従来LANDSAT MSS画像の幾何補正に関する研究が行われてきている。その手法を大別すると, 1) 姿勢データのみを用いたシステム補正, 2) 地上基準点のみを用いた補正, 3) システム補正をしたのち地上基準点を用いた補正の3つに分類される。このうち, 3) の方法が精度および計算時間の上からも有利であることが指摘されている。しかし, この方法は2段階にわたる補正であるためさらに1段階の補正に改良できる余地がある。
そこで本研究では, 衛星の位置および姿勢に関するデータ等を未知変量扱いし, 観測データの近似値と地上基準点を同時に入力して1段階で補正する手法の開発を目的とした。上記の未知変量を解くために, 通常写真測量で用いられる, いわゆる共線条件式を利用した。地上基準点を用いて合計19個の未知変量が決定された。
幾何補正の最終目標は最終的に利用する地図座標系の並びに画像データを再配列することにある。本研究では衛星の位置および姿勢の変化, スキャンミラーの不等速運動などの影響を詳細に検討した結果, 小領域に分割された領域の中では幾何歪が線形変化していることがわかった。そこで1シーンを350画系×78ラインを単位とする300の小領域で分割しても分割による誤差が0.2画素を超えないことに着目して再配列を行った。
本研究で開発された手法によれば, FACOMM-180ADの計算機 (12MB主メモリー) を用いた場合従来の手法に比べて計算時間が44%短縮された。
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