本論文は, 前回報告した低高度レベルでのパスラディアンスの推定法, および海面放射輝度の回復法を, 人工衛星高度まで拡張する過程について述べている。
現在, 人工衛星 (特にNIMBUS-7 CZCS) レベルでの大気補正法として提案されている方法は, 主として帰納的方法であるが, 本論文は, 半演繹的立場に立つ大気補正法について述べている。
ここで用いた大気モデルでは, 放射の消散に寄与する大気物質のうち散乱物質として空気分子およびエーロゾル粒子を, また吸収物質としてオゾンのみを仮定した。
また, 全可視域でのパスラディアンスは, 670nmにおける上向放射輝度から間接的に推定できるものとした。そして, 670nmにおけるエーロゾル粒子によるパスラディアンスは, 全エーロゾル量に比例するものとして, 両者を比例的に結びつける係数を導入した。
さらに, この方法を, テストケースとして黄海のNIMBUS-7 CZCSデータに応用し, クロロフィル分布の解析を試みた。
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