利用者自身が簡便にかっ安価に数百メートルの上空から空中写真を撮影し, 環境調査や測量に利用したい。航空機による委託撮影は高価であると同時に, 好きな時刻あるいは頻度での撮影が困難である。一方, 無人の飛行機, たとえば無線操縦の小型飛行機やヘリコプターなどは操縦に相当の熟練が必要である上, 撮影範囲あるいは撮影方向の確認に難がある。
本研究は, 糸をつけた飛行船型気球 (カイト気球) にジャイロ制御の小型軽量カメラを搭載して, 約800メートルの高度までの立体空中写真を簡便に撮影するシステムを開発し, さらに対象物の3次元測定およびリモートセンシングを行う手法を開発する目的で行われた。
千葉県富津で行われた実験の結果によれば, 相当の風速のもとでも (砂塵が舞わない程度) 800メートル上空からの鉛直および±15°の鉛直角の空中写真撮影が可能であることがわかった。
室内で解析的にキャリブレーションされた非測定用カメラを搭載したので, 解析的な写真測量にも応用可能である。実験によれば, 約800メートルの上空から画面距離28ミリのカメラを用いて, 平面位置±8cm, 高さ±30cm (±0.33‰×高度) の精度が得られた。
気球に用いられるヘリウムガスは, 7.0m
3必要であるが, 丁度ボンベ1本分であり価格は18, 900円であった。必要な機材の価格は, 気球37万円, 糸46, 000円, カメラおよびジャイロ178, 000円, 無線操縦装置35, 000円, 合計629, 000円である。運搬車は, 約1.37m長のボンベを運べるバン車が必要である。最小必要人数は3人である。
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