MACRO REVIEW
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31 巻, 2 号
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研究論文
  • 伊藤 拓哉, 張 文卿, 村田 由香里, 鈴木 誠一, 加藤 茂, 小島 紀徳
    2019 年 31 巻 2 号 p. 17-26
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/30
    ジャーナル フリー

    日本における、セメント生産時の年間二酸化炭素排出量は約2600万tであり、全排出量の2%を占め、この分野での二酸化炭素排出量削減は重要である。そこで、本研究では最も大量に生産されているポルトランドセメントの主原料である石灰石の一部を珪灰石で代替することによる二酸化炭素排出量削減の可能性について検討した。その結果、原料となる石灰石の約30%を珪灰石で代替可能であり、得られた代替セメントの物性は、一般的なセメントと遜色なく、むしろフリーライム量や強度の点でより優れたものが得られた。

研究ノート
  • 伊藤 拓哉, 張 文卿, 村田 由香里, 鈴木 誠一, 加藤 茂, 小島 紀徳
    2019 年 31 巻 2 号 p. 27-35
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/30
    ジャーナル フリー

    日本における、セメント生産時の年間二酸化炭素排出量は約2600万tであり、全排出量の2%を占め、この分野での二酸化炭素排出量削減は重要である。著者らはこれまでにセメントの主原料である石灰石の30%を珪灰石で代替することにより、セメントの物性を損なうことなく、二酸化炭素排出量を削減できることを報告した。本報告では、これによる二酸化炭素排出量削減量を定量的に評価した。その結果、熱および物質収支計算から、珪灰石で代替することで供給燃料量の削減も期待でき、最終的にセメント生成反応と燃料の使用による二酸化炭素の排出を23.5%削減する効果が期待できることがわかった。

総説
  • 松谷 泰樹
    2019 年 31 巻 2 号 p. 36-79
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/30
    ジャーナル フリー

     一般の経済学の教科書に掲載されている,有効需要の論理に基づいて国民所得の決定を明らかにしている「45度線モデル」は,「45度線図」を用いて示されているが,それがケインズ経済学によるものであるとの言及にとどまり,その考案者が誰であるのかについては,ほとんど明記されていない。茂木 (2014) や緒方 (2010) によれば,その考案者は Samuelson (1948a) や Klein (1947) であるとされている。また,Krugman (2011) によっても, Samuelson (1948a) が最初の考案者であるとされているが,Cate (2013),Dixit (2012),Guthrie (1997),Montgomery (2010) による経済学説史的研究によれば,Samuleson (1939) が「45度線モデル」の最初の考案者であるとされている。しかしながら,本稿では,現代の教科書に示されている「45度線モデル」には3つのヴァージョンがあることを明らかにするとともに,Samuelson (1939)より以前のKalecki (1929; 1933; 1938) において,すでに「45度線モデル」を構築することができていたということを明らかにする。そして,その「45度線モデル」は,Kalecki (1929) における「福祉の経済学」の視点を考慮に入れれば,容易に,現代の標準的な「45度線図」として描くことができるものであることが明らかにされる。

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