日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
30 巻, 4 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 橋本 謙二
    2019 年 30 巻 4 号 p. 139
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 入谷 修司
    2019 年 30 巻 4 号 p. 141-146
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル オープンアクセス
    かつては,精神神経疾患の病態解明の方法は,解剖学や脳を顕微鏡で観察する神経病理学的手段が主であった。現在の精神医学の礎をつくったドイツのクレペリンも,精神疾患の原因は脳神経の機能の問題として捉えて脳の観察を精力的にすすめた。その中で,アルツハイマー病などの疾患単位を見いだした。しかし,その後いわゆる統合失調症のような内因性精神疾患の病因病態は神経病理学的手法では見いだせず,“統合失調症は神経病理学者にとって墓場”とまでいわれた。近年,組織病理の研究手法の進歩や,神経画像技術の進歩,分子生物学的研究などの発展から,再度,精神神経機能の首座である脳でなにが起きているかの検証が必要となってきた。統合失調症をはじめとする精神疾患の病態解明にあらたな視点の神経病理学的研究によって神経画像や分子精神医学の成果を脳組織に収れんさせる時代になろうとしている。そしてそのためにも,研究リソースの脳組織の蓄積は重要で,日本版ブレインバンクの成功が待たれている。
  • 那波 宏之, 村山 正宜
    2019 年 30 巻 4 号 p. 147-151
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,ヒトの知覚認知機能が単純に感覚受容器の信号(ボトムアップ情報)だけを基に発現しているのではなく,記憶,経験,情動の脳内信号(トップダウン情報)によって修正,介入されていることが脳科学領域で重要視されるようになっている。本来,このトップダウン情報は記憶や状況判断より形成され,その予測される情報を感覚受容野に提供することで,より正確に認知することを目的にするのである。しかし実際の感覚受容器からの信号が制限されたり,過度な注意や薬物などによりトップダウン情報が介入しすぎると,予測情報そのものが間違って実感覚として認知される,つまり錯覚や幻覚となる可能性がある。ドパミンはそのトップダウン情報を担う前頭前野の活動を高め,セロトニンは脳全体の情報連合性を亢進させるので,覚せい剤などの薬物が,錯覚・幻覚を誘発する事実とも矛盾しない。ここではトップダウン障害仮説と統合失調症の幻聴・錯聴との関連性について考察を加える。
  • 宮本 嘉明, 新田 淳美
    2019 年 30 巻 4 号 p. 152-156
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル オープンアクセス
    精神疾患は,その患者数が年々増加しているにもかかわらず,治療法が必ずしも確立されてはいない。これは,精神疾患の発症および病態メカニズムが完全には解明されておらず,治療法開発に必須なモデル動物が存在しないためである。本稿では,筆者らが統合失調症モデル動物作成のために着目している基礎研究由来の精神疾患関連分子Piccoloについて紹介するとともに,死後脳研究との関連性を概説する。精神疾患のモデル動物の作成において,臨床研究に基づくトランスレーショナル研究,特に死後脳解析からの情報によるアプローチは非常に重要である。しかしながら,死後脳から得られる情報は多種多様かつ膨大であり,その精査は難しい。そのため,精神疾患におけるモデル動物の作成には,基礎研究を基盤とした逆トランスレーショナル研究と死後脳研究の双方向の探索の意義について述べる。
  • 木下 誠, 沼田 周助, 大森 哲郎
    2019 年 30 巻 4 号 p. 157-162
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル オープンアクセス
    わが国では現在国内の主要8ブレインバンクが連携する日本ブレインバンクネットが運営されており,今後死後脳研究が盛んになることが期待される。一方で,精神疾患の研究においては,侵襲が比較的少なく採取できる末梢組織を用いた研究も重要である。ただし末梢組織を用いた研究では,所見の意義や中枢との関連が常に問われる。本稿では筆者らが行っている血液を用いた精神疾患の分子生物学的研究(エピジェネティクス研究,トランスクリプト研究,メタボロミクス研究)について紹介するとともに,末梢血研究と死後脳研究の比較研究を紹介し考察する。両組織で得られる知見は必ずしも一致するとは限らないため,今後末梢組織を用いた研究とともに死後脳研究も盛んに行われ,両アプローチによる研究が互いに連動して精神疾患の病態解明やバイオマーカー開発が進むことが期待される。
  • 國井 泰人
    2019 年 30 巻 4 号 p. 163-167
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,ゲノムワイド関連解析,次世代シークエンシング技術の発展により,統合失調症のリスクに関連する遺伝子領域やde novo変異が同定されるなどの大きな進展がみられたものの,統合失調症や他の精神疾患の根底にある正確な分子メカニズムは明らかにされていない。転写レベルの変化,エピジェネティック修飾およびde novo変異などの脳特異的ゲノム多型を考慮すると,ヒト脳組織の研究は,統合失調症または双極性障害の分子病態を理解するために不可欠である。筆者らは約20年前から精神疾患に関する死後脳バンクを運営し,「ジェネティックニューロパソロジー」を適用した死後脳研究で,統合失調症の分子メカニズムに対する新規の知見を得ている。本稿では,精神疾患における死後脳研究の最新の知見をジェネティックニューロパソロジーに焦点を当てて紹介するとともに,当バンクの死後脳試料を用いた共同研究の結果を報告する。
