コントラストが低くランダムで特徴のない濃度分布を持つ対象を目標とする測距法について, 相互相関関数の新しい規格化法を導入し相関法の信頼度向上を試みる。まず, 画像をディジタル数値に変換する際の利得調整やバイアス調整が相関法にとって本質的な問題点を含むことを明らかにし, 画像の適当な規格化がこの解決に有効であることを理論的に示す。さらに, 実体写真から正しい対応点を見い出すための規格化相互相関関数 (NCC) をこの画像の規格化から導き出し, 実時間処理可能な具体的なNCCの計算方法をその規格化に要する時間がデータ数に依存しないような高速アルゴリズムとともに提示する。これらを用いて三角法により宮の森ジャンプ台のランディングバーンの水平距離を求め, 25の測定点からランディングバーンのプロフィールを再現する。実験は固体撮像素子を使用した携帯用の実時間装置を想定し, 写真の拡大率, 基線長など実験装置の仕様には特に配慮する。計算処理はミニコンピュータを用いて行われ, 提案したNCCが正しい対応点の探索に極めて有効であり, またその高速アルゴリズムによるNCCの計算時間が従来の方法によるそれの1/10以下で実時間処理に十分対応できることが示される。
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