日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
28 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 〜「リカバリーの研究」と「研究のリカバリー」〜
    笠井 清登
    2017 年 28 巻 2 号 p. 55
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/19
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  • 和田 圭司
    2017 年 28 巻 2 号 p. 57
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/19
    ジャーナル オープンアクセス
  • 工藤 佳久
    2017 年 28 巻 2 号 p. 58-63
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/19
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    ヒトの脳におけるアストロサイトの数はニューロンより多い。発見以来長い間この細胞は血液脳関門としての機能や神経伝達物質の取り込み,ニューロンへのグルコースの供給などニューロン活動の支持役として機能しているのだと考えられてきた。電気活性の欠如のために情報処理装置としての脳機能への関与は低いと判断されてきたのだ。ところが,20 世紀末になって,アストロサイトが様々な神経伝達物質に細胞内Ca²⁺濃度上昇の形で応答するダイナミックな細胞であることが判明した。また,ニューロンが放出するほとんど神経伝達物質に対する受容体をG-タンパク質共役型の形で発現し,アストロサイト自身もグルタミン酸,ATP およびD-セリンなどのグリオトランスミッターを遊離することが明らかになった。現在では,アストロサイトはニューロン間のシナプスに組み込まれたトライパータイトシナプスとして機能し,高次機能の発現に関与する可能性が高いと考えられるようになっている。
  • 池中 一裕
    2017 年 28 巻 2 号 p. 64-67
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/19
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    精神疾患は当然脳の病気であり,基本的に神経細胞およびそれらが形成する神経回路の異常を伴うことが多い。しかし,最近グリア細胞も脳の高次機能発現に関与することが明らかとなってきたので,グリア細胞異常によって脳の高次機能が正常に働かなくなることも考えられる。すなわち,精神疾患の一部もグリア細胞異常がその病因である可能性がある。本総説ではグリア細胞の中でも髄鞘を形成するオリゴデンドロサイトに注目する。脳白質は有髄線維の通り道であり,灰白質にある神経細胞体で生じた情報を正確に伝える機能を担っているに過ぎないと考えられてきた。しかし,1)軸索の髄鞘形成後もオリゴデンドロサイトが活動依存的に神経情報伝導速度を調節し,2)統合失調症等,精神疾患の病態に白質の障害の関与する証左が得られ,現在,白質の機能を根本的に再考すべき時期に至っている。これまで,白質変性疾患は脱髄疾患が主たるもので,治療法も開発されているが,その知見は精神疾患の病態解明に活かされていない。本総説では,脳領域各部の情報を統合する場として白質の機能を軸索・グリア相互作用を介して明らかにし,その破綻としての病態を学際的に討論したい。
  • 佐栁 友規, 髙坂 新一
    2017 年 28 巻 2 号 p. 69-75
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/19
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    ミクログリアは1919年にその存在が報告されて以来, 様々な実験手技の発展とともにその機能が明らかにされてきた. 近年のミクログリア培養法の確立, ミクログリア特異的抗Iba1抗体の開発はミクログリア研究を大きく進展させ, またIba1トランスジェニックマウスを用いたイメージング研究により, 静止型と思われていた正常脳におけるミクログリアの新たな機能が提示された. 一方, 脳の障害を感知するとミクログリアは炎症関連因子産生, 遊走, 貪食などの機能を発揮するため, 種々の中枢神経系疾患の病態発現に関与することが示唆されるが, さらに最近では自閉症スペクトラム障害などの精神疾患にも関与することが注目されている. 本稿ではこれまでに明らかになってきたミクログリアの機能についてまとめ, 高次脳機能におけるミクログリアの役割を考察したい.
