カンボジア経済は1990年代後半以降、総じて高水準の経済成長を継続的に達成し、産業構造については農業から製造業へのシフトがみられた。特に製造業について2011年と2022年に同国で実施された経済センサスの調査結果からみると、消費財産業では繊維縫製業と皮革製品製造業が大幅に拡大していること、また、資本財産業では、電気機器製造業や輸送用機械製造業における生産活動が始まったことが明らかにされた。
本稿では主に以下の結果を示す。1) 政府債務・GDP比が無限大に発散するということはない。すなわち財政破綻は起こりえない。この結論が成り立つために必要な条件は資産所得からの消費性向が正であることだけである。2) 国債の利子率が実質成長率と比べて高いとき,債務・GDP比の発散はインフレーションによって防止される。そのためには国債利子率と実質成長率の差よりわずかに大きいインフレ率で十分である。また,このインフレーションは政策によらず自然に発生する。