著者らは日本において馬蹄に附着した土壌から
Microsporum cookei Ajello, 1959の1菌株を分離して, 既に報告したが, 本菌株はケラチン餌添加の滅菌土壌に単独に培養した場合にはcleistotheciaを形成しなかつた.
そこで本菌株とアメリカ由来の同種の1菌株(CDCA-999)とを土壌培養上で交配した結果, これらの両菌株の間に明らかにcleistotheciaの形成が認められた.
A-999株はアメリカ公衆衛生局Communicable Disease Centerから譲受けたもので, これを単独に接種した土壌培養ではcleistotheciaを全く形成しなかつた菌株である.
またこのA-999株は“+”相の単子嚢胞子菌株L69+と交配した際にcleistotheciaを形成することが明らかにされているので,A-999株は“-”交配型であり, 従つて本邦分離菌株は“+”交配型のものとなる.
更らに著者らは単子嚢胞子菌株およびこれら親菌株の単独およびあらゆる組合せの土壌培養について試験を行なつた結果,
M. cookeiはheterothallicであることが明らかであつた. このことはAjelloの既に報告した結果と一致するものである.
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