  • 山末 英典
    2019 年 30 巻 4 号 p. 168-172
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル オープンアクセス
    オキシトシンによって自閉スペクトラム症の中核症状が治療できるようになることが期待されている。しかし,単回投与ではこれまで一貫して改善効果が認められる一方,反復投与では報告が一貫しなかった。その理由として,オキシトシンを反復投与すると効果が変化することが疑われたが,自閉スペクトラム症の症状を繰り返して評価できるような客観的な方法がなかったため,この疑問を確かめることができなかった。著者らの最近の研究では,対人場面に現れる表情を定量的に解析して評価項目とし,自閉スペクトラム症に関連した表情の特徴がオキシトシンの投与で改善されることについて再現性をもって示すことに成功した。さらにこの改善効果は時間とともに変化することを示し,この経時変化のメカニズムに関する知見とともに,オキシトシンによる自閉スペクトラム症の治療が最適化され開発が進むことが期待されている。本稿ではこの研究成果について概説した。
  • 菊知 充, 内藤 暢茂
    2019 年 30 巻 4 号 p. 173-176
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル オープンアクセス
    自閉症スペクトラム障害(ASD)児は,定型発達(TD)児よりも高い割合で,睡眠障害を患っていると報告されている。ポリソムノグラフィー(PSG)を用いた睡眠分析もなされ,ASD児の睡眠障害が,社会性の障害に関係していることも示されている。睡眠の深さが体動量に影響することから,加速度計による体動の定量化は,簡易な睡眠の評価にも使われている。一方で,ASDの夜間の体動の時間経過パターンに焦点を当てた研究はまだ少ない。筆者らは,夜間の体動の時間経過について,加速度計を用いて,ASD児とTD児の比較を行った。5〜8歳の17人のTD児および17人のASD児がこの研究に参加した。3日分の夜間の体の動きを測定し,2群でその時間経過を比較した。その結果,入眠の開始後から2〜3時間の体動が,ASD児において多いことを確かめた。さらに,体動が多いことは,ASD児の社会的能力の低さと関連していた。
  • 桑原 斉, 加藤 康彦, 山末 英典
    2019 年 30 巻 4 号 p. 177-181
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル オープンアクセス
    自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)の末梢血液検体を用いた研究は数多く報告されている。しかし結果の再現性は不十分であり,その理由としてASDの異種性の問題を十分に取り扱えた研究が少ないことが指摘されている。そのため,ASDの生物学的な病態解明にあたっては,生物学的な指標を用いて層別化した解析は有益だと考えられる。本稿では,ASDの血液検体を用いた先行研究について概観し,ASDの血液検体の治療効果判定能についてオキシトシンによる中核症状の治療を例に考察を行った。
  • 掛山 正心, 藤原 昌也
    2019 年 30 巻 4 号 p. 182-186
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル オープンアクセス
    社会的関係の形成の困難さは,精神障害を特徴付ける重要な行動表現型であり,診断基準として用いられてもいる。実験動物として脳研究あるいは創薬に用いられるマウスも哺乳動物であり,母親から養育ケアを受けて成長する点は人間に類似している。筆者らも含め多くの研究が,乳仔期・幼若期における母子分離経験や社会的隔離経験が,将来のマウスの社会行動,情動および認知機能に影響を及ぼすことが報告されている。筆者らは最近,映像分析をもとにした社会行動解析システムMAPSを開発した。MAPSシステムにより,思春期における社会的隔離経験が,将来のマウスの社会的近接性に影響を及ぼすことを明らかにした。マウスの社会的近接性解析は,社会的相互作用の生物学的基盤を解明するための実験モデルになると期待される。
  • 山室 和彦
    2019 年 30 巻 4 号 p. 187
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 越山 太輔
    2019 年 30 巻 4 号 p. 188
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 木村 大樹
    2019 年 30 巻 4 号 p. 189
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 小原 知之
    2019 年 30 巻 4 号 p. 190
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 村田 唯, 文東 美紀, 岩本 和也
    2019 年 30 巻 4 号 p. 191
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 青木 悠太
    2019 年 30 巻 4 号 p. 192-193
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル オープンアクセス
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