タブレットPCを活用した中学理科授業において,評価問題と学びの意識ならびに学習者の行動を分析した.評価問題について分析した結果,タブレットPCを活用した授業では,活用しない授業に比べ,記述問題で無答者の割合が有意に低く,正答者の割合が有意に高いという結果が得られた.この結果を踏まえて,学びの意識のアンケートから,タブレットPCに対する特性認識が,学びの自己評価に与える影響を見るモデルを考え,共分散構造分析を行った.その結果,タブレットPCを活用した授業では,タブレットPCに対する「協働性」の認識が,学びの自己評価の「思考判断」に働きかけ「説明理解」へと繋がるパスの存在が認められた.タブレットPCを活用した授業における学習者の行動を分析した結果,タブレットPCの操作後,協働的な学びの場面を示す「覗き込む」や「相談」へと遷移する行動が高い頻度で出現することがわかった.タブレットPCを活用した授業では,タブレットPCに対する「協働性」の認識が,論理的な思考を助長し,学習成果に影響を与えることが示唆された.
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