  • 田中 光一
    2017 年 28 巻 2 号 p. 77-83
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/19
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    グルタミン酸は哺乳類の中枢神経系において記憶・学習などの脳高次機能に重要な興奮性神経伝達物質である。しかし,過剰な細胞外グルタミン酸は,グルタミン酸興奮毒性と呼ばれる神経細胞障害作用を持つことが知られている。このため細胞外グルタミン酸濃度は厳密に制御される必要があり,グルタミン酸トランスポーターがその役割を担う。これまで5種類のグルタミン酸トランスポーターサブファミリーが同定されているが,シナプス間隙におけるグルタミン酸の除去は,主にアストロサイトに存在する2種類のグルタミン酸輸送体GLAST,GLT1により担われている。近年,これらグリア型グルタミン酸トランスポーターの変異や発現低下が統合失調症・うつ病などの精神疾患で報告されている。本稿では,GLASTあるいはGLT1欠損マウスが示す異常を概説し,グリア型グルタミン酸トランスポーターの機能障害が関与する精神疾患について考察する。
  • 木下 専
    2017 年 28 巻 2 号 p. 84-86
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/19
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    興奮性神経伝達物質の迅速な再取り込みと再利用は,シナプス伝達の終結や恒常性維持に必須である。小脳の主要なグルタミン酸トランスポーターGLASTはバーグマングリア選択的に発現し,直下に集積するセプチン,CDC42EP4,ミオシン-10など細胞骨格成分と相互作用する。CDC42EP4欠損マウスではGLAST-セプチン間相互作用とGLASTの傍シナプス局在が減弱し,グルタミン酸クリアランス予備能が低下する。運動障害は軽度であるが,低用量GLAST阻害剤の負荷で顕著に増悪する。すなわち,上記の細胞膜裏打ち成分がGLASTをシナプス近傍に集積させる足場ないし拡散障壁として,グルタミン酸の緩衝および再取り込みの効率化に寄与することが推測される。統合失調症の一部で報告されているグルタミン酸トランスポーターの遺伝子変異や発現異常,死後脳でのCDC42EP4やセプチンの量的異常は,上記と類似したメカニズムで病態に関与する可能性がある。
  • 平野 羊嗣
    2017 年 28 巻 2 号 p. 88-94
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/19
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    近年の飛躍的な神経科学の進歩にもかかわらず,統合失調症の病因は未だに不明で,現時点で効果的とされる抗精神病薬は,古典的なドパミン仮説に基づいたドパミン拮抗薬が主体で,現存の治療法では完治に至らないことも多く,同疾患の病態解明および新薬の開発は緊急の課題である。早期診断や早期介入,完治を可能にするためには,新たな病態仮説の発見と,臨床と基礎研究の橋渡しが可能な,生物学的指標の導入が望まれる。近年,統合失調症の脳内では,知覚や認知機能を担うガンマ帯域(30〜100 Hz)の神経振動が異常をきたし,それが病態に関連することがわかってきた。このガンマ帯域神経振動異常は,神経回路内のペースメーカーでもあるGABA作動性の抑制性介在ニューロンの機能低下と,興奮性ニューロンの障害(NMDA受容体の機能低下)ならびに,この両者のバランス(E/Iバランス)もしくはtuningが破綻することによるとされている。ガンマ帯域神経振動異常は,統合失調症のみならず同疾患のモデル動物でも同様の結果が得られるため,統合失調症の新たな病態モデルや治療ターゲットとして支持されている。本稿では,最新の統合失調症のガンマ帯域神経振動異常の知見を中心に紹介し,本指標の生物学的指標としての有用性や臨床的な応用も含めた今後の展望について概観したいと思う。
  • 佐々木 剛, 橋本 謙二, 伊豫 雅臣
    2017 年 28 巻 2 号 p. 95-99
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/19
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    心的外傷後ストレス障害(Post-Traumatic Stress Disorder:PTSD)は,「死」のトラウマ体験(虐待・震災被害等)を契機に,侵入,回避,麻痺,覚醒亢進症状が存在する強度の抑うつ気分を伴う精神障害である。特に児童思春期のPTSDは,まとまりない興奮した行動を認め苦悩し,慢性的な困難を持つ。 一方,PTSD症状とN-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体によるグルタミン酸神経伝達が関係することが示唆され,その作用を持つ薬剤がPTSDの新たな治療薬として期待されている。イフェンプロジル酒石酸塩は,我が国とフランスにおいて脳梗塞後遺症,脳出血 後遺症に伴うめまいの改善薬としてすでに臨床使用されており,我々はイフェンプロジル酒石酸塩が,児童思春期PTSD症状を改善した報告をし,PTSDの新しい治療薬としての可能性があると考えている。我々は思春期(13〜18歳)のPTSD患児40名に対しイフェンプロジル酒石酸塩のプラセボ対照二重盲検比較試験を実施しており,本稿ではその概要を報告する
  • 久島 周
    2017 年 28 巻 2 号 p. 100-101
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/19
    ジャーナル オープンアクセス
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