日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
30 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 富田 博秋
    2019 年30 巻1 号 p. 1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル オープンアクセス
  • 笠原 和起
    2019 年30 巻1 号 p. 3-9
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル オープンアクセス
    まれな変異とは,一般的にはその頻度が1%未満の変異を指し,その中に精神疾患の発症や病態に関連するものがあるだろうと考えて研究を行っている。しかし,そのような有害な変異が,なぜヒト集団に存在するのだろうか。本稿ではまず,分子生物学と分子進化学による説明と最近の大規模ゲノム解析のデータを見ながら議論する。また,有害とはどういうことか,どのように調べるのかについて解説し,筆者らが行った双極性障害におけるPOLG(ミトコンドリアDNA合成酵素)遺伝子のまれな変異についての研究を紹介する。相異なる3種類の方法(in vitroin silicoin vivo)で有害度を解析したところ,いずれでも患者では有害な変異が有意に多く,POLGの有害変異が双極性障害の発症に関連していることが示唆された。
  • 高田 篤
    2019 年30 巻1 号 p. 10-13
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル オープンアクセス
    次世代シーケンス技術の発展普及に伴い,多数検体のヒト全ゲノム・エクソーム配列を解読し,網羅的なrare variant解析を行うことが可能となってきている。一方,こういった解析によって変異カタログの整備が進んだ結果,ヒトゲノムは多様性に富んでおり,誰しもが一見すると機能的に重要そうに見える遺伝子変異(タンパク質を壊したり,アミノ酸配列を変化させたりする変異)を多数有することも示されている。その中で,本物の精神神経疾患関連遺伝子・遺伝子変異を同定すべく,さまざまな工夫と研究の大規模化がなされている。それらの研究における論理的根拠,得られた成果などについて概観したい。
  • 木村 大樹, 尾崎 紀夫
    2019 年30 巻1 号 p. 14-17
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル オープンアクセス
    統合失調症の発症に強い影響力を持つまれなゲノム変異として,コピー数多型(CNV)が挙げられるが,CNVを起点として如何なるメカニズムによって統合失調症の発症に至るのかは不明である。筆者は日本人統合失調症の全ゲノムCNV解析から発症に強い影響力を持つと判明したCNV領域内の神経発達関連遺伝子を対象としたシークエンス解析を実施し,統合失調症の発症に強い影響力を持つ一塩基変異(SNV)の探索と,同定したSNVに基づく分子病態解明研究を行った。その結果,22q11.2領域内に存在するアミノ酸置換RTN4R‐R292Hや,16p13.11領域内に存在するNDE1‐S214Fが統合失調症と有意な関連を示すことが示唆された。さらに,これらのSNVによって,神経細胞の発達異常が引き起こされることも証明された。今後は,多発家系例などを対象とした全ゲノムシークエンス解析による新たな発症ゲノム変異の同定や,変異を模したモデル動物や変異を有する患者由来のiPS細胞を対象とした解析により,統合失調症の病態解明や,病態に基づく診断法・治療薬開発につなげていきたい。
  • 堀金 慎一郎, 竹本 さやか
    2019 年30 巻1 号 p. 19-22
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル オープンアクセス
    発生期において幹細胞から新生した幼若な神経細胞は,生まれた場所から目的地へと移動する。こうした神経細胞の移動は脳構造の構築や神経回路の形成に不可欠であり,その破綻が精神疾患の発症へと結びつくことが示唆されている。移動中の神経細胞は複雑な細胞外環境に適応しながら,適切な移動経路や移動様式を選択する。こうした細胞外環境への適応は各種の細胞内シグナリング経路が協調的に働くことで成立し,特にCa2+シグナリングが重要な役割を果たすと考えられる。本稿では神経細胞移動を制御するCa2+シグナリングの詳細とともに,近年のゲノム研究により明らかとなった精神疾患と関連するCa2+シグナリング破綻について紹介する。
  • 内田 周作
    2019 年30 巻1 号 p. 23-27
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル オープンアクセス
    カルシウムイオンは,真核生物細胞におけるシグナルメディエーターとして広範な細胞機能の調節にかかわっている。脳神経系におけるカルシウムシグナルの役割としては,神経伝達物質の放出,神経細胞の分化・成熟,神経可塑性,神経細胞死などが知られている。一方,ストレスフルな環境は気分障害や不安障害などさまざまな精神疾患の発症リスク要因となることが知られているが,最近,このストレス環境によって惹起される神経可塑性異常や行動変容に対する神経細胞内カルシウムシグナル異常の関与が示唆されている。本稿では,ストレスによるカルシウムシグナル異常と行動変容・精神疾患との関連について概説したい。
  • 牧之段 学, 岸本 年史
    2019 年30 巻1 号 p. 28-33
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル オープンアクセス
    多くの精神疾患では前頭前野機能が障害されているが,共通の成因が存在するかは不明である。一方,劣悪な小児期体験はうつ病や発達障害などの多くの精神疾患発症とかかわりがあり,小児期体験依存性の前頭前野機能障害がさまざまな精神疾患に共通の成因となりうるかもしれない。本稿では,脳機能を規定する脳細胞のうちオリゴデンドロサイトに注目し,同細胞が形成するミエリンの機能を踏まえながら,小児期体験と前頭前野機能の関係について考察する。
  • 笹林 大樹
    2019 年30 巻1 号 p. 34-35
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル オープンアクセス
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