航空写真測量の原理にもとずいて測定された水深は, 実水深より浅く測定される。これは海底で反射した光が海面で屈折することに依存している。
そこで, 航空写真で測定された水深を実水深に変換するためには, 補正係数を求める必要がある。 (2) 式はG.C.Tewinkelによって補正係数を得るために導かれたもので, (3) 式はJ.G.Meijerによって, デジタルコンピューターによって数値計算処理がしやすいように (2) 式を変換されたものである。この研究では, 上述の式をもとにコンピュータープログラムが作成された (また, この研究において, 図化機A-7が航空写真の解析のために使用された) .
使用した航空写真は, 1) 静岡県の御前崎港に近い沿岸と, 2) 千葉県の天津漁港であった。航空写真から測定された水深は, デジタルコンピューターによって実水深に補正された。コンピューターで補正された水深は, 音響測深によって測定された水深と比較された。これらの結果は以下に示す。
1) 航空写真によって測定された水深は, 音響測深によるそれよりも深く測定された。
2) 航空写真による水深と音響測深のそれとの差の平均は, 御前崎の場合13.6cm (海岸から500m以内) , 天津漁港の場合は5.4cmであった。
3) 音響測深機による水深の平均は, 御前崎の場合3.24m天津漁港の場合は0.62mであった。従って, 相対誤差は最大で±30%以内 (大部分は±10%以内) であった。
4) 天津漁港の場合, 相互標定がほぼ満足のいく状態であったので, 統計的な検定を行った。この結果から, これら二つの測定方法には顕著な差は認めがたい。
結論: 水深測量への写真測量の応用は, 特に沿岸あるいは岩礁地帯のような, 観測船の近ずき難いところでは, 大変有効的な方法であると思われる。
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