日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
34 巻, 4 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 三島 和夫
    2023 年 34 巻 4 号 p. 132-
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
  • 中村 雅之
    2023 年 34 巻 4 号 p. 133-139
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
    多くの精神疾患は,家系研究や双生児研究などから高い遺伝率が推測されている。しかし,臨床診断は問診によらざるを得ず,遺伝学的にも症候学的にも不均一な集団となる。筆者らは,疾患の均質化をめざし,ベッドサイドで遭遇した特徴的な身体表現型を有する器質性精神疾患などに着目して遺伝子解析を行ってきた。今回,「炭酸リチウムに良好な反応性を持つ双極性障害家系例」や「身体小奇形症候群を伴う統合失調症家系例」について遺伝子解析を行った。それぞれわずか1家系であったが,ポジショナルクローニング法によって,病因候補遺伝子を同定した。それぞれの遺伝子変異は非常に稀なものであったが,双極性障害や統合失調症の発症に大きな効果量を有する可能性を考えている。今後はこのような特徴を有する家系をさらに集積し,同定した候補遺伝子について各疾患の分子病態への機能的関与を明らかなものにしたい。
  • 尾関 祐二, 藤井 久彌子
    2023 年 34 巻 4 号 p. 140-144
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
    統合失調症への対処方法は進歩しているが未だ限界があり,統合失調症の病態を明らかにすることでそうした問題を解決できないかとの考えがある。筆者らは何らかの生物学的な特徴を伴い,その特徴が統合失調症の病態と関連する可能性がある現象を追うことで統合失調症の生物学的な病態を調べることができないかと考え,調査研究を行っている。ここでは染色体転座と抗精神病薬による副作用を手掛かりとした試みを紹介する。
  • 森川 亮, 渡部 雄一郎, 染矢 俊幸
    2023 年 34 巻 4 号 p. 145-150
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
    統合失調症の発症に大きな効果を持つレアバリアントが同定されつつあるが,非ヨーロッパ人では報告が乏しい。筆者らは,日本人統合失調症患者においてのみ認められたSETD1A遺伝子の新規ミスセンス変異を同定し,多発罹患系においてUNC13B遺伝子のミスセンス変異が疾患とよく共分離することを明らかにした。今後は構造変異や体細胞変異を含め統合失調症のレアバリアントを網羅的に解析することが重要である。
  • 高田 篤
    2023 年 34 巻 4 号 p. 151-155
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
    世の中の多くの事柄には例外が存在する。例えば,ヒトの体を構成する各細胞のゲノム配列は,すべて同じ,ではない。それは,分化や生育の過程で一部の細胞にのみ生成されたゲノム配列の変化,すなわち体細胞変異(somatic mutation)が存在するからである。体細胞変異は,悪性腫瘍や限局性皮質異形成などのヒト疾患の原因となることが知られているが,これらに加え,精神神経疾患の病態やリスクにも関与する可能性が近年示されている。本稿では,神経発達障害の原因となることがすでに知られている遺伝子が,体細胞変異によって一部の細胞のみで傷害されることが,双極性障害のリスクにつながるのではないかということを示す筆者らの研究を紹介するとともに,体細胞変異と精神神経疾患の関連について,末梢もしくは脳組織サンプルを用いて遺伝子網羅的に探索した近年の研究における知見を概観する。
  • 内山 竣介, 寺尾 知可史
    2023 年 34 巻 4 号 p. 156-160
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年のゲノム解析により,健常者において加齢とともにクローン造血の特殊な状態である血中体細胞モザイクが増加し,造血器腫瘍の発生リスクとなることが明らかとなった。正常脳の神経細胞においても,神経発生のさまざまな段階において一塩基レベルでの体細胞変異が蓄積していることに加え,DNMT3Aなどクローン造血に関連する変異が多いことが明らかになった。この結果は正常脳においても加齢と共に体細胞モザイクが蓄積することを示唆する。自閉症スペクトラム障害(ASD)や統合失調症など精神疾患では,一塩基レベルや染色体レベルでの血中・脳の体細胞モザイクが増加していることが報告されており,病気の発症リスクになると考えられている。本稿では,正常脳の神経細胞における体細胞モザイクの関連を説明したうえで,一塩基レベル/染色体レベルでの体細胞モザイクと,ASD,統合失調症の関連について最新の話題を解説した。
