicansでをまコロニー数50個以下では5.6%, 51個以上では27.5%であつた.
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