病原性酵母の感染防御における食作用 (Phagocytosis) の役割を明らかにするために, 末梢血白血球 (PBL, 主としてPMN) と腹腔マクロファージ (PMP) の
Candida albicans に対する食菌能および殺菌能の差, 食細胞の種による機能の相違, 体液性成分の食菌におよぼす影響および
Cryptococcus neoformans の莢膜と食作用の関係を検討した.
C. albicans に対しては, モルモットとマウスのPBLとPMPは同じ食菌能を示したが, PBLの殺菌能はモルモットが最も高く, 次いでヒト, マウスの順であつた. モルモットとマウスのPMPの殺菌能はPBLに比較して低かつたが, リンフォカインで培養したマウスのPMPでは殺菌能が増強された. PBLとPMPにおいて補体は食菌率を増加させたが, この系に抗体を加えても食作用に変化はみられなかつた. EGTAとMg
++を用いた実験により
C. albicans に対する正常オプソニンはプロパージンであることが示唆された.
C. neoformans に対するモルモットの食作用においては, PBLは補体の存在下で薄い莢膜株に対しては高い食菌および殺菌率を示したが, 厚い莢膜株に対する食作用は明らかな低下を示した. PMPの食作用は
C. albicans の場合と同様にPBLのそれよりも低く, また免疫血清には食作用増強効果はみられなかつた.
真菌感染における抵抗性の機序については, 感染初期にはプロパージン系とPMNが重要な役割を演じていることが示唆されたが, また感作リンパ球出現後には活性化されたMPも関与するものと考えられる.
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