日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
24 巻 , 1 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 大森 哲郎
    2013 年 24 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • 松永 寿人, 三戸 宏典, 山西 恭輔, 林田 和久
    2013 年 24 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    現在OCDに対する治療では,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの薬物療法,曝露反応妨害法を主とした認知行動療法(CBT)が中心である。SSRI抵抗性の場合の(非定型)抗精神病薬の付加的投与を含め,有効性が確立されている全ての治療オプションを用いても,十分な改善が得られなければ難治性と判定される。さらにOCD患者では,5 ~ 10年後など長期的予後での寛解率は 50%程度とされ,再発も多く,これらの対応が今後の課題となる。まずは現行の薬物やCBTを見直し,最適化を図ると伴に,標準化を進めるべきである。そして認知療法や入院を含め,個々に応じた治療選択を行い,さらに精神病理や認知,環境など,難治性に関わる臨床像や病態を多角的に検討して,その定義を明確化する必要がある。しかしOCDでは,生物学的病態の多様性が想定され,新たな治療アプローチの開発も期待される。加えて,発症早期の治療介入が重要であり,社会的啓発も有効な対策となろう。
  • 平 孝臣
    2013 年 24 巻 1 号 p. 11-21
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    精神疾患に対する脳神経外科治療(neurosurgery for psychiatric disorders :NPD)を行う脳神経外科医の大半が属する国際定位機能神経外科学会(WSSFN)の会長として,WSSFN でのNPD へのコンセンサス,スタンス,課題,および国際的現状を紹介する。WSSFNでは少なくとも現時点ではすべてのNPDを「研究段階の治療」とみなしている。FDA や CEの承認を背景に企業などの関与があり,純粋な医学的見地からは疑問視する声もある。したがってこれらの承認をもって一般医療とはみなしていない。「研究段階の治療」ではある一定の study protocol のもと,各国,各施設でのIRBなどの承認が必須で,患者や社会も「研究的,実験的」治療と認識しておく必要がある。多くの倫理規定やガイドラインがあるが,精神科医,脳外科医を含む複数の専門分野の十分経験のある医師の関与が必須である。このような条件下の研究は,難治性強迫神経症(OCD),難治性うつ病(TRD)が代表的であるが,アルコールを含む薬物依存,神経性食思不振,アルツハイマー病などもにも拡大している。一方WSSFNの原則に則らず,十分な情報開示もないまま,統合失調症,薬物依存,衝動的な攻撃性などに対して凝固術を行っている国もある。しかしこれらにはLevel 1のエビデンスはなく,安全性と有効性が Level 2の段階で,今後さらに科学的検証が必要である。DBSが可逆的で盲検可能で科学的アプローチが可能ということで注目を浴びているが,北米では現在もNPDに関与する脳神経外科医の半数が凝固術を行っている。薬物治療などの既存の治療の効果を評価する尺度で,同様に重度のOCD や TRDに対するDBSの効果を検討した場合,未だに完全ではないが,十分有望な効果が認められており,今後本邦でも看過できない領域である。
  • 杉山 憲嗣, 難波 宏樹, 野崎 孝雄, 伊藤 たえ
    2013 年 24 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    DBSは,疼痛疾患,不随意運動の治療法として始まり,中枢神経のループ回路障害の治療法として注目され,近年,難治性の強迫性障害(OCD),うつ病等々の精神科疾患にも適応されるようになった。中でも難治性 OCD に対する DBS は,USA で FDA の認可,ヨーロッパでも CE Mark approval を獲得し,そのDBS施行数は,論文発表例のみでも94症例となっている。複数報告例(総患者数= 81例)での治療有効率は約64 %(63.8 ± 21.9%)である。各ターゲットごとの報告例数,術後 YBOCS15点以下の改善者数,20点以下の改善者数は,①内包前脚/腹側線条体刺激:報告例数42 例,15点以下12 例,20点以下15例,②側座核刺激:報告例数33 例,15点以下8 ~ 11 例,20 点以下 13例,③視床下核刺激:報告例数19 例,15 点以下7例,20 点以下 11例であった。DBSによる治療が,精神科内,OCDの患者や患者家族内で選択しうる補助療法として認識され,検討されることを望むものである。
  • 三邉 義雄
    2013 年 24 巻 1 号 p. 31-33
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    強迫性障害の重症難治例については,脳深部電気刺激(Deep Brain Stimulation :DBS)が既に欧米での症例の積み重ねがあり,従来の凝固術と同等の治療効果がみられている。すなわちその目的は,薬物療法,認知心理療法などの通常的治療で症状の改善がみられない重症難治性強迫性障害の患者に,脳定位的に主に内包前脚への電気刺激装置の埋め込み術を行い,持続電気刺激を行うことにより症状の改善,および患者QOLの向上を図ることである。 我が国ではこの方面の試みはないが,重症難治性強迫性障害の治療についてまだまだ課題が多く,医療の恩恵を受けられない患者さんも多い。DBSを含めた精神疾患の機能的脳外科療法の歴史と今後の展望・課題について,この機会に触れてゆきたい。
  • 伊佐 正
