日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
28 巻, 4 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 橋本 謙二
    2017 年 28 巻 4 号 p. 151
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 垣塚 彰
    2017 年 28 巻 4 号 p. 153-158
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
    現在の医学では治療することができない難治性疾患の多くで,個体死には至らない程度の細胞死が障害臓器に認められ,その結果障害臓器の機能低下が起こり,発症に至る。例えば,アルツハイマー病に続く患者数を持つパーキンソン病では,中脳黒質のドーパミン神経が特異的に脱落(死滅)することで発症する。一方,細胞・生物が生きていくためには,エネルギー源としてATPが必要であり,また,細胞が死に行くときにはATPの減少・枯渇が起こる。そこで我々は,細胞死を防ぐことを目的に,ATPの減少を抑制する化合物の開発に取り組み,細胞内のATP分解を抑制する化合物KUSs(Kyoto University Substances)を開発した。さらに,細胞内のATPの産生を増強する化合物として,エスクレチンを同定した。我々は,KUSsとエスクレチンを併せて「ATP制御薬」と呼んでいる。このATP制御薬による治療効果を培養細胞とマウスのパーキンソン病のモデルで検証したところ,どちらもドーパミン神経において,顕著にATPの減少,ERストレス,細胞死を抑制した。これらの結果は,ATP制御薬がパーキンソン病の治療において,極めて有望な戦略となる可能性を示している。
  • 古田 晶子
    2017 年 28 巻 4 号 p. 159-163
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
    中枢神経系の主要なグリアであるアストロサイトは神経突起やシナプス,血管を取り囲み,相互作用をすることで脳内環境を維持する働きがある。脳虚血等病的状態になると反応性アストロサイトになり,さまざまな膜タンパク質や酸化ストレス関連分子を発現して病巣修復に寄与する。神経疾患では急性脳症のクラスマトデンドローシス,肝脳疾患のアルツハイマーII型グリア,タウオパチーのアストロサイト斑や房状アストロサイト,アレキサンダー病のローゼンタール線維など疾患特異的な一次的変化が認められる。また,虚血再灌流や神経変性疾患においてアストロサイト自身がアポトーシスに陥いることが観察されている。このようなアストロサイトの病的変化や細胞死は神経細胞の機能不全の原因となり得るため,アストロサイト研究は神経疾患の病態解明に重要であると考えられる。
  • 倉知 正佳, 近藤 隆
    2017 年 28 巻 4 号 p. 164-168
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
    統合失調症では,前頭皮質,側頭皮質などの体積減少が認められ,これらの変化は未治療患者でも認められている。このような脳灰白質の体積減少をもたらす組織学的変化として,錐体細胞樹状突起棘の減少などがあり,その機序として,アポトーシスの関与という考えがある。現行の抗精神病薬には,アポトーシス促進作用と抗アポトーシス作用という2面性があり,clozapineの重篤な副作用の無顆粒球症は,顆粒球のアポトーシスに基づくことが示されている。他方,clozapineには,5-HT1A作動薬作用を介する神経保護作用,抗酸化作用や抗アポトーシス作用もある。われわれの検討結果では,とくに,olanzapineとclozapineは,抗酸化作用と抗アポトーシス作用を示した。このような非定型抗精神病薬の神経保護作用は,統合失調症の脳の組織学的変化を改善し得る治療薬の探索/開発への手がかりを提供していると思われる。
  • 山形 弘隆
    2017 年 28 巻 4 号 p. 169-174
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
    ストレス負荷マウスやうつ病患者死後脳などの遺伝子発現解析で,細胞死関連遺伝子の発現変化が報告されている。これらの報告はうつ病と神経細胞死との関連を示唆しているが,もし神経細胞死がうつ病の原因であるならば,「うつ病は神経変性疾患なのか」という疑問も生じてくる。認知症とうつ症状との関連も報告されていることから,神経細胞死が病態と深く関わっているうつ病と,そうではないうつ病があるのかもしれないが,ICD-10やDSM-5などの操作的な診断基準では,病態が異なる「うつ症候群」がすべて「うつ病」と診断されてしまうという問題がある。この問題を解決するには,うつ病を戦略的に亜型分類し,臨床研究の結果を基礎研究で確かめるトランスレーショナルな研究を計画することが有用かもしれない。本稿では,うつ病と神経細胞死について,最近の知見や当科の研究成果を紹介しながら,うつ病研究のこれからの方向性について考察する。
  • 松尾 幸治
