教師なしニューラルネットの一種である, 自己組織化マッピングの学習を通じて密度マップが生成できる。この密度マップはクラスタ境界を反映していると考えられる。ここで提案する自己組織化マップに基づく画像クラスタリング手法は, 特徴空間におけるクラスタ分布が複雑に入り組んでいるような場合にも十分なクラスタリング性能を達成し得るように考案したものである。学習過程を経て得られる密度マップから複雑に入り組んだクラスタ境界を推定し, これに基づきクラスタリングするものである。このような特徴空間における複雑なクラスタ分布に対応し得るクラスタリング方法として, 分離統合法によって対処することも可能であるが, この場合はパラメトリックであり, 対処療法的である。従って, すべての場合に適用できる保証がない。本提案手法は, 一方, すべての場合に対処し得るが, 複雑になればなるほど収束に時間が係り, 局所解に陥ることもある。また, 既存のクラスタリング方法に比し, 最終クラスタ数を限定することを前提としていない等の相違がある。
シミュレーション画像及びランドサットTM画像を用いて, 提案手法を最尤法分類, k平均法とクラスタ性能を比較することにより評価したところ, 提案方法の優位性を確認した。シミュレーション実験ではクラスタ内分散の小さい場合は収束が速いが, 分散が大きく複雑な分布の場合は収束が遅く, 局所解に陥ることもあることが分かった。また, TM画像分類実験では, 代表的な教師付き画像分類法である最尤法による分類結果に近いクラスタ結果を確認した。さらに, クラスタ問分離度がk平均法に比し, 15.9%向上することも分かった。
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