植生観測はSARデータにより期待されている分野である。本文は多時期データを用いた乾燥地域におけるJERS-1 SARデータの植生型判別能力の評価を試みたものである。そのために, まず原画像データに対してはMap 7×7フィルタを用いてスペックルノイズ除去を施した。多時期のSARデータはシステム補正されている同じ地域のJERS-1 OPS (レベル2, 標準成果物) に対して45点以上の基準点設定を行い, 二次多項式変換によるRMS誤差0.5画素以下で幾何補正を実施した。次に, 全シーンの画像データから研究対象地域を切り出し, 宇宙開発事業団が提供するJERS-1 SARデータのCF (Calibration Factor) により多時期画像の後方散乱断面積を計算した。この後, 各画像に対してブイルタをかけて平滑化を実施した。
各画像を用いて彩色合成画像を生成し, 最尤法を用いて判別を行い, 土地被覆分類画像を生成した。次に, クラスター分析を行い, 分類結果のクラスとグランドトルースデータの比較を行い, クラス名を決定した。上述した二つの分類結果から研究対象地域の現状がより正確に表現されているクラスを用いて最終結果を作成した。
研究対象地域は, JERS-1 SAR画像が地形の影響を受けない, またフローラがより単純な中国タリム盆地におけるタリム川の中流域を選択した。
抄録全体を表示