    2017 年 28 巻 4 号 p. 175-180
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
    うつ病・双極性障害の構造MRI研究の初期にはmanual tracing法が主流で,一定のエビデンスを提供してきたが,近年はvoxel-based morphometryやFreeSurferといったコンピュータソフトウエアにより多数例で解析されるようになっている。これまでの知見の蓄積から前部帯状回や島領域といった情動に関与する部位が疾患群で小さいことが報告されており,MRI家族研究でも同様の所見が得られている。また白質走行解析でも前部帯状回近傍の脳梁域の異常が報告されている。今後,構造MRI研究は,うつ病・双極性障害の病態解明のほか,両疾患の鑑別や治療予測のバイオマーカーの開発が期待される。
  • 岡田 剛, 高村 真広, 市川 奈穂, 増田 慶一, 柴崎 千代, 吉野 敦雄, 撰 尚之, 町野 彰彦
    2017 年 28 巻 4 号 p. 181-184
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
    機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging:fMRI)は,比較的高い空間分解能と時間分解能で非侵襲的に脳機能を評価できる手法として,精神疾患の脳メカニズム研究にも応用され多くの研究成果が報告されている。うつ病研究においては,背外側前頭前野を含む中央実行ネットワークおよびデフォルトモードネットワークの異常が比較的一貫性のある結果として得られているが,現段階は診断や治療反応性予測に利用可能なfMRIバイオマーカーは確立していない。本稿では,うつ病のfMRI研究に関する主な知見を概説するとともに,機械学習の手法を用いたうつ病のfMRIバイオマーカー開発の現状について紹介し,今後の臨床応用への課題と展望について考察する。
  • 里村 嘉弘, 山岸 美香, 櫻田 華子, 滝沢 龍, 小池 進介, 榊原 英輔, 岡田 直大, 松岡 潤, 木下 晃秀, 笠井 清登
    2017 年 28 巻 4 号 p. 185-189
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
    NIRS(光トポグラフィー検査)は非侵襲的でより自然な姿勢で簡便に施行できる検査であり,精神症状を有する患者においても負荷は比較的小さく,日常生活(real-world)に近い状況下で脳機能の検討を行うことができる。今後の課題はあるものの,鑑別診断補助,予後予測,状態像の把握といった生物学的指標の探索研究や,subtypeの同定を目指した研究,NIRSの特長をいかしたreal-worldに近い検査パラダイムを用いた研究など,うつ病についての多岐にわたる報告が集積しつつある。
  • 山田 真希子, 須原 哲也
    2017 年 28 巻 4 号 p. 191-195
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
    うつ病の認知心理モデルによると,うつ病患者において,健常人で認めるポジティブな認知バイアスが消失することや(抑うつの現実主義と呼ばれる),否定的に捉える負の認知バイアスが生じることが,抑うつ症状の悪化や治療抵抗性に関与している可能性が指摘されている。本稿では,自己と他者の評価に対する認知バイアスが脳内で生じる仕組みについて,機能的脳画像(functional magnetic resonance imaging:fMRI)と陽電子放射断層撮影装置(positron emission tomography:PET)を用いた研究を紹介し,うつ病症候に関わる認知バイアスの脳機能ネットワークとドーパミン神経伝達機能との関連について考察する。
  • 小池 進介
    2017 年 28 巻 4 号 p. 196
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 久島 周
    2017 年 28 巻 4 号 p. 197
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 齋藤 竹生
    2017 年 28 巻 4 号 p. 198
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 太田 深秀
    2017 年 28 巻 4 号 p. 199
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 岡田 直大
    2017 年 28 巻 4 号 p. 200
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 平野 羊嗣
    2017 年 28 巻 4 号 p. 201-202
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
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