MACRO REVIEW
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3 巻, 1 号
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  • 理念と文明圏への構想
    小畑 直巳
    1990 年 3 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    マクロエンジニアリングは広領域の研究活動・プロジェクトを含むが,理念と実践による「文明の構築」という基本目標により統一される。文明の意味を「人間生存の価値体系,およびそれに基づく生存様式」とし,自然・社会・人間の相関による「文明工学」の立場からマクロエンジニアリングの現在と未来を考察・展望した。 国際的な視点よりマクロエンジニアリングの方向を考え,また世界の動向と文明の課題より,多元的な「広域未来文明圏」の構想を提起した。試案として「永劫未来」「自然調和」「人間活動・自立共存」「科学技術情報」の各未来文明圏,すなわち理念と実践の「価値概念共同体」が想定される。これらは実体としての「国家群共同体」とあいまって世界システムの未来像を形成する。 具体像へのアプロ一チとして,地球環境再生・第二紀自然産業・生存基礎システム・多民族コラージュなど,創・美・悠の営みによる「可能性の探求」が未来文明圏に至るプロセスである。
  • 宮本 隆司
    1990 年 3 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    地球環境問題が騒がれているが,これを特許出願された発明技術から追ってみた。これに先立って,地球環境問題の技術は従来の身近な技術とは大変に異なり超大規模なものゆえに,マクロエンジニアリングとは何かを特許の面から分析した。とくに,戦前の日本のマクロエンジニアリングの特許を上げて理論立てた。
  • 島田 眸
    1990 年 3 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    豊饒なる森林と,林業との共存を可能にする木材空中輸送用の回転固定翼気球の基本発明を発表する。本発明は,将来の「空飛ぶ自家用車」「空飛ぶバス」ともなるワイドな発展性をたたえ,墜落しにくい安全性と,優れた飛行燃費性能をもつ夢の垂直離着陸型航空機である。現代の自動車文明の次は,「回転気球」文明の時代になるかもしれない。 本発明の回転気球が商品化されると,現在の民間用ヘリコプター,プロペラ機は,かつての蒸気機関車のように,それも,ロマンもなにもない危険きわまりない乗り物として消え去ってゆこう。また,林道によって貴重な森林が切り刻まれることもなくなってゆく。海上交通の航空化も進展しよう。回転気球は,地上をはい回って走る自動車にとって替わる豊かな可能性をもつ技術体系である。 本発明の試作について,幸運の女神が登場することを期待してやまない。
  • 宇由時代の惑星地球の宇宙への表玄関
    栗岩 常明
    1990 年 3 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    21世紀初頭を目指し宇宙時代を拓くためには,宇宙輸送インフラの整備が急務である。その一環として,不可欠な宇宙への表玄関スペースセンター建設の構想がいくつも提案されてきたが,その実現はかなり難しそうである。これらが宇宙時代の惑星地球のメトロポリス建設ともいえる壮大な計画なので,最適地域での用地難とますます厳しくなる環境問題が障害になるようだ。しかし,この実現は急を要するので,その代案となり得る必要最少限の陸上施設からなる前進基地を設けた最適地域にある大洋島と,その周辺に展開する私が考案した宇宙ロケットの洋上打上げ基地(Ocean Launch Complex for Space Rocket-OLC)をモデファイした打上げ設備や水平離着陸式宇宙往還機用滑走路などの各種施設を設置したいくつかの浮体式人工島からなる,環境に優しく,無限に能力を拡張でき,短期間の建設が容易な洋上グローバル・スペースセンターの構想を提案する。
  • 亀田 泰武
    1990 年 3 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    今後宇宙開発を進めていく上で,燃料消費の少ない打ち上げ方法の開発が必要である。これまで,輸送エネルギーの軽減策についていくつかの提案がされている。そのうち,最もエネルギーの少ない方法は,36,000km離れている静止衛星と地表を結ぶケーブルづたいにエレベーターを昇り降りさせる軌道エレベーター構想である。しかしケーブルが長すぎるためその実現はなかなか難しいと考えられる。今回より低い高度を周り,ケーブル長が短くて済む方法を検討した。この重連衛星構想は,長いケーブルで結ばれた2個のゴンドラが連星のように引っ張り合いながら自転し,この自転の動きが公転の速度を打ち消すように働いて,地上接近時に対地速度を低下させ,地上から打ち上げたロケットなどとドッキングしやすくするものである。ゴンドラをロケットの第二段とすることにより打ち上げのための燃料を少なくすることが可能となる。
  • 木下 幹夫
    1990 年 3 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    地表の空気は太陽輻射を受け,暖められ,対流圏を対流する。この運動のなかで,太陽エネルギーは風力エネルギーに変換される。この対流エネルギーの潜在量は,人類が現在必要としているエネルギーを遥かに凌ぐ莫大なものである。このエネルギーは,風力発電や沙漠緑化のための人工降雨等への応用が期待される。 地上の熱源により暖められた空気を,上空に移動させた場合に発生する対流エネルギーの理論的効率,および発電のための装置の基本的構造について考察した。
  • 「有限成長」から「無限成長」へのTake Off
    岩渕 雅明
    1990 年 3 巻 1 号 p. 45-54
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    新文明の中核(コア)は,「太陽一超藻類技術文明」である。地球再生計画の中心は,炭酸ガスを,単に固定するだけではだめで,同時に多量の酸素を複生(発生)できるものでなければならない。それを超植物型文明,あるいは,超還元型文明ということができる。現文明と絶対値が同じだが符号が逆の働きをするので,その釣合いが取れるまで,育んで行かなければならない,現文明に対し共軛すべき文明なのである。 生き方の方向転換とは,日木の古神道の精神をコアとして,周辺の宗教を再編成し,新しい哲学により皆が生きられるようにすることである。
  • 森田 照道, 金岡 良太郎, 菅原 一郎, 水上 幹之, 谷岡 研
    1990 年 3 巻 1 号 p. 55-67
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    大規模輸送研究委員会では,21世紀的課題についての議論を踏まえ,元年度の研究テーマとして,エコロジカルな面からみた大規模輸送にとりくむこととした。まず,全体のインフラストラクチャーのとらえ方,ついで輸送の三つの対象である物・人,情報,エネルギーについておのおの分析評価をすすめた。 地球の生態系に影響を及ぼす各種要因の中で,大規模輸送がどの程度を占めるのかは必ずしも明らかではないが,積極的にエコロジカルな点に注目した輸送体系の構築はわれわれに新しいイメージを与えつづけるであろう。
  • 大礒 幸雄
    1990 年 3 巻 1 号 p. 69-73
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    筆者は先にMACRO REVIEW, Vol. 1, No. 1に「宇宙時代構想(SAI)における経済問題」を執筆し,そのなかで,「SAIの経済ソフトの運用システム」として,衛星センサー情報の世界共有化と世界経済機構の再編成を提案した。 本誌では,先の提案を国連の下部機関として日本に設置することを,21世紀を迎えて,「環境の改善と経済の持続的成長」を両立させなければならない「われわれの共通の未来」を実現するための我が国の人類に対する国際的な姿勢として推進する必要性を述べ,併せてマクロ政策の実施には,ミクロとの調和の必要が生じるが,マクロ概念とミクロ概念の関係をどのように考えるべきかについて問題を提起した。
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