    2013 年 24 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    ヒトの精神神経疾患の病態生理や脳・脊髄損傷後の機能回復の神経機構を理解することは治療戦略の開発に必要であるが,そのためにはヒトに近い脳と身体の構造を有する霊長類モデルが必要である。筆者はこれまで脊髄損傷後の手指の巧緻運動の回復機構,さらには一次視覚野損傷後の視覚誘導性の眼球運動の機能回復機構をマカクザルを対象として研究し,機能回復に関わる神経回路とその可塑的変化,さらには機能回復にモチベーションが作用する神経機構などを明らかにしてきた。さらに最近,ウィルスベクターを用いて特定の神経経路の機能を選択的・可逆的に操作する手法を開発し,霊長類での行動操作に成功した。このような手法を用いることにより,特定の回路を標的とした疾患や傷害の治療戦略を開発できる可能性が生じてきた。
  • 佐々木 えりか
    2013 年 24 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    遺伝子改変マウスは,遺伝子機能の解析および疾患モデルとしてライフサイエンスにおいて重要な役割を果たしている。しかしながら,ヒトとマウスでは系統学的に距離があり,解剖学的,生理学的に異なる点もあり,研究領域によっては得られた研究結果がヒトに外挿できない場合もある。このような背景から霊長類の遺伝子改変技術の確立が望まれてきた。我々は,小型霊長類であるコモンマーモセットを用いてレンチウイルスベクターによる遺伝子改変動物技術を確立し,この方法によって作出した遺伝子改変マーモセットが次世代にも導入遺伝子を伝達し機能することを示した。これにより,遺伝子改変霊長類をモデルとした研究の新たな展開が拓けた。一方で,レンチウイルスベクタ ーは,標的遺伝子を破壊したノックアウト動物の作製および大きな遺伝子の導入が困難という問題点がある。これらの問題点を克服するための新たな取り組みについて紹介する。
  • 山森 哲雄
    2013 年 24 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    哺乳類の大脳皮質は,Brodmannらにより,領野から構成されていることが示されているが,その形成や機能制御機構はなお不明な点が多い。筆者らは,領野のよく発達した霊長類の大脳皮質において,代表的領野(一次視覚野,側頭葉,運動野,連合野)で強く発現している遺伝子を網羅的に探索し,一次視覚野と連合野で強く発現する2群の遺伝子を見出した。一次視覚野で強く発現する遺伝子(OCC1/FSTL1,5HT1B,5HT2A)は,網膜からの視覚入力を適正に調節し,日夜で107異なる光量の変化の下でも,安定した視覚の恒常性を維持するのに貢献していると考えられる。一方,連合野特異的に発現する遺伝子(RBP4,PNMA5,SLITs)は,錐体神経細胞の基部の樹状突起とスパインの形成を促進的に制御していると考えられるが,霊長類の遺伝子操作技術の最近の進歩により,その遺伝子機能の証明が可能になると考えている。
  • 高田 昌彦
    2013 年 24 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    我々は,アデノ随伴ウイルス(AAV;特にタイプ1もしくは2)由来の組換え体ウイルスベクターを用いてサルの脳内に遺伝子導入を行い,黒質ドーパミンニューロンの変性・脱落を誘導するアルファシヌクレインを強制発現させることにより,新しいパーキンソン病の霊長類モデルを作出した。また,アルファシヌクレインの凝集を低減し,ドーパミンニューロン死を抑制する機能分子であると考えられるパーキン蛋白の遺伝子導入によって,パーキンソン病の発症を防御することに成功した。具体的には,アルファシヌクレインを発現するAAVベクターをサルの黒質に注入することにより作製したパーキンソン病モデルに,パーキン蛋白を発現するAAVベクターの黒質注入を行った。さらに,Cre ─ loxPシステムを利用した神経路選択的遺伝子発現制御法により,黒質線条体ドーパミン神経路に選択的にアルファシヌクレインを強制発現させてパーキンソン病モデルを開発した。
  • 橋本 亮太, 大井 一高, 山森 英長, 安田 由華, 福本 素由己, 藤本 美智子, 梅田 知美, 武田 雅俊
    2013 年 24 巻 1 号 p. 63-67
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    遺伝要因が強い統合失調症ではリスク遺伝子を発見するための研究が盛んになされているが,主観的な診断基準や遺伝的な多様性があるため,それを見出すことは困難な状態にある。そこで,中間表現型という概念が統合失調症のリスク遺伝子を見出し,その病態メカニズムを同定するための手法として注目されている。筆者は,統合失調症をはじめ,気分障害,発達障害,健常者のゲノムサンプル付きの中間表現型データベースを構築しており,これらを用いた研究を推進している。本研究においては,免疫応答における主要な転写因子NFκβの構成因子であるRELA遺伝子と統合失調症の関連を検討した。RELA遺伝子の3つのSNPが統合失調症と関連し,特に男性において強いが認められた。最も関連の強いSNP は RELA遺伝子のプロモーター領域のアンドロゲン受容体の結合モチーフを欠如させるものであり,この統合失調症のリスクSNP が RELA遺伝子の発現の低さと関連した。その上このリスクSNPは統合失調症患者におけるプレパルス抑制障害(PPI)とも関連した。これらの結果は,RELA遺伝子の機能的なSNPをリスク多型として同定したため,病態解明に向けて大きな意義があると思われる。このような臨床研究によって精神疾患の分子病態に迫ることは,生物学的精神医学の1つの方向性として,重要であると考えられる。
  • 牧之段 学
    2013 年 24 巻 1 号 p. 68-69
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • 假屋 哲彦
    2013 年 24 巻 1 号 p. 70
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
feedback
Top