本研究はLandsat TMとJERS-1 OPSの画像融合によって, 中国の東北にある長白山自然保護区 (面積2000km
2) の植生タイプを判読し, 植生図を作成した。また, DEMデータを用いて分類精度を向上させた。被覆タイプは20のグループに分類した。Landsat TM (バンド4, 5) (1997年7月18日) とJERS-1 OPS (バンド1) (1997年2月4日) を合成して, フォールスカラーイメージを作った上, 教師付き分類を行った。OPSの多時期画像の融合も試した。いずれの場合, 融合画像による分類の精度は単一センサー或いは単時期データより判読の精度が高いことを示した。OPS単時期イメージの判読の全体的精度は40%以下, TM画像は70%以下であるのに対して, 融合した画像による分類精度は73%であった。DEMデータとフィルターを使って修正したあとの精度は83%となった。長白山の植生は下から上へ落葉樹林帯, 針広交混林帯, 針葉樹林帯, ダケカンバ林帯, およびツンドラ帯という5つの植生帯によって構成されている。中では, 針葉樹林の面積優占度は最も高く, ほぼ50%を占めており, 針広交混林は10%, カラマツ林は8%であった。冬の画像において, 生活形レベルの差異, 例えば, 常緑樹林と落葉樹林或いは森林と草地等が強調される。一方, 夏季の画像により, 植物群落のスペクトルの特性についての詳細な情報が得られる。北方植生にとって, 葉色がもっとも多様である秋の画像は, カバータイプを識別するのに理想的であると考えられる。結論として, フェノロジー的差異の大きいデータの融合が高精度の植生地図を作るために重要である。
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