本研究で作成するTMデータによる土地利用調査方法は, バンド情報からまず土地被覆分類を行い, 次にその結果を種々の地域情報を補助データとして考慮することにより土地利用へと変換するものである。ここで, リモートセンシングによる土地被覆分類手法としては, 従来より最尤決定法, 線形判別関数法等の手法が用いられているが, 分類手法の理論や前提条件に関していくつかの問題点が指摘されている。
本研究では, まずこれらの問題点を整理した上で, プロビットモデルに基づく新たな土地被覆分類手法を作成した。プロビットモデルは, 線形判別関数法では明示的に考慮できない各分類カテゴリーのバンド分布の分散の相違や類似性を考慮することができるといった利点を有する。また本手法を用いて実際の土地被覆分類を行ったところ, プロビットモデルは, きわめて短い分類処理時間で最尤決定法と同程度の分類精度をあげることができることを確認した。
次に, 土地被覆分類結果の土地利用データへの変換にあたっては, いくつかに統合したピクセルを対象に, 統合ピクセル内の土地被覆比率と補助データとして用途地域指定を考慮したBinary Tree式の分類手法を適用した。
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