  • 文東 美紀, 岩本 和也
    2023 年 34 巻 4 号 p. 161-164
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
    体細胞変異は,受精後の発生段階の途中で生じ,個体中にモザイク状に存在するゲノム変異を指し,生じる時期によっては脳組織に特異的な変異となる。またこのような脳特異的な変異の一部には,神経疾患の原因になるものも報告されている。筆者らは体細胞変異の中でもレトロトランスポゾンの一種であるlong interspersed nuclear element‐1(LINE‐1)挿入に着目しており,これまでに統合失調症患者の神経細胞においてLINE‐1コピー数が増大していること,LINE‐1が新規挿入された部位は神経機能に関与する遺伝子の近傍に多いことを示してきた。このようなLINE‐1挿入ゲノム部位プロファイルをより詳細に決定するため,筆者らは新たなシングルセルレベルでの解析法であるNECO‐seq法を確立し,統合失調症患者死後脳を使用してケース・コントロール解析を行った。合計1,000個以上の神経細胞核の解析の結果,患者群において神経発生の比較的初期で生じたと考えられるLINE‐1挿入は,神経関連遺伝子の近傍に蓄積されていることが示された。LINE‐1挿入が生じた遺伝子には神経伝達物質受容体などが含まれており,このようなLINE‐1挿入は,神経細胞の形態や機能に多大な影響を与えると考えられた。
  • 鈴木 啓一郎
    2023 年 34 巻 4 号 p. 165-170
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,CRISPR‐Casシステムの登場によりゲノムの標的遺伝子を操作する「ゲノム編集」技術が急速に進歩し,多種多様な細胞や生物種のゲノム配列を選択的に改変することが可能となった。しかしながら,標的配列を任意の配列に改変できる「相同組換え法」は,細胞周期に依存したDNA修復機構を利用しており,分裂の盛んな細胞にしか用いることができない欠点があった。つまり,非分裂状態にある生体内のほとんどの体細胞では自由な遺伝子改変が困難であった。これに対して,筆者らは非分裂細胞でも有効な新しい遺伝子ノックイン技術Homology‐Independent Targeted Integration(HITI)法やintercellular linearized Single homology Arm donor‐mediated intron‐Targeting Integration(SATI)法の開発に成功し,さまざまな生体内の体細胞で標的ゲノム配列に外来遺伝子を組み込むことに成功した。本稿では,ゲノム編集技術を用いた体細胞遺伝子操作に関する知見と,生体内ゲノム編集技術HITI法,SATI法について紹介する。
  • 小池 進介
    2023 年 34 巻 4 号 p. 171-178
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
    脳磁気共鳴画像(MRI)研究が一般的となり,多施設データを適切に取り扱える技術開発が進み,機械学習による鑑別診断や予後予測,脳画像に基づく生物学的再分類が現実的となった。今後はこうした解析が一般的となることを見越して,遺伝情報などと組み合わせた階層性データを利活用する病態解明,臨床応用研究が重要になる。日本で精神疾患脳画像研究を推進すべき理由はいくつかあるが,その中でも,精神科医が研究に深く関与していることは重要であり,今後も臨床家,当事者との協同による臨床応用技術開発が必要である。病態理解の点では,小児期から老年期に至るまで,ライフコースにわたる脳画像データの結合が重要であり,これに付随する思春期発達の階層性データベースの利活用が期待される。質・量ともにデータが拡大し続けるなか,精神科医が担える部分はさらに限られてくるが,分野横断のチームを取りまとめ,精神科臨床研究が進むべき道を示すことが求められる。
  • ベナー 聖子, 遠藤 俊裕, 山末 英典
    2023 年 34 巻 4 号 p. 179-
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
  • 二宮 光平
    2023 年 34 巻 4 号 p. 180-
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
  • 向井 馨一郎, 松永 寿人
    2023 年 34 巻 4 号 p. 181-
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
  • 加藤 康彦
    2023 年 34 巻 4 号 p. 182-183
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
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